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ニューイングランドIPAをニューイングランドで飲んだ話 [2]

Hill Farmstead Brewery

The Alchemist Stoweで大きな感銘を受け、その余韻を残しながらも旅はさらに続きます。バーモント州ストーから北東に1時間ドライブしたバーモント州グリーンズボロという小さな町にHill Farmstead Breweryが所在します。

ブルワリーの名前にFarmstead(農場)が含まれていることから分かりますが、The Alchemistの"NO FARMS, NO BEER"というスローガンと通ずるものがあり、実際にこの二つのブルワリーは交流を持ち、NE IPAの元祖としてブルワリーの名前を挙げる場合は必ず含まれます。それほど重要なブルワリーがアメリカの田舎基準ではすぐ近所と言ってもいい、1時間の範囲で隣接しているのが非常に興味深いのですが、バーモント州北部と言う、水と森に恵まれ、メイプルシロップ、リンゴ、葡萄などを名産地とする土地ならではというのは想像できます。

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Hill Farmsteadへのアクセスは大変悪く、ストー側からアプローチすると最後の5kmほどはグラベルロードになります。斜度もなく、二駆のクルマでも容易にアプローチは可能ですが、一部の自転車乗りはおそらく歓喜するであろう、美しいグラベルです。

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The Alchemistをもう少し近代的で大規模にしたブルワリーかな?と想像していたのですが、いたって地味な作り。三角屋根の右側にある開いているドアがショップです。右側の平屋がテイスティングルームになります。余談になりますが、アメリカの多くのブルワリーにはレストランは併設されておらず、フードは常設のフードトラックで購入します。ここもそうでした。

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カウンターの右側からビールを注文します。アメリカではブルワリーでもクレジットカードが使える率は100%です。チップもタブレットをタップ額を選べるのですが、僕は$1を追加する場合が多いです。

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メニューはこれですが、Three Magic Lettersというのが彼らのフラッグシップなので、迷わずこれを注文。ネルソン・ソーヴィン、リワカ、シムコーと3種のホップを使っているのでThree Magic Lettersということでしょうか。

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色は明らかにHeady Topperより濁っています。そして、一口飲むと、どうしても直前に飲んだHeady Topperとの比較になってしまいますが、苦みは強く、ボディはもう少ししっかりとした印象。でも、するすると飲める感じ。つまり何が言いたいのかというと、ひたすら美味しいということです。特にこの風景とペアであればなおさら。

まず、ちゃんとしたチューリップ型のグラスに入れてくれるのが良いです。香りが立ちやすいのでワインでは好まれますが、東海岸では当たり前にこのスタイル、日本でも流行りそうだなと思います。

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実はThree Magic Lettersより衝撃を受けたのはこのShirley Maeというコペンハーゲンのロースタリーの豆を使い、エクアドルのカカオ、ラクトース(乳糖)などを加えたコーヒー・ポーターなのですが、なんとナイトロ(窒素)で入れているのです。3.8%と低アルコールにも関わらず、しっかりとしたフレイヴァーがあり、ナイトロによる美しい泡が超スムースながらも飲み応え十分です。この辺りでHill Farmsteadに完全にノックアウトされました。さすが全米一とも評価されるブルワリーだけあって、冒険的なスタイルのビールでも高いレベルで美味しいのです。

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冒頭で見た目が地味だと書きましたが、ティスティングルームから見える醸造設備は汚染を防ぐため完全にガラスで区切られており、超クリーンに保たれています。大変失礼しました。

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早速ショップでThree Magic Lettersを買ったのですが、1人限定24本までと決まっており、高い人気が伺えます。

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Rate Beerの金メダルが無造作に、無限に掛けてありました。

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ニューイングランド最後の夏を楽しむ人が多数。

この後は東に向かい、マサチューセッツ州を目指します。更に未舗装の悪路を延々と走ることになるのですが、このアクセスの悪さとアドベンチャー感、そして到達した時の感動はクラフトビール界の桃源郷とも言えるべきものでしょう。

好評みたいなのでこの後も続くと思います

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皆様のサポートに新たな冒険に旅立つことが可能となります。NZ南島に行きたいと思っています。