5/29 【米経済指標(PMI・新築住宅販売戸数)、欧州経済と金融政策の行方】
●米PMI、新築住宅販売
5月24日、米製造業購買担当者指数(PMI:Purchasing Manager's Index)及び4月新築住宅販売戸数が発表された。
PMIとは企業の購買担当者らの景況感を集計した景気指標のひとつで、一般にPMIの数値が50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気後退と判断される。
今回の結果は、57.5で予想(57.5)と一致、前回(59.2)からは下落した。2カ月続けての下落となっており、未だ目安の50を上回ってはいるものの景気後退懸念が市場に与える影響には留意が必要。
新築住宅販売戸数は、米商務省が発表する指標で販売された新築住宅戸数を測定するもの。
住宅市場は消費に大きな影響を与えることから米国の景気の先行指標として中古住宅販売件数とともに重要視される。
今回公表された4月の結果は591Kであり、予想(750K)及び前回(709K)を共に下回る結果となった。
このように米国における景気減速を示す経済指標が相次いだことから、安全資産である国際買いが優勢となり、米長期金利は下図の通り下落している。
●5月FOMC議事録公開、ボスティックアトランタ連銀発言
FRBは25日、5月3日~4日にかけて開催されたFOMCの議事録を公開した。大半の参加者が今後2回の会合でも0.50%の利上げが適切だと指摘し、7月までの3回連続での大幅な利上げを支持した。
一方でアトランタ連銀のボスティック総裁は、23日に9月における利上げを一時停止する可能性を示唆した。
急ピッチで中立金利付近までの利上げを実施した後は、いったん様子見するという姿勢だが、背景には前述の同国の経済指標の悪化があるだろう。
また27日に米商務省はPCEデフレーターを発表した。PCEデフレーターとは、個人消費支出(Personal Consumption Expenditure)のデフレーターで、名目PCEを実質PCEで割ったもの。消費段階での物価上昇圧力を測る尺度として用いられ、FRBが重要視する指標。
4月のPCEデフレーターは前年同月比で結果6.3%と前回(6.6%)から低下し、インフレのピークアウト感を示す形となった。
経済指標の悪化に伴うFRB高官のハト派発言及びインフレピークアウトの期待、中間選挙を見据えた対中国関税の引き下げ期待等から、足元では米株式主要三指数は反発している状況。
●独Ifo企業景気感指数、ECB利上げの行方
5月23日、独Ifo経済研究所は企業景気感指数を公表した。
Ifo企業景気感指数は、独国内の景気感について調査を行うもので、約9000社のドイツ企業を対象に、独経済の現況と今後6カ月の先行きについてアンケート調査を実施し、2015年を100として指数化したもので、生産・在庫・受注・価格・雇用に分かれていて、特に鉱工業生産との関連性が高いのが特徴。
5月の結果は、93.0と予想(91.5)及び前回(91.9)を上回り、底堅い経済状況が確認された。
ECBのラガルド総裁は7月からの利上げを示唆しており、バークレイズ・リサーチに拠れば市場は9月までにマイナス金利の解除を織り込んでいる状況。
●5月30日(月)から6月3日(金)の主な予定
<アメリカ>
1日(水):5月ISM製造業景況感指数
3日(金):5月雇用統計、5月ISM非製造業景況感指数
<日本>
31日(火):4月失業率、4月鉱工業生産
<中国>
31日(火):5月製造業PMI
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