未来のカラス ⑧
ウェッジの嘆き
新しい仲間は比較的早い
サイクルで出入りした。
ウェッジは今でこそリーダーだが
ウェッジにも爆弾を抱えていた。
夕焼け頃になって
食事を漁りに行く頃
決まって夕陽を見つめるのだった。
チップこそないものの
ウェッジは病気でもなく
孤児だった。
親も兄弟すらいるのか分からない。
ただ地下で廃品を拾い日銭を稼いでいた
子供のホームレスだった。
やがて遥か遠くに見える栄えた街並みに
家族がいるのではないか
と考えるのだった。
仲間には見せないが、寂しかった。
死ぬ前に一度でいいから
両親に抱きしめてもらいたかった。
ウェッジはレイプによって産まれた
望まれぬ子供だったのだ。
そんな生い立ちを知る由もなく
家族を想う気持ちが日に日に強くなっていた。
カラス達のほとんどは家族から離れ
自分の意志でウェッジの元にやってきた者が
ほとんどだったが、
ある日ウェッジ自身がゴミ拾いをしてる時
ふと気づいてしまったのだ。
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