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vol.21 エレガントに万年筆を使いこなしたい 【手紙の助け舟】

みなさん、こんにちは。
喫茶手紙寺分室の田丸有子です。
10月に入りました。全く月日が経つのは早いものですね。いやはや。今年もあと3ヶ月しかないと考えるとなにも焦る必要はないのに勝手にこれではいけないという気分になってきます。みなさんはいかがお過ごしですか。

さて、先日Netflixで映画『ガーンジー島の読書会の秘密』を観ました。
第二次世界大戦直後のイギリス、作家のジュリエットはある一冊の本をきっかけにガーンジー島に住む男性と手紙をやりとりするようになります。手紙にはドイツ占領下で始まった読書会について語られており、そこに集う人々に興味を抱いたジュリエットはガーンジー島に赴きます。そして読書会のメンバーと交流するうちに彼らが抱えている秘密を知るのです。ネタバレになるのでそこから先は話せませんが、おおよそそんなストーリーです。

ガーンジー島の美しい風景、時代を感じさせるインテリアやファッション、小道具に至るまでこだわりを感じさせる映像がとにかく素晴らしいです。中でも私が気に入ったのはジュリエットが万年筆で書き物をするシーン。その姿がなんともエレガントで素敵でした。当時はまだボールペンは存在しなかったのでしょう。手紙を書くにしても、手帳に何かを書きつける時にも映画の中で手書きするシーンには万年筆が使われています。万年筆を日常遣いする行為に憧れを感じました。

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万年筆の日常遣い

私は手紙を書くとき以外は万年筆は使っていません。ふだんは太字のボールペンでメモを取ることが多いのですが、映画を見て万年筆を日常的に使ってみたくなりました。メモ用には太字の万年筆、手帳に書くときは極細字の万年筆で、と筆記具を全部万年筆にしてみたらどんな具合かしら。興味津々です。そんな風に考えていたら、待っていましたとばかりに「これは欲しい」と思える万年筆の情報が入ってきました。万年筆屋さんの思うツボかもしれませんが、タイミングといい、引き寄せた感のある運命的なモノとの出会いは逃したくありません。でもまだ日本では販売されていない万年筆なので、そのうちに実物を確認してから購入を検討するつもりです。万年筆は長い年月をかけて付き合っていく筆記具なので、新しいものを手に入れる時も吟味する時間を大切にしたいのです。

映画の中では、一通の手紙から物語が発展していきます。今だったらメールやSNSのメッセンジャーが最初の一通になるのでしょうか。情緒もへったくれもない味気なさしか想像できないのは私が手紙びいきのせいでしょうか。いいえ、味わい深さは時間も手間もかかるところに宿ると知っているせいでしょう。

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田丸有子(たまる・ゆうこ)|喫茶手紙寺分室 note ライター
手紙文化振興協会認定 手紙の書き方コンサルタント
子供の頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの文通好き。
切手に描かれている美術品や絵画の実物を鑑賞するための美術館巡りが趣味。目下ステイホームで始めたベランダガーデニングに夢中。
blog: CORDIALLY YOURS 手紙魔の手紙物語

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