見出し画像

プリンタニア・ニッポン4巻に情緒を破壊された人のつれづれなる感想語り

祝プリンタニア・ニッポン4巻発売!
いやー、凄かったですね。情緒がめちゃくちゃです。特に描き下ろし。

感想語りてぇ!

そうして出来上がったのがこの感想と考察ごた混ぜ記事です。
プリンタニア狂による生餅会の投稿ってこんなんかなと思って眺めて頂けると幸い。

※この記事はネタバレ満載なので、まだ読んでないよって人は気を付けてね。

WEB漫画総選挙2023 第4位おめでとう! すあまが何年も王冠欲しがってたので、無事に戴冠出来て良かった


全体をざっくりと。

4巻の範囲は荒期の到来とともに開拓や採掘の人員が中央に帰還するシーンに始まり、再び門が開いて旅立つ人々を見送るまで。
荒期というひとつの季節の間の出来事を淡々と綴っており、2巻の残兵騒動や3巻の彼岸騒動といったアクション多めのエピソードは入っていません。1巻を除けば、今までで一番『近未来日常系SF』に相応しい巻と言えるかもしれませんね。

そんな空気感も『凪の劇』でぶち壊しでしたけど!

プリンタニアたちは相変わらずもちもちでプリプリで可愛らしい。欲しい。飼いたい。
プリだけでなく、人間関係のゆるやかな変化もこの作品の見どころ。佐藤や塩野、向井の前向きな奮闘を眺めていると、思わず親目線(?)でニコニコしてしまいます。

単行本は電子と書籍の両方を買っているのですが、今回はいつもと少し体裁が違うので注意。
話の間に挿入される数コマ漫画、今回はほぼ全て書き下ろしです!いつものTwitter(X)掲載おまけ漫画の再録ではないんですね。楽しいものあり、重要な伏線が突っ込まれているものあり。必読。
個人的にはピンク・プリンタニアと待屋の話(第50話)の後日談が可愛くて最高でした。いっぱい撫でてもらいなさいな
いつものTwitterおまけ漫画は電子書籍版付録として全話再録。3巻までは抜粋でしたが、今回はコンプリートセットなので嬉しい。
書籍版のカバー裏(本体部分)の描き下ろしは短いセリフなのですが、「あぁ……そうね……」となるやつです。電子版未収録?なので気になる方は紙版でカバーをめくってみよう。


各話語り

ここからは各話ごとの感想を呟いていきますが、長いです! よろしく。

第47話 荒期の始まり。外作業の人って多いんだね

初っ端からすあまッサージに笑うファーストエピソード。
もなかがモフモフしてるの久しぶりですね。3巻後半では短毛だったので、あれからしばらく時間が空いたということでしょうか。
P.6の背景、猫が営んでいる『Newあじや』という屋台に爆笑。次ページで塩野が新しく発見されたレシピの料理(ピザ)を買って喜んでいることからも、店名があまりにもド直球なネーミングで吹きました。新しい味…!
早速そらまめがめっちゃピザ吸い込んでて草。あの小さい身体のどこに大量のチーズが収まるんだろう?
跡地では新しい遊び道具お試しの真っ最中。襟付きの夢を叶えるすあま。お揃い大好きすあま、可愛い。

第48話 深淵からの呼び声、あるいは永淵の沼

重要なキーワードがいくつも投下された回。それは世界観に関わるものもあるけど、永淵氏本人に関して言えば、
永淵の元々の声は現在の声とは別
というのが非常に重要なポイント。巻末おまけ漫画とリンクさせると…(続く)

情報開示レベルのはじまりが『信頼に足る、裏切らない』の証だったというネタでは、いま人間と猫はそれなりに仲良く暮らしているけど、あの事件は大きな猫に深い傷を刻み、トラウマになったんだと言われた気がしてちょっと闇。
そして、何気なく永淵さんがボイステスト用に入力した言葉が「こんにちは」「ありがとう」「バイバイ」なの、ほんとさ…(続く)

第49話 過去の自分と話し合ってみよう

最初のページ、一番下で揉まれてるすあまが最高に可愛い。他の感想が不要になるくらい可愛い。

でも、これだけだとあんまりなので評価診断について。
そらまめとすあまの運動能力の差に笑う。コンボヒットそらまめ、池袋のゲーセンで無双出来るに違いありません。
対話面談の相手が過去の自分なの、誰が考えた仕様ですか?
鬼畜かな!?
ちょっと想像してみましょう。中二病真っ盛りの自分が語りかけてきたら、正気で会話出来ます? 自分は無理ですね!
意見が変わった、方針転換した。それを他でもない過去の自分に評価されるんです。過去の行動に責任を持てってことなのかな。前を向いて成長することも要求されてるし、プリンタニア世界、心理的には結構ゴリゴリきついよね。
佐藤は良い方向に変わっているようで何より。

第50話 スキンシップは大切です。

ピンクのプリンタニア登場。どんなピンクだろ?蛍光ピンクとかショッキングピンクだったら目に痛そうだな…と思っていたら

ちょっと渋みのある、伝統色の梅色に近い優しい色調でした。

待屋の服がぶかぶかに見えるのは、心理的ストレスで激痩せしてしまったせいだそうです(作者談)
この話を見ていて思うのは、瀬田君って意外と主人公気質だなぁということ。一見目立たないけど、周囲をよく見て解決策を捻り出す。自分に自信はないけど、着実に努力して力をつけていく。自分を投げ出して人を助ける勇気も持ってる。
佐藤よりも主人公っぽいな!?
前に作者さんが描いていたファンタジーRPG風プリンタニアで『勇者瀬田』だったのも納得。

なでなでしてほしいピンクプリンタニア。
むすっとした表情は変わらないけど、一生懸命ぽふぽふアピールが可愛くて好きです。撫でて貰えて良かったね。
皆の協力で日常が少しだけ良い方に動くお話でした。
一対一では行き詰まることも、複数人の視点を交えることで解決方法を探っていける。その希望が明るく描かれるのは、この作品の美点だと思います。

第51話 気の置けない幼馴染み

向井遠野コンビの噛み合ってないようで息ぴったりの絶妙な友人関係がエンジョイできるお話。
向井さんと遠野さんは3巻で和解してますが、一対一では解決できなかった問題も、複数人視点で見直すことで進展するの、すごく良い。
遠野家の犬がテンション爆上げでプリンタニアたちを舐め回して遊んでる。可愛い。
ところで、おまけ漫画で語られる戦闘に参加できるタイプの巨大猫機体がすごく気になります。3巻の巨大すあま大決戦みたいな感じで、ちょっと見てみたいような、見たくないような。

第52話 スクール管理区域(地下)

以前から名前だけは出ていた『スクール』。どうやらほぼ『子供の生活圏』という意味で、しかも地上じゃなくて地下エリアにあるんですね。揺籃器や繭のイメージを感じる。
スクール、大人社会とは完全に隔離されているのがめちゃくちゃ興味深い。卒業生のはずの佐藤でさえ、入館証がないと立ち入り禁止というのが徹底しています。子供はなるべく周囲の影響を受けず、自分の気質を見つめながら育てる方針なんでしょうか。
今回登場した矢浦君、興味の方向性はともあれ、性質は塩野そっくり。

そういえばプリンタニア世界の現行人類、我々が発達障害のグレーゾーンと考えているような性質を持つことが多いですね。

  • 佐藤:自他ともに認めるコミュニケーション能力低い人類

  • 塩野:暴走しがち

  • 遠野:対人能力はあるものの、多数の身体的欠陥

  • 向井:対人能力かなり低め

  • 瀬田:自己肯定感が低くパニックに陥りがち

みんなどこか不安定な部分があるのは、現行人類が元々思考しないものとして扱われる予定だったため、精神的な部分の安定化処理が不足しているのかもしれませんね。

第53話 スーパーもちもちタイム

もちもち! 跡地の正式名称が初登場。プリンタニア療養院っていうのね!?
矢浦君の行動を予測・阻止する佐藤と矢浦コンサルの連携に笑う。
瀬田君の人工腕が進化してて、P.78ではそらまめの突撃を阻むため面白い形になってます。普段子供がいない世界なので、スクール生を見かけると皆がお菓子をあげまくっちゃう感じ、現行人類みな保護者面。
そして改めてプリンタニアの性質がブラックボックスだらけで、可愛いけど心底やばい生き物だなと再確認しました。

第54話 心優しい武闘派集団

今までモブ開拓の人は結構出てたけど、採掘モブをちゃんと見るのは初めてかも!? プロフェッショナル傭兵集団みたいな団体さん、みんな強そう。
訓練室を知り合いが使ってるから入ろ~ってしただけで通報されてしまうガチガチの管理社会、不穏さが隠しきれてなくて良いと思います。

第55話 むきま、ぐるぐる、思想統制

むきまが気になり過ぎて話が入ってこない(嘘)
むきま形態、すあまが前から憧れてる佐藤と並んで街歩きする夢の実現みたいになってるけど、本筋とは関係ないんだ。可愛くて面白いけど。
永淵さんスーパー不穏タイム。旧人類、思想統制までやってたんかい! 本当にろくでもないというか、一体何がしたかったんでしょうね? 全員を思考しない機械にでもしようとしたのか、それじゃあ現行人類の大元と変わらないんじゃないかとか、少しどころでなく不穏。
すあまの言う、上のぐるぐるとは? ぐるぐるした形状のものなのか、惑星の周回軌道に宇宙船でも来ているということなのか。そもそも、宇宙空間のことまで感知できるプリンタニアって何なの?

第56話 お助けロボだって助けられたい!

助けを求めるロボプリさんの点検をしようの回。ロボプリさんは壊れるとひっくり返って助けを求めるらしい。可愛い。
塩野、自分のことを細かい機微が分からない人間だと評しているけども、子供たちに圧迫感を与えないよう、ちゃんと奥に隠れてから佐藤に弱音を吐いたりするの、地味だけど優しい気遣いだよね。塩野が本当に落ち込んでるのでワーッとしてても逃げていかないすあま。そしてすあまも認める佐藤草。読み方は投票の結果、『さとうぐさ』になったそうです。

第57話 インクの三原色、混ぜたら黒

案内プリンタニアのプリンさん登場。出番一コマなのにプリンタニアスイーツコラボにイメージキャラクターとしてちゃっかり入り込んでいる。

https://www.gg-mart.com/c/items/animation_games/printania

彼岸接続するとしゃべるプリンタニアたち。そらまめはしゃべらないので、すあまが特殊なのかと思っていたけど、プランの子たちは普通にしゃべるっぽいので、そう珍しいことではないのかな。
プリンタニアいっぱいで可愛いから見逃しがちですが、プラン内部ではシリンダーで謎の研究をしていたり、真っ黒なプリンタニアが住んでたり、何してるんでしょうね。
でも、黒プリンタニアについては昔作者が語ってました。伏線ですね(絶対違う)

所長、ダイイングメッセージすらプリンタニアなのは愛だけど、よく考えたらダイイングメッセージって犯人を伝えるものですよ。ちょっとだめじゃないですか所長。
あと広報映像やばすぎじゃないですか所長。
向井さんですら体幹が必要だと言っていたプリンタニア騎乗&高速移動とか、実はマッチョなんですか所長。

第58話 考える気持ち、伝える気持ち

いつもプリンタニアの可愛さに狂っている所長が人間としての深みを見せました。特に望まれていなかった生き物をこの世に生み出した責任を負う彼が、望んでいないのにプリンタニアを手元に置こうとする弓立君を諭す言葉が優しくも厳しい。それを受けてプリンタニアへの思いやりをきちんと示せる弓立君、本当にいい子だな…
弓立君が連れ出したプリンタニア、同族の中でも特にのんびりした性格らしく、泣いてる弓立君を慰めたりマイペースにくつろいでたり、いちいち可愛い。
かつての佐藤と塩野を彷彿とさせる二人。そして、矢浦君が外へ行きたがっているということは、つまり…

第59話 鬱展開前にはお風呂回

魅惑のお風呂回
ハイパー可愛いちっちゃいプリンタニアの水浴び。
遠野の手元で喧嘩しちゃってるプリンタニアたちの動きも可愛い。
遠野さんの禁断の過去がいま、明かされる…。
可愛い可愛い騒いでると、噂の『凪の劇』がついに始まります。既に不穏、世界の過去に関する謎がいま…!

第60話 過去、原罪、未来

もちもち漫画を読んでいたつもりが、いつの間にか『火の鳥』になってたよ!という気分。

旧人類が色々とやらかして滅びたことは作中で何度も示唆されていたものの、情報量の多さに頭がパンクしそう。

  • マリヤは最後の旧人類。体型は女性に見える。芯の強そうな性格で技術力も高い。

  • ハリスと猫は旧人類に従属する存在。マリヤの意思に従う。

  • 猫は歴史を二度繰り返せるほどの命を抱えている。1000億人くらいのヒト胚?大地開拓用の人の形をした奴隷として、一律に思考除去処置を施して運用予定だった。

  • 猫には旧人類によるリミッターが多くかかっていて、正真正銘の旧人類であるマリヤの許可で解除できる。

  • 思考除去処置を撤廃し、現行人類を生かすことにしたのはマリヤ。己を複製してコンサルとして補助したのがハリス。人の暮らす場所を構築したのが猫。

  • 過去の猫はまだ単一の思考でしかなかった。現在の『大きな猫』のこと?

  • マリヤはゴールドスリープで待機し、必要な時だけ目覚めていた。

  • 現行人類の一部は猫を疑い、楽園を求めて外へ出た。そして残兵に襲われ、助けに入ったマリヤは連れ去られた。

  • ハリスはマリヤを追い、半壊して発見された。その後、眠りについた。

よく言及されていたマリヤ様、名前からしてそれっぽかったですが、本当に女性だった模様。プリンタニア・ニッポン初の女性キャラ登場です。(唯一のままかもしれない)
しかし、自分が最後の旧人類になると告げ、現行人類に生きる場所を与え、そして己の身を挺して馬鹿息子を守るとか、なんという聖人…! 現代でも崇められている理由が分かります。愚行の果てに滅んだ旧人類からこんなに崇高な人が出るのは正直驚きです。

現行人類は開拓用の生けるロボットとして生み出されたものだから男性ばかりなのかも知れません。単純に筋肉量の問題で。繁殖能力はそもそも持っていないのかもね。
リミッター解除のために旧人類の許可が必要設定、SFあるあるですけど、お役所的形式主義は世界が終わるまでなくならないらしい。哀しみ。
『子供たち』のためにコールドスリープを繰り返すマリヤは『火の鳥 望郷編』の女王ロミを思い起こさせます。あっちほどえぐい設定じゃないところがもち漫画らしいですね。

昔の猫は単一個体、現在のたくさんの猫がウロウロしている状態と比べてみると、かなりシンプルな社会です。
どうして猫は今のような存在になったのか? 多元的な視点を導入するためなのかな、と思います。
マリヤとハリスと猫の楽園は、現行人類と猫のディスコミュニケーションにより崩れ去りました。
マリヤを喪い、ハリスに休眠されて残された猫は、自分の中に多くの視点を持つことで現行人類との対話を深化させる方針を取ったのではないでしょうか。

残兵に捕獲されたマリヤ。残兵に捕まると普通は分解されてしまいますが、旧人類のマリヤが正式な国民ナンバーを保有していれば、分解されずに済んだかも。連れ去られただけで、今でもどこかでコールドスリープなりで存在するのかもしれません。
ハリスが眠る直前に語った言葉は「私のパーツ、マリヤに渡した」でしょうか。これが正しければ、ハリスはマリヤが連れ去られた後に彼女と接触しているとのことで、失われたパーツを探し出せばマリヤもまた見つかるのかもしれません。

凪の劇の最後の言葉、素直に良いなぁと思いました。
これからも間違える。でも、償いながら進みたい。
猫も人も共にお互いの過ちを受け入れたから、今の優しい世界があるんですね。その意味でディストピアという表現も正しくなく、過酷な極限の中で柔らかな優しさを探求した一つの形なのかなと思って眺めています。
この『良かれと思って閉じ込めているもの』と『中から出て行きたいもの』の構図って、2巻始めの佐藤とそらまめの関係まんまですね。動き回られると危ないし、踏んでしまいそうで怖いからケースに入れておきたい佐藤。一方、好きなように自由に動きたいそらまめ。
この対立を和解に持ち込んだのは、コンサルと塩野による発信機付き胴リングでした。実はこの漫画、第三者が介在するコミュニケーションの重要性もテーマの一つなのかもしれません。

まぁ、情報開示レベルで隠されている情報がある以上、凪の劇の内容全体が都合の良い嘘の可能性も残っちゃいますけどね!

ところでおまけ漫画、永淵さんプリンタニアに寄り添われてるじゃないですか。やっぱり今でもこの時の思い出は辛いんだな…

第61話 再び門が開く

塩野の旅立ち。矢浦君が外に出たがっていたんだから、相似形の塩野が外に出たがるのも当然と言えば当然。
出立理由が『佐藤と同じことをやってみたけど自分には向いていないので、もっと役に立てることをやろう』という、すごく健全で前向きな動機なので、健気さに泣けてきます。
外作業は佐藤が嫌がるぐらい危険なようですが、心配しつつも受け入れる佐藤と塩野の会話の端々から二人の成長が感じられ、じんわりしました。
ラストページ、泣いちゃってる大きなプリンタニアは塩野をよく乗せて歩いてる塩野号かな。早く戻ってきてくれるといいですね。

おまけ漫画 Missing, Mixing, Mimicking

問題のおまけ漫画。
凪の劇も大概だったけど、さらにヤバいものを重ねて来たなという感じ。単行本描き下ろしなので、サイト読者は読めない。いやいやいや本編でしょうコレ? 情報量も多すぎて再び頭がパンクします。

  • 凪の劇が扱っていた事件ごろの時間軸。この頃の永淵は生身。親友がいる。二人ともハリスとマリヤを個人的に知っている。

  • 永淵は医療関係者で、マリヤのコールドスリープ管理を担当している。

  • 永淵の親友は猫と共同で精神と思考を保持するシステムを構築中。つまり、彼は彼岸の創造者。

  • 二人とも凪の劇の事件で残兵に襲われ、永淵の親友は命に関わる重症を負い、動ける永淵も危険な環境に置かれた。

  • 永淵の親友はシステムの管理者権限を永淵に委譲し、彼をマリヤのコールドスリープ装置に入れて守ろうと考えた。

  • 永淵は一計を案じ、自分は残兵に襲われる覚悟の上で親友をコールドスリープ装置に押し込む。

  • 永淵の最後の言葉は「ありがとう、バイバイ」

  • 肉体を損傷した親友は彼岸に完全移行した。

永淵の親友が彼岸の住民第一号で歴史の生き証人なのね。
彼岸の住民はマリヤが連れ去られた時代より後の人間たちなんですねぇ。その前の人類の思考は残ってないのか、そうか。
猫が作った彼岸の基盤にある残滓というのは、彷徨える旧人類の抜け殻や謎ニュースを垂れ流す深部のことかしら。

………………。
……?

接続エラー、ID検知不可、再探知エラー、「君がこうなれば良かったね」って何だ?
永淵は助かったから今でもいるんじゃないの?
それなら、永淵の親友はどこに…?

回答は現在の永淵と瀬田の対話で暗示されます。
瀬田君は開拓時代、同行者を命がけで守りました。そして、かつて永淵も命を賭けて親友を守った。
二人とも己を犠牲にしてでも他者を救う人間のはず。しかし、永淵の言葉はどこか自嘲気味で、まるで誰かを犠牲にしてしまった人のよう。
彼岸の住人も友人登録できるのは衝撃ですが、それはともかくとして名前の所がバグってる…記憶の中の永淵が親友に呼びかけた名前もバグっていた。
現在の永淵は過去の永淵と声が違っている…

あ、これアレか!
つまり、我々が永淵だと思っている人物は、凪の時代の永淵親友であって、彼岸システムの構築者本人なんですね!?

本物の永淵は残兵の襲撃にあって回収されたか、それとも事故で命を落としてしまったか。ともかく彼岸に移行することはできなかった。
永淵が自分を評して『バグっている』と言うそれは、名前のことでもあるし、自分を救ってくれた永淵の外見を再現して、彼のように振る舞っているという複雑な状況を自嘲混じりに指しているのか。
プリンタニア世界、名前が対になっている者同士が人間関係でもペアなことが多いですが、瀬田君の相手が誰なのか今まで意識したことはありませんでした。何となく佐藤との絡みが多いものの、佐藤の対は塩野に違いなく、それなら誰が…?と思っていたのですが、解消されましたね。
浅瀬に対して深い淵、永淵以外にはありえない。そしてその永淵は本来の永淵ではないという…ややこしいね!

再び48話など

思ったよりも永淵さんが大分こじらせていることが分かったところで、48話に戻ってみましょう。
永淵がハッとして選んだ『永淵の声』…これはつまり、本物の永淵の声ですよね。それを自分の物理ボディで使うということは、すべてを記憶の中の永淵で塗り替えようとしている? 既に彼岸管理人としての姿は永淵のもの。現実世界でも自分に関するものは永淵のものに変えてしまおうってこと…?
お茶を運んできてくれたコンサル、どっちの永淵のコンサルなんでしょう。どちらでも話が通じるのでややこしい。

55話で思想ならし(性格矯正)について語られましたが、永淵は既に自分に対して試みていたりするんでしょうか。
矢浦との対話で「自分を見失ってからじゃできない」と言っていましたが、既に本人も自分が誰だったのか思い出せなくなっているのかなぁ?
そういえば3巻ラストで大きな猫は旧人類への執着を捨てられない的なことを言っていましたが、まるっとお前のことだよ永淵。
自分を救った親友の姿と名前を使って暮らし、親友の声を探す永淵。クソデカ感情こじらせ過ぎでは…?

救われた側の彼が救った側の瀬田君との対話を通して何を得るのか。今後が気になる展開でした。

最後に

毎度毎度、もちもち可愛いと喜びながら複雑な人間模様にハラハラさせられる漫画です。
今回は永淵がMVP過ぎました。そして外へ向かった塩野の今後は…!?
5巻出るのは一年と少し後ですかね。マトグロッソからポルタに移植したプリンタニア、連載再開を楽しみに待ちたいと思います。

長々しい文でしたが、お付き合い下さってありがとうございました。
今回は4巻のみの感想でしたが、前に推薦記事も書いてますのでご興味がありましたらどうぞ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?