見出し画像

未来のカラス ⑧

ウェッジの嘆き

新しい仲間は比較的早い
サイクルで出入りした。


ウェッジは今でこそリーダーだが
ウェッジにも爆弾を抱えていた。


夕焼け頃になって
食事を漁りに行く頃
決まって夕陽を見つめるのだった。


チップこそないものの
ウェッジは病気でもなく
孤児だった。


親も兄弟すらいるのか分からない。


ただ地下で廃品を拾い日銭を稼いでいた
子供のホームレスだった。


やがて遥か遠くに見える栄えた街並みに
家族がいるのではないか
と考えるのだった。


仲間には見せないが、寂しかった。

死ぬ前に一度でいいから
両親に抱きしめてもらいたかった。


ウェッジはレイプによって産まれた
望まれぬ子供だったのだ。

そんな生い立ちを知る由もなく
家族を想う気持ちが日に日に強くなっていた。

カラス達のほとんどは家族から離れ
自分の意志でウェッジの元にやってきた者が
ほとんどだったが、

ある日ウェッジ自身がゴミ拾いをしてる時
ふと気づいてしまったのだ。

ここから先は

1,183字
この記事のみ 残り10/10 ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が参加している募集

#私の作品紹介

96,516件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?