出世街道で出会える2つのラーメンとは?
結論
出世街道に行くと2つのラーメンに出会える。
出世街道
国道41号。富山県富山市と愛知県名古屋市を結ぶ252.1kmの路線。そのうち、富山市〜高山市間90kmの区間を「飛騨ぶり・ノーベル出世街道」と呼ばれています。 これは、日本風景街道の活動によって名付けられ、富山県、岐阜県も観光のPRに利用している名称です。
ブリ街道は、現代のような冷蔵技術がない江戸時代、富山湾でとれたブリを塩漬けにして、飛騨国に入ってから「飛騨ぶり」として名前を変えて、高山経由で長野県へ運ばれました。また、ブリは成長するにつれて呼び名が変わる出世魚です。関東地方では、モジャコ→ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ、関西地方では、モジャコ→ツバス→ハマチ→メジロ→ブリというふうに呼び名が変わります。このように、呼び名の変化の仕方は地域によって異なります。
ノーベル街道は、日本人ノーベル賞受賞者のうち、4人ものノーベル賞受賞者がゆかりのあることから、呼ばれるようになりました。富山市は田中耕一さん(2002年化学賞)の出身地、利根川進さん(1987年医学生理学賞)が小学1年生〜中学1年生の7年間を過ごした場所。飛騨市神岡町は小柴昌俊さん(2002年物理学賞)がスーパーカミオカンデと呼ばれる装置を導入、実験してニュートリノというすべての物を分解すると最終的にたどりつく物質を発見した場所であり、梶田隆章さんは、小柴さん教えをうけて引き継いでニュートリノの研究を進めました。高山市は白川英樹さん(2000年化学賞)が高校まで過ごした場所。
ブリは出世魚であること、ノーベル賞受賞者にゆかりのある場所が多いことから、国道41号のうち富山〜高山区間は「飛騨交流ぶり・ノーベル出世街道」という名前が付きました。
これは、JR高山線富山駅〜高山駅間に相当します。この区間は、神通川(岐阜県に入ると宮川)沿いを入る路線で、渓谷美、水の美しさに感動を覚えました。
ぶり・ノーベル出世街道には、2つのご当地ラーメンが存在します。それは、高山ラーメン、富山ブラック。今回は、この2つのラーメンを食べていきました。
高山ラーメン
高山で「そば」といえば、中華そばのこと。ちなみに、蕎麦は「日本そば」と呼ばれています。昭和初期に屋台「まさごそば」が提供したことが始まりとされています。特徴は、日本そばをモチーフにしていること。現代では鶏ガラがスープのベース。透き通った醤油スープと細縮れ麺が特徴。あっさりしていて、昔ながらの中華そばという感じがします。
また、現在流行りの濃厚豚骨のつけ麺が登場する前から、高山では、ざるラーメンが食べられていました。標高が高山駅で573mと高いとは言え、山々に囲まれた盆地のため、真夏の日中は暑いです。見た目はつけ麺ですが、ざるそばの麺を中華そばに変えたような印象を持ちました。さっぱりとしたつゆで、食欲のないときでも食べられます。
富山ブラック
濃口醤油による見た目が漆黒のラーメン。富山市西町に本店がある大喜(1947年創業)が元祖。「ごはんのおかず」がモチーフです。
戦後直後、食欲旺盛な肉体労働者のため、白米をがっつり食べられるように、食べるおかずのようなラーメンを大喜の創業者が目指したこと。塩分補給も目的でした。口コミで広まり、行列のできる名店に成長しました。現在では、町おこしのために、「麺屋いろは」ラーメン屋さんで広がっています。
麺は固めの太い縮れ麺。スープに負けないために、繊細な細麺ではなく太麺が使われています。スープは豚、鶏の動物系スープを数種類の濃口醤油によって漆黒に染めています。トッピングは粗切りしたネギ、チャーシュー、メンマのみとシンプル。大量のブラックペッパーが振りかけられます。スープだけではなく、メンマ、チャーシューも味が濃いです。最初は二郎のニンニク、脂なしのようなまろやかな味わい。しかし、時間が経つと、チャーシュー、メンマから塩分が溶け出し、さらに濃い味になります。最初によく混ぜ合わせてから食べることによって、トッピングとスープのバランスが絶妙になり、より美味しくなります。塩分とブラックペッパーの辛味で口がヒリヒリします。このヒリヒリが中毒性をもたらすのです。塩辛いため、スープを飲み干しことは厳しいです。そのため、れんげもでていきません。思い出す頃には不思議と食べたくなっているラーメンです。ライスとともに食べ、スープは残すことが地元の方の食べ方です。二郎のようで二郎ではない、そんな魔力が富山ブラックにあります。
お店によって、食べやすくマイルドにしたり、スープのベースを変えるなど、アレンジを加えられていることがあります。富山ブラックの原点を食べるなら、大喜がオススメです。
西町大喜 とやマルシェ店
営業時間 平日 11:00~21:30
定休日 不定休
アクセス JR、あいの風とやま鉄道、富山地方鉄道富山駅直結
今回、出世街道で高山、富山のラーメンに出会いました。あっさりした高山ラーメン、濃い富山ブラックと対照的なラーメンを歴史、背景など比較してもおもしろいです。
まとめ
富山市〜名古屋市の国道41号のうち、富山市〜高山市間の90km区間は「飛騨ぶり・ノーベル出世街道」と呼ばれている。ブリ街道は、富山湾でとれたブリを塩漬けにして高山経由で松本へ運んでいたため、ノーベル街道は、日本人のノーベル賞受賞者のうち4人がかいどうぞいの街にゆかりがあるため。ブリもノーベル賞も出世の象徴として扱われていることから、出世街道の意味合いもできた。
高山ラーメンは、そばをモチーフしていて、細縮れ麺の懐かしいあっさりした醤油ラーメン。
一方、富山ブラックは、おかずがモチーフで、ちゃんぽんのようなストレート麺が塩辛いチャーシュー、メンマ、スープに絡まり美味しい。混ぜることでバランスが整い、絶妙なハーモニーと中毒性を生み出す。