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vol.68 万年筆時間【手紙の助け舟】

こんにちは。喫茶手紙寺分室の西川侑希です。
日中はまだ暑いですが、夜は虫の声が聞こえるようになりました。
元気でお過ごしですか?

万年筆時間

お盆に少し時間があったので、所有している何本かの万年筆をお手入れ(洗浄)しました。
お手入れといっても水洗いをするだけなのですが、私はこの時間が結構好きです。
この時間を『万年筆時間』と名付けていて、無心になれる大切な時間なのです。
コップの中の水にペン先を浸けたときに広がるインクが妖艶で、つい時間を忘れてボーッと眺めてしまいます。
万年筆はボールペンに比べればお手入れや持ち運びに手間がかかりますが、手紙を書くことやお手入れの時間を通して、自分自身に冷静に向き合う時間をつくれるのがよいところのひとつだと考えています。

お手入れ方法は国産メーカー、セーラー社のWEBサイトに詳しく載っています。


万年筆の老舗ブランド ペリカン

私の持っている海外メーカーの万年筆の中で、所有数が多いのがペリカン社のものです。
万年筆ユーザーではない方も、親子のペリカンがデザインされたロゴを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
このペリカン社の歴史とロゴについてについて少し。
ペリカン社の設立は、1838年。ドイツ人の化学者カール・ホルネマン氏によって、絵具とインクの工場が設立されました。この頃の社名はカール・ホルネマンだったそうです。
その後、同社で働いていたギュンター・ワーグナー氏が社長になったことで、ワーグナー家の家紋であったこと、ヨーロッパでは「ペリカン」が母性愛の象徴であったことからロゴとして採用されたということです。
今は1羽のペリカンの子供も、ワーグナーに子供が誕生した時には増えていったそうです。親から子への愛、親から子へと引き継ぐことができる筆記具「万年筆」を象徴しているように感じてしまいます。

最近では万年筆を贈ることは少なくなりましたが、眠っている万年筆をお持ちの方はお子さんや部下など頑張ってほしい人に引き継ぐのも、万年筆らしいのではないでしょうか。

それでは、また来月お会いしましょう。
よい万年筆、手紙生活を。

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西川 侑希(にしかわ・ゆき)|喫茶手紙寺分室 note ライター
手紙文化振興協会認定 手紙の書き方コンサルタント
愛知県名古屋市生れの名古屋市育ち。広告代理店で営業職として勤務したのち、メーカーで商品企画と広報を担当。「文具店が開ける」と言われるほどの文具マニア。
1年間で手紙を書く枚数は500通以上。最近は読書と釣りが趣味。
Instagram  https://www.instagram.com/yuki__nishikawa/

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