【随筆】姉の死に思うこと
3月末に義父(92才)で亡くなり、その2日後、姉が亡くなった。
知ったのは義父の通夜の前日。妹からの電話
「◯◯◯、死んだ」
私の頭の中は混乱し、
「うち、明日、通夜なんだけど」と震えながら返事し、
「うん、知ってる」
と妹が答え、姉の死んだ時の様子を教えてくれた。内臓の病気で入退院を繰り返していた事は姉自身から聞いていたからわかっていた。でも、
『こんなに早く』
という思いだった。まだまだ生きると勝手に思っていて、姉から、同じような内容のLINEが来ても
「またか」
と思い、返事しないことも何度かあった。そのことをものすごく、今、後悔している。
「何回も死にかけてるんだから」
姉は電話で笑いながら話した。だが、笑いの中にあるモノを、私は理解していなかった。その度、救急車の世話になっていたのに。姉はまだまだ生きると勝手に思っていた。
姉の遺影は、とても綺麗だった。前撮りしていたという、その姿は
「モデルさんかよ」
と思うほど、綺麗だった。
その時、私は、自分も前撮りしておこうと思った。
姉と私は二卵性双生児。血液型も違い、性格も違っていた。30分早く産まれたから姉、妹になっただけ。でも、大人になっても姉は姉であり私は妹だった。
姉が離婚したのは20数年前。子ども3人を連れて実家暮らしをしていた。現在、姉の子どもたちはそれぞれ結婚、姉にとっての孫も生まれ新たな人生を歩んでいる。
姉がいなくなり、私は体の左半分が透けているという、多分、当事者にしかわからないであろう不思議な感覚に悩まされた。姉を見送り四十九日を迎え、姉の墓参りをして、たくさん話をして、ようやく気持ちが落ち着き、その感覚も消えた。
私は双子じゃなくひとりになったことを今は、実感している。
生きている時よりも姉を身近に感じるようになり、時々、頭の中で話しかけている。夢もみる。笑っている夢ばかりみる。
姉は死んだ。でも、生きている者の中にいる。そう思う。
死んだ人は、そこで終わり。そう思っているが、死んだ事が無いのでわからない。輪廻転生があるのか、それもわからないけど、この世での姉との付き合いは終わった。それだけは云えることだ。
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