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ニューイングランドIPAをニューイングランドで飲んだ話 [4]

Tree House Brewing Company

ボストンから西に1時間も運転するとTree House Brewing Companyに到着します。間違いなく旅のクライマックスの一つになるのですが、このエリアはTree House以外に観光名所が無いと言ってもよく、他のブルワリーに行くついでに寄ってみた、というような効率の良い移動はできません。Tree Houseを真っ直ぐ目指しましょう。

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Tree Houseはこの旅で寄ったあらゆるブルワリーと比べて醸造量が段違いに多く、同時に段違いの集客を誇ります。巨大なタンクが建屋の外にまでそびえ立ち、広大な駐車場はほぼ満車で、多くの人が台車やクーラーボックスにビールを満載にして行き交い、一角にはフードの屋台まで出ているのです。綺麗な芝生に数多くのチェア、ブルワリーと言うよりもビールのテーマパークと言う方が近いのかもしれません。

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当然、テーマパークに行列はつきものです。40分は並ばないとビールが買えないと聞いていたのですが、実際に計ると20分でレジに到達しました。ちなみに上の写真の左上に見えるのは製缶される前の空き缶です。その天文学的本数に絶句です。

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これがこの日買える缶だったのですが、マニアにとってはバイブルに等しいと思います。こうやってカリスマ的なブルワリー自らが一般に向けてビールの説明をするのは意外と珍しく、どちらかと言うと「ビールそのものが語りかけるだろう」的なスタンスの所が多いので、言葉選びも含めて非常に勉強になります。1人が買える本数はThe Alchemistよりも随分多いので、ここからも醸造量の多さが伺えます。稀にタイミングが良ければ1人2本しか買えないような限定のビールが出るらしく、この辺りのレア缶になると日本国内では1万円近くで取引されるようです。

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もう少し寄ってみました。これが缶です。アルミは高いですので、アルミとしての価値だけでもかなりものですね。

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ちなみにこれが製缶のラインですが、もはやアサヒやキリンに近いレベルのクリーンさと規模感です。

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参考として、アサヒの吹田工場はこんな感じです。さすがにアサヒは桁違いですね。

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これがレジなのですが、本数を記入した紙を渡すとピックアップしてきて、すぐお会計してくれます。オペレーションはかなりこなれていると感じましたが、それでも実測で20分は並びました。ちなみにID(パスポート)を用意しておきましょう。もし聞かれた場合、持ってなければ売ってくれませんので。

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夕方になるとテイスティングルームがオープンするのですが、ここでも行列です。ビールのチケットを購入して、そのチケットをカウンターで渡すとビールと交換してくれるシステムです。

実は並んで買った缶をブルワリー内や庭園で飲むのは厳しく禁止されているのです。これは税制や法律が絡んでいると思うのですが、ここで醸造されたフレッシュなドラフトを飲もうと思ったら2回目の行列は避けることはできません。

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今回の東海岸ツアーで立ち寄ったブルワリーでは、ほぼチューリップ型のグラスでサーブされたのですが、ここは普通のグラスでした。チューリップ型でなくても十分なアロマを楽しめるという自信でしょうか。

実際に足を運んで思ったのですが、同じニューイングランドIPAの中でも色々なスタイルを変幻自在に出し入れし、同時にIPA以外のローアルコールなビールさえも高レベルにまとめ上げるその実力は、常に全米トップレベルのブルワリーの一つに挙げられるだけあると感動させられました。The Alchemistが生み出したプリミティブかつ骨太なスタイルを良い意味で拡大解釈し、ここまで巨大テーマパーク化したTree Houseはやっぱり凄かったのです。

この後さらにNYまで南下するのですが、実力のあるブルワリーはローアルコールで作らせても凄い、という事実を何度も見せつけられることになります。

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皆様のサポートに新たな冒険に旅立つことが可能となります。NZ南島に行きたいと思っています。