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小説

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#小説

[小説] あんたブスだね

 「あんたブスだね」  レミーは口をぽかんと開けてそう言った相手を見つめた。  「でも私は…

丸膝玲吾
7時間前
1

[小説] 転校生の田中くん

 「今日から転校してきた田中くんです。みなさん仲良くしてあげましょう!」  担任に連れら…

丸膝玲吾
2日前
10

[小説] ショパンと告白

「付き合ってください」 差し伸べられた手を見てジューンは一瞬思案してそばにあった木を指差…

丸膝玲吾
2日前
6

[小説] ダンボールの家

 お尻から喉から血が出るわ出るわ。脛は痛いし目は霞むし。頭は働かなくて、目が合った女性が…

丸膝玲吾
5日前
9

[小説] 嘘つき小倉くん

 「下らないね、そんなの」  小倉くんはサイダーの缶を開けて一気に喉に流し込んだ。小倉く…

丸膝玲吾
9日前
8

かつて僕らは 第一話

 なんで音楽やってんだっけ。  たまに頭がひどく冴え渡り何も感じ取れなくなって、一つの疑…

丸膝玲吾
2週間前
38

[短編] 素敵な海岸

渚に立った。白砂青松の圧倒的な美しさに、私は息を呑んだ。ここは街から外れた、大きな岩に囲まれた砂浜。日も傾いてあたりが段々と夜に飲まれていく。藍色の空と波立つ海が地平線で溶けて混じり合っている。海岸線に沿って歩く。右手には大きな岩が突出していて、岬になっている。波の花が絶え間なく咲いては散って、とても静かだった。岩場に登って先端に腰掛ける。遮るものがないから砂浜にいた時と、景色は大して変わらなかった。岩の表面にはいくつもの溝ができていて、それは世界中からやってきた船が通るため

[短編小説] 不死身人間

私が不死身であるという噂がたった。その噂の発生元は私ではない。いつの間にか青い空を灰色の…

丸膝玲吾
3か月前
6

[短編小説] ひどいじゃないか!

 階段を上がる。心臓がドクンドクンと波打つ。この鼓動の原因は最近の運動不足と、もう一つ、…

丸膝玲吾
3か月前
6

[小説] 金魚と夏祭り

 私のポケットの中には金魚がいる。  それは小学校四年の夏休みのこと。近所の仲の良い子た…

丸膝玲吾
5か月前
7

[短編] 断層

暗記をしている。理解には程遠い行為を繰り返している。理解とは、地中に水が染みていくように…

丸膝玲吾
5か月前
6

[短編] ノート

「理論を頭の中で組み立てる。数式は何に変換されて脳に収まるのか。確か信号だったか。脳には…

丸膝玲吾
5か月前
14

[超短編] 道化

それは0.01%の過ち。99.9%は見ないふり?肥大化されたマイノリティが、瞼の上に覆い被さって過…

丸膝玲吾
6か月前
12

[超短編] 喉が渇いた

喉が渇いた。ふと、この渇きは誰のせいなのかと考えた。ここ三ヶ月、毎日振り続ける雨は大地を潤しても、私を潤すには至っていない。毎晩、私の裸体に覆い被さるようにして寝る彼女も、私の渇きを満たさない。これは世界の欠陥なのだろうか。はたまた私の思い込みなのだろうか。   自販機を探して歩いている。