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歯医者さんがやさしいところ


「歯医者さんがやさしいところ」というタイトルで、いつか小説を書きたいと思っていた。エッセイでもいいかもしれない。そう思い、おもむろに書きだしている。歯医者さんエピソードを書きためて、いつか書籍化なんかしたらいいなと思う。



大抵のひとが歯医者がきらいだろう。痛いしキーンという音がいやだと決まり文句のようにいう輩ばかりだ。だけど稀に、歯医者さんが好きという変わり者もいる。私のことだ。歯医者さん、と、さんづけしなければいけないような義務感。むしろ歯医者さま。ありがたやありがたや。私の歯医者さま。ううん。やっぱり歯医者さん、がいいな。敬うよりも横に並んでにこにこ笑い合う存在でありたい。これからもよろしくだぜ歯医者さん。


ああ、好きだな、と最初に思った記憶は、高校生。ちいさい頃は特になんとも思っていなかった。それが高校生で歯医者さんのゆりかごのような心地よさに触れてしまったのである。よろこぶべきことだ。もちろん、虫歯ができれば痛い。治療も痛くないわけじゃない。しかし、歯をいじられるとなぜか眠りの国にいざなわれる。きもちいい。ような気がする。眠気。うとうと。こんにちは夢のなかのクジラさん。私はクジラと夢を泳ぐ。毎回、毎回、夢を泳ぐ。


高校生の頃に出会った歯医者さんが、とてもやさしいひとだったのだ。引っ越して何度か歯医者をかえて、記憶が薄れて、一時期忘れてしまったのだけれど、やっぱりあの歯医者さんがよかったなと戻ったときに気がついた。あんなにやさしくしてもらったのに、忘れてた。ごめんなさい先生。また会えてうれしい。先生だから安心していたんだ。歯医者さんが好きだって、いえていたんだ。



そしてまた私は引っ越すことになって、先生とはお別れした。すぐに新しい歯医者さんとの出会い。ぶっきらぼうだけど気安い先生。名乗ってくれないから院長だってわからなかったよ。ていうか、なにやら私の内側が不穏な予感。左の歯茎から顎にかけて、けっこうな大きさの空洞を発見。どうなってしまうの私。もしかしなくてもピンチ。大ピンチ。次回へ続く。気が向いたら。ゆるうく、乞うご期待。

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