vol.78 ふたつの時の流れ【手紙の助け舟】
みなさん、ごきげんよう。喫茶手紙寺分室の田丸有子です。
11月4日は一の酉とSNSのタイムラインで流れてくる情報を見て、「え! もうそんな時期?」とおののきました。
今年の酉の市は4日、16日、28日と三の酉まであります。熊手を買いに行かなくてはとスケジュール帳にメモしようとするも、お手紙のイベントが目白押しの11月はなんとも忙しくなりそうで思わずため息をついてしまいました。ありがたいことなのですけれどね。
立冬
二十四節気は立冬の時期(11月7日〜21日ごろまで)に入りました。秋たけなわではありますが、暦の上では冬が始まります。
このころに使える時候のあいさつにはこんな表現があります。
・急に空気がひんやりと感じられるころ…
・暮秋のみぎり、
・小春風がふく穏やかな秋の一日…
・山茶花が咲きだす季節になりました…
・小春日和が嬉しいこのごろ…
・初霜のたよりが届く頃、
秋麗
秋を表す言葉に「秋麗」があります。「しゅうれい」とも「あきうらら」とも読みます。
麗は春の季語。「春麗」は良く耳にしますよね。
秋は「秋麗」、冬にも「冬麗」があります。
うららかな日とは、よく晴れてやわらかい日差しが照り、のどかでポカポカした様子を表します。それぞれの季節にその季節なりのうららかな日が存在しています。
ちなみに夏だけは、特に近年の夏はうららかとはいかないので「夏麗」と使うことはないようです。
今ごろから年末に向けて多忙を極めていく人も多いことでしょう。そんな時も季節の移り変わりを見過ごすことなく過ごせたら良いですね。道に落ちている暖色に色づいた葉っぱや、昼間の空に浮かぶ白い月を見つけたら、立ち止まり、ひとつゆっくり深呼吸。息を吸って吐く、たったそれだけの間だとしても、季節を味わう一瞬は心のゆとりを生み出してくれます。どんなに忙しく時間を過ごしていても、そのすぐそばで自然界はゆったりとおおらかに時をすすめています。ふたつの時の流れがあることに気づいているのとそうでないのとでは心の持ちようが変わってくる気がします。
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