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$イラク水滸伝 単行本 高野 秀行 (著)

$イラク水滸伝 単行本 高野 秀行 (著)


$解説
権力に抗うアウトローや迫害されたマイノリティが逃げ込む
謎の巨大湿地帯アフワール>

南イラクのアフワール:生物の避難所と古代メソポタミア都市景観の残影
イラク

湿地

英名The Ahwar of Southern Iraq: Refuge of Biodiversity and the Relict Landscape of the Mesopotamian Cities
仏名Les Ahwar du sud de l’Iraq : refuge de biodiversité et paysage relique des villes mésopotamiennes
面積211,544 ha
(緩衝地帯 209,321 ha)
登録区分複合遺産登録基準
登録年2016年
公式サイト世界遺産センター(英語

>そこは馬もラクダも戦車も使えず、巨大な軍勢は入れず、境界線もなく、迷路のように水路が入り組み、方角すらわからない地。
中国四大奇書『水滸伝』は、悪政がはびこる宋代に町を追われた豪傑たちが湿地帯に集結し政府軍と戦う物語だが、世界史上には、このようなレジスタンス的な、あるいはアナーキー的な湿地帯がいくつも存在する。
ベトナム戦争時のメコンデルタ、イタリアのベニス、ルーマニアのドナウデルタ……イラクの湿地帯はその中でも最古にして、“現代最後のカオス”だ。

・謎の古代宗教を信奉する“絶対平和主義”のマンダ教徒たち
・フセイン軍に激しく抵抗した「湿地の王」、コミュニストの戦い
・水牛と共に生きる被差別民マアダンの「持続可能な」環境保全の叡智
・妻が二人いる訳とは?衝撃の民族誌的奇習「ゲッサ・ブ・ゲッサ」
・“くさや汁”のようなアフワールのソウルフード「マスムータ」
・イスラム文化を逸脱した自由奔放なマーシュアラブ布をめぐる謎……etc.

想像をはるかに超えた“混沌と迷走”の旅が、今ここに始まる――
中東情勢の裏側と第一級の民族誌的記録が凝縮された
圧巻のノンフィクション大作、ついに誕生!


$読者レビューより引用・編集
長年深刻ニュースが多いのに、今までピンときていなかった、
イランイラク、シリア、トルコ、クルド人、ヤズディ教徒の位置関係と
アラブの歴史と宗教が、チグリス川とユーフラテス川を中心の説明で、
初めてすっきり理解でき、驚きです。
単なる旅行記体験記ではなくて、見た事聞いたことに裏付けを取り考察を行い、一方でちょっとした街の移動でも、東京から静岡くらいの距離といった
わかりやすい説明だから、知らない文化にも関わらず、具体的に理解しながら読み進めらる。
その上計3回渡イラクに渡航して、最初は未知のイラク探検でブログレベルですけれど、2回目3回目とローカルの人たちとの距離がどんどん縮まって、最後に一緒にタラーデ(船)を出して乗るあたり、素晴らしい臨場感。
コミュニケーションの四苦八苦(特にローカルの家で沈黙を避けるために芸を披露するとか)も、良い語学教科書。
それにしても、メソポタミア文明が色濃く残るチグリス川とユーフラテス川地帯の葦原で、昔の船を作って乗る。
私も子供の頃は、コサック軍シベリアを行くを読んで、シベリア旅行を夢見、ジャングル大帝見てアフリカ旅行を夢見、その他アラブ旅行や
チグリス川とユーフラテス川の葦原に立つ事も夢見て育った。
夢で終わらす気はなく、ロンドン4年滞在で世界中の人脈を作って、
時々友人宅に数週間滞在しては、英語一本でローカルの人たちとも深いコミュニケーションでその地を堪能。
何より若いころのような新しい土地に対する感受性が減っていて、そうなってから、ようやく気が付く。
ああ難しい地域こそ、若い時に行っておかなければいけなかった・・・と。
後悔先にたたずでホント悔しい。
だから、高野さんが本当に心から羨ましい。
あまりに羨ましいから、Tigris–Euphrates river confluenceを
google map で見たら、google street view で360度写真があり、ちょっとバーチャル体験。それからジャシーム栄江氏のフェイスブックもフォローしたら、マメに写真をアップされるから、山が無くどこまでも続くアフワールの景色に、日々癒されています。同時に水不足の深刻さも伝わってくる。
ちなみにジャシーム栄江氏のフェイスブックでtakano とサーチすると、
タラーデを漕いでいる動画や、たぶん例の愛のポエム?を気持ちよく吟じているらしい動画が、さりげにアップされている。
ともあれ、彼らを支援するためにも、この本は、英訳されるべきだと思う。
日本人は多くが英語も話さず上から目線でアクションにつながらない。
私は、さりげに唯我独尊意識のマンダ教の話のところで、1000年後の日本人かな?、と思った。
一方で英欧米では、イラクやイスラム系は、色々差別と偏見の対象にもなりがちだから、一緒に仕事をして現地の人たちの人柄が伝わるこの本は、意義が大きいと思う。
そして英欧米の人たちは、納得すると動く。
あとがきで、山田隊長を世に出したいという野望をもっており、と述べ、
「山田隊長は迷惑だと言っているが・・・」とあるのは、私も山田隊長に同意を感じる。
実はこの本を読んでいて、高野氏は著述業として当たり前なのかもしれないですけれど、水滸伝になぞらえ、登場人物一人一人にあだ名をつけ・・・
現地でもボケキャラをかまし・・・・
「英語も話せないけれど上から目線」な日本人読者相手に、ここまでエネルギーを費やして擦り寄らないと著述業は成り立たないのか・・・・
とつくづく思った。
高野氏がゲーマル作りを見せてもらいに行った現地の家で、間を持つために感電した魚になって体をぴくぴく震わせる芸を披露して、自分でも
「50代半ばになって!」と書いていた。
まあとにかく、久々自分の世界を広げてくれる本に(日本語で)
出会えた事に感謝です。
自分の人脈なりに、アフワールを支援する道を、考えてみようと本気で思った。

$出版社より


著者について

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高野 秀行

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。
早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。
「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションや旅行記のほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。
1992-93年にはタイ国立チェンマイ大学日本語科で、2008-09年には上智大学外国語学部で、それぞれ講師を務める。
主な著書に『アヘン王国潜入記』『巨流アマゾンを遡れ』『ミャンマーの柳生一族』『異国トーキョー漂流記』『アジア新聞屋台村』『腰痛探検家』(以上、集英社文庫)、『西南シルクロードは密林に消える』『怪獣記』(講談社文庫)、『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)、『未来国家ブータン』(集英社)など。
『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)で第一回酒飲み書店員大賞を受賞。
『謎の独立国家ソマリランド』(本の雑誌社)で第35回講談社ノンフィクション賞を受賞。

$登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 文藝春秋 (2023/7/26)

  • 発売日 ‏ : ‎ 2023/7/26

  • 言語 ‏ : ‎ 日本語

  • 単行本 ‏ : ‎ 480ページ

  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4163917292

  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4163917290

  • 寸法 ‏ : ‎ 13.9 x 3.9 x 19.5 cm




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