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『光』を転用する|相対性理論から考える

こんにちは。ぐりです。

大学の講義もwebに代わり、5月まで外出を自粛している次第です。花見すらできず残念ですが、外出できない今こそ、読書に最適だなぁと思っています。


さて、今回の本は、

『「超」入門 相対性理論 アインシュタインは何を考えたのか』

です。


選んだ動機としては、単純に説明できたらすごいなぁと思ったからです(笑)もともと相対性理論の名前は知っていました。しかし、根本的な原理は知らなかったので、読書をすることで説明できるレベルの知識として身に付けたいと思い手に取りました。


超入門と書いてあり、相対性理論を理解するための原理を1つ1つ丁寧に取り上げてくれています。挿絵もあるので、物理に無頓着な僕でも理解がしやすい本です。


ただこのnoteは読書で知識を得ることだけではなく、自分なりに思考することを目標としています。


そこで今回は、相対性理論における重要因子「光」の正体を理解し、光を抽象化・転用してさらに深く考えを広げていきたいと思います。(抽象化・転用については『メモの魔力』前田裕二著 を参考にしています。)


※文系大学生の視点による書評のため、相対性理論について細かく説明するわけではないのでご留意ください。


相対性理論とは?

光の正体を突き詰める前に、まずは相対性理論について軽く説明をします。

相対性理論は大きく2つの仮説で成り立っています。


1つ目は、「力を受けていない、等速で運動する系である慣性系において、すべての物理法則は等しい」ことです。高校物理の授業でよく出てきた、「力が働いていないとき、物体は等速直線運動をする。」という慣性の法則と同じですね。(こちらはニュートンの考えですが、、、)

2つ目が、「すべての慣性系において、光の速度は一定である。」ということです。(実際は光速度があらゆる条件下の観測者に対して、常に決まった値を示すというのは、確認された経験的事実にすぎませんが、これらを原理として扱っています。)

前者を「特殊相対性原理」、後者を「光速度不変の原理」といいます。


これらの仮説によりできた特殊相対論について以下のように述べられています。

ニュートンの世界では、絶対時間と空間時間にすべて基準があった。(中略)しかし、アインシュタインは、絶対空間とか絶対時間を放棄して、代わりに「光速度」という、”絶対的な”基準を設定した。(中略)光速度を絶対的な速度と考えるということは、入れ物である時間や空間が変わり得ると考えるということになる。

以上を簡潔にまとめると、時間や空間が絶対的なものではなく、その時々によって変わってしまう相対的なものだということです。

この考え方が、過去や未来に飛べるタイムマシンが理論的に作れることを立証しているそうです。(光速に近い宇宙船内の時間は、地球の時間より遅く進むという「ウラシマ効果」によるものです。原理については本著をチェック!)


「なぜ、この原理を使って相対的だと言えるのか?」という問いの答えは、web上で多くの方が説明してくださっているので今回は省略します。


ともかく、相対性理論を説明するうえで、光の位置づけがとても重要だということです。光速度不変の原理が認められなければ、相対性理論が崩壊してしまいますからね。


では光とはいったい何なのでしょうか?


光の正体は、電磁波


アインシュタイン以前から、光の正体については既に公表されていました。


それは、電磁波です。


僕自身、レーザーや後光などのイメージから光が直線的なものだと思っていましたが、実際は電磁波ですから、波形的なものだといえます。


電磁波とは電場と磁場の波のことで、今日は多くの波長が存在しています。可視光線から、赤外線、紫外線などに分けられ、これらを電磁波のスペクトルと呼びます。この電磁波の一部が、光として認識されているわけです。


電磁波の主なポイントは2つで、秒速30万kmという有限の速度を持つことと、媒質のない真空中でも伝わるものだということです。

1つ目の光が有限の速度だということは、「いま輝いている星の光は何万年前の光を見ている」という確説を考えればわかることです。無限の速度であれば、今現在の光が瞬時に私たちの目に届くということになりますからね。

2つ目の光が媒体をもたないことも、星の光を見れば明らかです。宇宙は媒体を持たない真空ですが、距離の離れた星の光もしっかりと届いています。一方、音波などは媒質が必要なので、真空中では伝わりません。(イギリスの理論物理学者のマクスウェルが、光が電磁波であり媒質を持たないことを突き止めるまで、光の仮想的な媒質をエーテルとして実体について長年議論されてきたそうです。)


光は波であり、粒である

波を想像してみてください。

数学の授業で出題されたであろう三角関数のグラフ(サイン・コサイン・タンジェント...)も、波形的なグラフでしたね。

三省堂 大辞林 第三版で調べてると

なみ [2] 【波・浪▽】
① 風・振動などによって水面に生じる上下運動。また、その運動が次々に周辺に伝わっていく現象。(後略)

とされています。

つまり、本来なら波と呼ばれるものは常に連続的であるということです。


しかし、

アインシュタインは光(=電磁波)について以下のように主張しました。

光がとびとびのエネルギーをもった塊=「光量子」として振る舞い、さらに光量子として空間を伝播すると主張したのである。

本著では、星を見る状況を例を使って、主張を強めています。

目に入ってきた光は、まず網膜の視細胞(光を感じる細胞)に当たり、視細胞の中で光化学変化を起こす。(中略)視細胞で光化学変化を引き起こさせるためには、やはり最低限のエネルギーが必要だ。星の光は非常に弱い。だから、もし光のエネルギーが連続的なものなら(暗い所だと長時間露光しないと写真が写らないのと同様に)、長時間かけないと星がみえないはずだ。しかし、実際には、一瞬で星はみえる。(後略)

つまり、アインシュタインは、光は数多くの量子で出来ており、離散的なものであるとしたのです。この光量子仮説によってアインシュタインはノーベル賞を受賞しました。

この光の粒子は、今日では「光子(フォトン)」と呼ばれています。



ここで、光(=電磁波)の特性をまとめてみました。

・光は媒質がない状態で、電場と磁場の揺らぎにより波として発生し、上下運動を繰り返しながら連続的に周辺に伝わる(波動性)

・光は光量子の集合体であるので、そのエネルギーは離散的である(粒子性)


つまり、光は連続的であり離散的であるという二律背反の特性を持ち合わせているといえます。


光の特性を抽象化・転用すると

光を抽象的に表すと、

「連続的であり離散的であるという二律背反の特性を持ち合わせるもの」

といえます。

僕自身、ここまで理解するまで長い時間を要しました。


これからは、文系お得意、思考の領域です(笑)

この抽象化したものを他のモノに転用していこうと思います。



ちなみに皆さんは、連続的で、離散的なモノって何か想像つきましたか?



僕が思いついたものは、、、

「感情」です。

人々は絶えず何らかの感情が生まれています。

自己分析などで良く使われるモチベーショングラフをイメージしてみてください。

縦軸はモチベ―ジョンの高低の度合いを、横軸は時間をとるグラフで、それぞれの場面での感情の浮き沈みを波形的に表しています。時間軸に沿って感情の変化を連続的に示しています。

つまり「感情」は連続的なものだといえます。


また、「感情」は離散的だともいえます。

実は前回の記事で行動や感情の関係性について考えました。


そのなかで、「感情」はその都度湧き上がりは消えていく一過性のものであると定義づけました。

つまり、感情自体もその都度湧き上がる一時的なものの集合であると言い換えることができます。そして湧き上がる感情1つ1つは離散的だともいえます。それらは喜び、悲しみ、怒り、諦め、驚き、嫌悪、恐怖など、違った側面を表しています。


以上より、「感情」は連続的でありながらも離散的であるといえます。

「感情とは何ですか?」と質問された場合に、「光です。」と答えられそうですね(笑)

みなさんはどのようなものが浮かびましたか?


まとめ

今回は、物理学の領域から相対性理論と光について考えてみました。

光速度を不変とすることで、時間や空間を絶対的ではなく相対的に考えるという理論でしたね。

そして相対性理論の重要因子でもある光の正体は電磁波でした。

最後は文系的な視点から、「光」の特性を「感情」に転用して考えてみました。

2020年はアインシュタイン没後65周年のアニバーサリーイヤーなので、彼の血と汗の結晶ともいえる相対性理論について深堀りできて良かったです。



【参考文献】

福江純(2019)『「超」入門 相対性理論 アインシュタインは何を考えたのか』, 講談社


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