見出し画像

読書記録『マスクと黒板』

主人公の立花輝(たちばなてる)は、コロナが始まる前からマスクを着用していた美術部に所属する中学2年生。物語は、コロナによる休校が解除され、分散登校が始まった2020年6月から始まります。

コロナによる密を回避するため、一度に登校できるのはクラスの半分だけ。全員マスク登校で、ソーシャルディスタンスが徹底されているから、ろくにおしゃべりもできない。そんな状況だから、新しい学年になっても、なかなか友だちを作りにくい。

現在小4の娘が小学校に入学したのは、2020年4月のことでした。
入学して早々、4月、5月は学校が休校になり、6月になって分散登校が始まりました。やっと登校できると思ったら、泣きたくなるような梅雨のようなどんよりした天候でした。重たいランドセルをしょって、傘をさして心細そうに家を出た姿を覚えています。

2020年に小学1年生の親だったことは強烈な経験でしたが、皆さんそれぞれが大変な思いをされていましたし、コロナの状況もどんどん変わっていって、2020年を振り返って話をするような機会はほとんどありませんでした。

この物語を通じて、「2020年ってコロナでこんな会話していたな!」と思い返せて懐かしかったです。

本の著書の濱野京子さんは児童文学作家。本書も児童文学に該当するためか、漢字にルビがふられていました。

コロナによる休校を経験した小学生(高学年)、中高校生だけでなく、親世代が読んでも泣ける本です。

「2020年ってこんな感じだったなー」、「青春っていいな!」と感情が波打ち、いつの間にか泣きながら読んでいました。記憶の整理と心の浄化にもおすすめです。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?