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未来のカラス 18

ウェッジは森を出て街に出た。

人影もまばらで、
賑やかな雰囲気すらなく、
ゴーストタウンのようだった。

ウェッジはインターネットバーで
ありとあらゆる検索をした。


父親がいないこと

指導者が混乱していること

チップを拒絶する人間と
毒殺するAIの動きが止められないこと

火星で数億人が死んだこと


地球上でチップを外した反逆者が
出始めていること

延命装置を作るための資源が足りないこと

看取る家族がいなく、往生から焼却、
鼻を砂にしてコンクリートとして再利用していること


高層ビルの空洞化

地表温度のさらなる下降…


ウェッジはただ生きてるだけの
チップの人間を哀れに思った。


幸せや豊かさ、犯罪抑止など
人間の理想を追求した結果生まれたこの現状を
理解出来ずにいた。


支配しようとすると支配される

欲すれば奪われる


自然の流れは尊く、
人間の作り上げたテクノロジーなんて
夜に薄く積もった雪と同じで
朝には解けているくらいのものだ。


数時間スクリーンの前で
調べ続けると
通報があったらしく、
数人の警察官が近寄ってくるのが見えた。


急いでバーを出て森へ帰って行った。

ウェッジはフィノ を撃ったあと
自分が死んだなんて
気づかなかった。


時は数十年前に戻ってる。
痩せこけていた体は十分回復している。


男性たった一つ覚えているのは
遥か空の上
死神と体がリンクした事だった。


お前の命は預かろう

その時がくるまで

頭の中に聞こえた。


それが最後の記憶。


その時ってなんだ?


日暮れ頃、森に戻ると
セシルはウェッジに銃を向けていた。

かつての共産主義国が作った
安物の銃だ。

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