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ニューイングランドIPAをニューイングランドで飲んだ話 [1]

明石焼き

明石焼きと呼ばれる食べ物をご存じでしょうか?出汁で食べるのフワフワなやつです。タコ焼きとは完全に違うものだと言うのは関西以外でも比較的知られていると思いますが、地元明石では単純に玉子焼きと呼ばれています。

Hazyはhypeか?

現在のクラフトビールで主役を張るニューイングランドIPAですが、今ではヘイジー(Hazy)と呼ばれ、日本でも伊勢角屋麦酒の「ねこにひき」を筆頭として醸造されるようになり、UCHU BREWINGのようなHazyに特化したブルワリーさえ登場し、繋がった瞬間に打ち抜かれるような状況が続いています。もっと言うと、ビアフェスなどではある程度濁っていて、Hazyと名前が付いていると何でも売れる、というバブルです。

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西海岸のHazyはそこそこ現地で飲んで飲んでいるのですが、本当の意味でアメリカ東海岸で誕生したニューイングランドIPAは未だ飲んだことがなく、しかも「実は本場のHazyは意外と濁ってないらしい」とまことしやかに流布する伝説、お土産で貰ったThe Alchemist Stoweの伝説的なHeady Topperが劣化しており、あまり美味しくなかったのですが、これがフルコンディションならどれくらい美味しいのだろうか?と膨らむ妄想。その結果、今はこれをメイン州フリーポートで書いています。

さて、明石焼きは明石では玉子焼きと呼ばれていますが、ニューイングランド地方ではニューイングランドIPAはNE IPAと呼びませんし、ましてHazyとも呼びません。単純にIPAと呼びます。イギリスのサッカー連盟がThe Football Associationと名乗るように、ニューイングランドのブルワリーは自らニューイングランドIPAとは呼ばないのです。ここに彼らのプライドを感じます。つまり、美味しいIPAを追求すると結果的に自然と濁ったし、ホップも大量に使いようになっただけなのです。

マーケティングのためトレンドという列車に飛び乗り、濁らせるという前提でIPAを作っているような一部の状況への、静かな、そして強烈な意思表示であるとさえ感じてしまいます。

The Alchemist Stowe

まさにレジェンドです。空き缶さえeBayで高値で取引される伝説的なブルワリーで、NE IPAの元祖の一つとして考えられています。レジェンドに相応しく、日本ではコンディションも良いフレッシュな個体が入手困難で、本当に美味しいHeady Topperを飲むにはバーモント州ストーまで赴く必要があります。この街はバーモント州でも北部に位置し、カナダとのボーダーもすぐです。日本からはボストンまで飛び、ここからレンタカーで行くのが最も現実的な手段だと思います。

僕はボストンに到着したのが日付をまたいだ直後だったので、そのまま頑張って1時間移動してマンチェスターという街で一泊、翌朝ストーまで3時間のドライブでThe Alchemist Stoweまでたどり着きました。こうやってテキストで書くと簡単ですが、KIX-SEA-ATL-BOSというフライトはなかなか強烈です。

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開店のAM11前に到着したのですが、すでにほんのりと行列ができていました。現実に行列は存在したのです!

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臆面なくやります。

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NO FARMS, NO BEER ビールも農作の延長上にあるという考えですね。

行列を見て若干不安になったので、とりあえず前の人の動きを見ようということで列に加わり、AM11と同時に流れ込みます。この列はそのまま全員がスムースにレジまで移動し、順番にレジの女性に欲しいビールを注文し、支払いを済ませるとそのままクルマに積んで立ち去る人が多かったです。

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これが一人の買えるビールの上限です。Heady Topperは3パックまでなので12本までしか買えません。Focal Bangerに至ってはたった8本。スタイルの説明を見ると一切HazyやらNE IPAと書いていませんね。

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ここにはパブはありません。あくまでもテイスティングルームで、無料で3液種を試すことができますが、ちゃんとグラスに入れてくれるのが良いです。チップを$1入れると気持ちよく飲めるでしょう。

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待望のHeady Topper。確かにあまり濁っていない!西海岸で見られるバキバキのHazyと比べても濁りは少ないです。そして一口目。

「なにこれ?!」

僕の安い舌のせいで説明もその程度になりますが、ドンパッチを食べたのかと思うレベルで口の中でホップが弾けたのです。正直、西海岸のHazyを飲んで知ってる気になっていたし、日本のHazyも高いレベルまで来ている所もあると思っていました。あぁ、、これが彼らの追求したIPAだったのかと。

さて、ここから1時間ほどの場所にもう一つの伝説的なブルワリーに向かうことにします。この記事の評判が良ければ続きます

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