「手紙処」誕生秘話 06 新しい郵便の印、Tマーク
こんにちは。手紙寺発起人の井上です。
前回まで、船橋の手紙処ができるまでのことを詳しくお話してきました。
実は、手紙処を語るのに、欠かせない重要なテーマがあります。
それは、手紙処のロゴマークである「Tマーク」のこと。
このマークの作成背景も、ぜひみなさんにお伝えしたいと思います。
より多くの人に手紙処を知ってもらうために。
建築家の押尾先生と手紙処を作る際、手紙処への考え方や、手紙処そのもののことを世の中に知ってもらうためには、そのためのデザイン(いわゆるビジュアル・アイデンティティーとなるもの)が必要になってくると教えていただきました。
そこで、そういった分野で活躍されているグラフィックデザイナーさんを探していくなかで出会ったのが、廣村正彰先生だったのです。
廣村先生は、日本中・世界中の数多くの企業のコーポレート・デザインを手がけ、たくさんの受賞歴もお持ちのグラフィックデザイナー。近年では、東京ステーションギャラリーのロゴデザインや、東京2020オリンピック・パラリンピックの各競技のピクトグラムの作成にも携わった方です。
私たちは、廣村先生に手紙処についてお話しし、
手紙処のマークの作成をご依頼しました。
「手紙寺郵便」として、手紙を届けたい。
いま世の中にある郵便マークはカタカナの「テ」を表しています。この「テ」というのは「逓信省(テイシン省)」の一文字目だとご存知でしたか。
逓信とは「取り次いで音信を通ずること」という意味。今を生きる人々の届けたい言葉や想いを取り次ぐ役割を担う機関です。
では、私たち手紙処は「亡くなった人に宛てた言葉や想い」さえも届けられるような、そんな特別な役割を名乗ることができるのではないのでしょうか。
そんな風に私たちのことを世の中に知ってもらうことを目標に掲げ、
デザイナーの廣村先生にそのためのマークの作成をご依頼しました。
そうして廣村先生からいただいたロゴマークが、Tマークでした。
カタカナのテのマークから、横線を一本なくした文字「T」。
手紙をローマ字にしたときの、頭文字でもある「T」。
T の横線は少しだけ弧を描くようにできており、
横線と縦線の間には、空間があけられています。
ゆったりとした、柔らかさのあるロゴマークです。
廣村先生はこのマークを私たちに見せてくださるとき
「これにしましょう。」と、強い自信をもっていらっしゃるようでした。
私たちもそのお気持ちを信じて、このマークを手紙寺のシンボルマークとして採用することに決めました。
ここから、日本中へ、世界中へ。
Tマークはとても親しみやすく、手紙寺に関する商品や備品に活用しても、
どれもオシャレで、クールなものに仕上がりました。
このマークがあれば、どんな人にも「手紙処」を受け入れていただくことができそうです。これから先、どんな場所にこのマークを活用しても、きっと良いものができるはずです。そんな期待と希望を込めて、私たちは「Tマーク」を大切に使わせていただいているのです。
P.S.
押尾先生と、廣村先生のお力をお借りして形にすることができた「手紙処」。こちらの建物と、Tマークを使った”安堵ポスト”は数多くの賞を受賞しています。日本を超えて、世界中の人に「手紙寺」を知っていただける日はもうすぐそこまで来ているようです。
―――――――――――――――
井上 城治 | 手紙寺 発起人
1973年生まれ。東京都江戸川区の證大寺(しょうだいじ)住職。一般社団法人仏教人生大学理事長。手紙を通して亡くなった人と出遇い直す大切さを伝える場所として「手紙寺」をはじめる。趣味は、気に入ったカフェで手紙を書くこと。noteを通して、自分が過ごしたいカフェに出会えること
を楽しみにしています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?