見出し画像

【長野県大町市】北アルプスのシンボルに会いに行ってみた

 長野県大町市にある大町市立山岳博物館。博物館、動植物園で構成されており、博物館では北アルプスの成り立ち、自然、生息している動植物、登山の歴史など北アルプスにおける自然と人の共存というテーマで展示されていました。動植物園では、ニホンカモシカ、ライチョウなど北アルプスに生息する動植物を間近で観察することができます。博物館の3階部分は、展望室となっており、松本市、富山県とは違う山の風景が見られます。

大町市から眺める北アルプス

 今回は、北アルプスの象徴というべきカモシカ、ライチョウについて書きます。

ニホンカモシカ

 ニホンカモシカは、体長1m、体重70kgのウシ科の動物。東日本、四国、九州に生息しています。ニホンジカとは異なります。ニホンジカは草原などを好み、早く走れるように長い脚が特徴です。一夫多妻制で季節ごとに転々と暮らしています。一方、ニホンカモシカはヤギ、ヒツジの仲間です。森林の中で暮らし、雪、岩など足場が不安定な場所でも動きやすいように短い脚が特徴です。主にモミ、ツガの実、スギ、ヒノキの葉を食べる草食動物。一夫一妻制で縄張りを張って定住します。10月が繁殖期、1度に1頭または2頭産みます。
 ニホンカモシカは、人間と同じく、夏と冬で衣替えをします。夏は雨でぬれないようにするため、硬い毛のみ残ります。秋から毛が生えていきます。冬は、寒さから身を守るため、フワフワの柔らかい毛におおわれます。
 弥生時代までは、食糧、衣類にされていました。しかし、日本書紀に神の使いと記載されており、昔から大切に保護されています。1955年、特別天然記念物に指定されたため、捕獲して飼育は禁止されています。現在、動物園で見られるニホンカモシカは、動物園など人によって繁殖された個体です。

山の傾斜を利用して飼育されているカモシカ

雷鳥ライチョウ

 ライチョウは日本では北アルプス、南アルプス周辺の標高2000m以上の場所に生息しています。山は信仰の対象にされ、修験者の修行によって悟りの開くために入る場所とされていました。昔から神の使いとして守られました。生息域では、シカ、イノシシなど天敵の駆除、エサとなるコケモモなどの生育を妨げるイネ科植物の抜き取りなどを行い、保護しています。
 北海道に生息しているエゾライチョウとは違います。エゾライチョウは、年中茶色い羽毛をまとっています。それに対して、ライチョウは夏、秋、冬の計3回衣替えをします。夏は背中黒っぽいこげ茶でお腹は白いです。羽毛が薄め。シャツを羽織ったような羽毛です。冬は全身真っ白で的に見つかりにくくしています。足にも羽毛に覆われて防寒対策も施します。秋はこげ茶で木にカムフラージュ。季節によって衣替えをして周りの風景に溶け込み、天敵に見つかりにくくしています。
 ライチョウは日本が大陸と陸続きだった時代に上陸しました。氷河期が終わり、水位が上がってから日本の高山へ移動。北極圏に生息していて、暑さが苦手です。そのため、緯度の低い地域では、高山に生息するようになりました。繁殖期は6月。3月下旬〜4月、オスは縄張りを作って喧嘩。目の上の赤い肉冠でメスにアピールします。3月下旬に訪れたため、赤い肉冠をした個体が観られました。一夫一妻制で人間の夫婦と一緒でどちらか死ぬまで付き合い続けます天然の屋根の役割を果たし、上からの敵を守るために、ハイマツの下で枯葉など敷き詰めて巣を作ります。排卵から3週間ほどで誕生。7月中旬メスが餌やトイレに行くときもオスが付いて行って守ります。ヒナの成長は早く、生まれてすぐ歩けるようになります。しかし、オコジョ、カラスなど天敵に襲われたり、デリケートなため、体温調整ができず、雨や霧で凍え死ぬこともあります。8月には行動範囲が広がり、たった2ヶ月で親と分かれて生活するようになります。1年後には卵を産んで繁殖できるようになります。餌は、虫や植物の芽、葉、茎などです。
 山岳博物館では1959年からライチョウの研究を始めており、繁殖と保護を目的として飼育されています。園内で繁殖した個体を自然に返し、自然繁殖させることを目標に日々研究されています。

アピールのため、赤い肉冠を施した個体

 館内には北アルプスに生息する動物の剥製もあり、骨格標本もあります。館内外で動物園のような雰囲気です。

北アルプスに住んでいるカモシカ、ニホンザル、狸

大町市立博物館

営業時間 9:00~17:00(16:30まで入館)
定休日  月曜日(祝日の場合翌平日休館、7、8月無休)、年末年始
アクセス JR信濃大町駅から徒歩25分

 前回の記事では、サントリーの天然水の視点から、今回はニホンカモシカ、ライチョウの視点から、北アルプスについて考察しました。次回、富山県、長野県各地から眺める北アルプスの風景について考察しますので、お楽しみに。

関連記事

参考文献


よろしければサポートお願いいたします!いただいたサポートは、よりよい記事の作成、クリエイター支援などnoteのクリエイター活動に利用させていただきます!