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【アナゴの日】日本各地でアナゴの食べ方を勉強してきた

結論

  • 川が運んだ山の栄養と食物連鎖によっておいしくなる。

  • 特に鮮度のよいアナゴがおいしい。

  • 生は脂がのってコリコリ食感。火を通すと柔らかくふっくら。

 今回は、アナゴについて語ります。過去、アンコウ、フグ、ウニなど特定の味覚について、深堀りしたところ、ありがたいことに、多くの方に読んでいただいています。
 今まで旅先で出会ったアナゴの食べ方についてまとめました。

アンコウ、フグについて語った回はこちら

ウニについて語った回はこちら

7月5日はアナゴの日

  7(アナ)月5(ゴ)日という語呂合わせと6~8月がアナゴの旬であることから、グリーンフーズという企業によって制定されました。グリーンフーズは寿司、お弁当用にアナゴを調理していた大阪市の企業です。2012年12月から事業停止しています。
 アナゴの日を制定した目的は、アナゴが土用の丑の日の定番であるウナギに続いて夏の味覚として知名度アップを目指したことです。

アナゴとウナギの違い

 アナゴは、薄茶色の身体をしており、全体的に白い斑点があります。浅瀬、砂浜で過ごし、一生、川など淡水に移動することはありません。暗い場所を好み、昼間は穴や岩の影に隠れて過ごしていることから、「穴子」と呼ばれるようになりました。
 一方、ウナギは、背中が黒く、おなかが白い身体をしています。赤道近くの暖かい海で誕生し、海流に乗って日本にやってきて川で成長し、産卵時に故郷に戻ります。どうやって故郷に帰るかは、謎です。驚くべきことに、川を出発してから産卵までの数千キロの旅の最中、何も食べなくなります。戻ってきた後は、1ヶ月間、新月のときに産卵します。川に住むために、海水にも淡水にも対応できる体になっています。ウナギは生命力が非常に強い魚です。
 アナゴは、骨を強化するために必要なカルシウム、目や肌の健康を保つビタミンAが特に豊富です。しかし、ウナギはアナゴの4倍ものビタミンAがあります。アナゴは、ウナギの半分程度の脂質しか含まれておらず、ウナギよりさっぱりしています。

ウナギについて語った回はこちら

全国各地のアナゴの食べ方

江戸の味(穴子寿司、天婦羅)

 東京湾は、墨田川、江戸川、多摩川など多くの川の出口となっており、山々から栄養が入っていきます。山の栄養をプランクトンが食べ、プランクトンを食べるカニ、小魚などをアナゴが食べるから、おいしくなります。アナゴは昔から食べられており、江戸時代、江戸で寿司、天婦羅のネタとして人気でした。
 穴子寿司は、アナゴの甘辛いしょうゆベースのタレで煮たアナゴを寿司ネタにします。シャリ(寿司飯)が隠れるほど豪快な一本にぎりも見た目ほどこってりしてません。
 天婦羅は、エビに並ぶメイン食材。衣がサクサク、身がフワフワで泥臭さを感じないものが理想です。ごま油の香りもほのかに広がります。
 寿司も天婦羅も鮮度が命。素早くぬめりをとって捌いて丁寧に煮込んだり、揚げます。いかに泥臭さをなくすかが課題になっているようです。

日本橋金子半之助の天婦羅定食(お皿からはみ出しているものが穴子の天婦羅)

あなご飯(広島県宮島)

 宮城県の松島、京都府の天橋立に並ぶ宮島は、あなごが名物です。宮島の対岸の東側は、太田川など大きなに囲まれた広島デルタが広がっています。東京湾のように、宮島周辺にも、川によって山から養分が運ばれ、それをプランクトンが食べます。そのプランクトンをカニ、きびなごなどの魚が食べて、それらをエサにするため、栄養豊富でおいしいアナゴになります。さらに、宮島周辺を含めて瀬戸内海は、島が多くあり、陸地と陸地の間が狭く、潮の流れも速くなります。速い潮の流れに飲まれないために質、身が締まります。
 宮島のあなご飯の有名店は、「うえの」、「ふじたや」、「和田」の3店舗。休日になると、1時間以上待つことになります。今回は、日本横断の旅の途中で福岡市まで行く旅の途中だったため、朝から営業していたお店で食事を済ませました。
 アナゴをかば焼きにして一口大に切り、出汁で炊いたご飯にのせたものが「あなご飯」。1901年、宮島へ行くフェリー乗り場の最寄り駅の宮島口駅の名物駅弁として誕生したことが、あなご飯の発祥です。現在では、宮島名物として飲食店で食べられたり、テイクアウトもできます。
 柔らかく香ばしく甘辛いアナゴでごはんがすすみました。一口大に切られているため、食べやすいことも特長です。

芝居茶寮 水羽のあなご飯

のれそれ(高知県)

 のれそれは、穴子の稚魚。土佐湾で獲れます。見た目は細長いシラス。高知の柚子を使ったポン酢、酢味噌、ワサビ醤油につけて食べます。透明感あふれる稚魚は、ほのかに甘いです。

※左側こ写真をイメージしてください。
(見た目そっくりなカタクチイワシの稚魚、どろめ)

生あなご(福岡)

 福岡市天神の回転寿司、「ひょうた寿司」で出会いました。生のアナゴは新鮮なものでないと出会えません。アナゴは、時間が経つと生臭さ、泥臭さが目立つようになります。
 生でアナゴを食べると、加熱したアナゴとは違い、コリコリの筋肉質で脂ものっており、ヒラメのエンガワに似ています。身の美しさにも貴重な経験になりました。

おろしポン酢でいただく

ひょうたん寿司について、続きはこちらをお読みください。

 アナゴの日に、東京から福岡にかけて、さまざまなアナゴ料理を楽しみました。みなさんは、穴子について、オススメの食べ方やお店はありますか?コメントで情報をいただけると嬉しいです。

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