未来のカラス 17
セシルの憂い
セシルは森の中では独りで暮らしていた。
何人か同じような境遇でいたが、
人を警戒していた。
食べるものはあの弾丸の実だけだったが、
不思議な事に
摘んで1日経つと鉄のように
硬くなってしまうので、
毎日摘み立ての物を赤ん坊に食べさせていた。
なんて不思議な実なんだろう。
セシルは逃げてすぐ森で母となったので
寂しくはなかった。
ただ母親への思いが胸を痛めた。
お母さん…
涙をグッと堪えた。
赤ん坊のために家を作らなきゃ
ムラサキの花のつたを使って
半日かけてテントを作った。
我ながら才能あるなぁと自画自賛していた。
中に入ると、わずかな木漏れ日が
心地よかった。
夜食を終わらせて
ムラサキの花を敷きつめたベッドに
横たわった。
ポータブルライトを消して
眠りについていると
辺りになにかの雰囲気を感じた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?