見出し画像

名古屋で和菓子が発展した理由

結論

  • 江戸時代、尾張徳川家が和菓子のクオリティを上げた。

  • 娯楽の解禁後、庶民にお茶文化が広がり、和菓子も広まった。


6月16日は和菓子の日

848年6月16日、仁明天皇が神のお告げに従って16種類のお菓子、お餅などを神前に供えました。疫病退散を誓って、「承和ジョウワ」から「嘉祥カショウ」に改元したことがきっかけです。以降、明治時代まで嘉祥の祝としいう儀式として疫病を払い、健康と幸福を招くめでたい行事として受け継がれました。

1979年、全国和菓子協会によって『嘉祥の日』を現代に復活させたのが「和菓子の日」です。和菓子の日には、和菓子屋さんで限定の和菓子の販売など、さまざまなイベントが行われます。

2024年は、名古屋の和菓子に注目します。

なぜ、名古屋で和菓子が発展したのか?

江戸時代、名古屋では、尾張徳川家の藩主が代々、茶湯に熱心でした。茶会で出すお菓子は、関西から職人を集めるほど、お菓子作りに力を入れていました。

7代藩主徳川宗春の時代には、経済を活性化させるため、芝居など様々な娯楽を興じることを庶民に解禁しました。庶民にも、お茶、芸事のお稽古が浸透しました。濃尾平野は肥沃な土地のおかげで生産性が高く、庶民の暮らしも豊かで生活にゆとりがあったため、娯楽が発展しました。

名古屋は、江戸と大坂の中間地点にあり、両方の文化が入ってきます。そのため、和菓子も独自の進化を遂げています。

お稽古の後にお茶を飲みながら雑談する習慣が、時代の流れによって変わりました。高度経済成長期以降、出張、商談などビジネスの会談の場で手土産に和菓子をもっていく文化が登場しました。その結果、令和時代も和菓子屋さん、和菓子の生産量が多いです。

2021年の和菓子の生産額は京都府についで全国2位です。

名古屋は小倉あんの消費も多い

名古屋市は、あんこの消費も多いです。スーパーマーケットには、あんこが缶詰タイプ、チューブ入りタイプ、真空パックタイプで販売されていました。

トーストの上にのせて食べたり、小さなホットケーキを作ってあんこを挟み、どら焼きとしても成立します。

あんこは、小倉あんともいわれています。小倉あんと呼ばれている理由は、京都市西部にそびえる小倉山のふもとで誕生したからです。平安時代初期、空海が中国から小豆を持ち帰りました。京都の和菓子職人、和三郎が、京都市西部の小倉山のふもとで、栽培し、収穫した小豆を砂糖で煮詰めて朝廷へ献上したことがはじまりです。

小倉トースト

トーストの上にあんこをのせたパンです。バターを塗るタイプ、バターを乗せるタイプ、食パン→あんこ→食パンの順に組み合わせて、食パンの表面をトーストさせるタイプなど、好みは人それぞれです。

名駅から北東に20分ほど歩くと、円頓寺商店街があります。円頓寺商店街には、喫茶まつ葉という、名古屋一歴史のある喫茶店があります。喫茶まつ葉は、栄にあった小倉トーストの発祥、満つ葉(名古屋市緑区で復活)をほぼ引き継いでいます。満つ葉は小倉トースト発祥のお店です。小倉トーストは学生がトーストにぜんざいを浸して食べているのを見て考案されました。

バターが染みたトーストの表面、あんこ、食パンの一体感がたまりません。アンパン、たい焼きとも違う表情が見られます。

喫茶まつ葉について書いた記事は、こちら↓

名古屋名物の和菓子

ういろう

ういろうは、うるち米の粉に砂糖を加えて練り、型に入れて蒸したお菓子です。もっちり食感の中にほのかな甘甘味も感じられます。黒砂糖、抹茶、小豆、サクラなどカラフルです。ういろうは、名古屋だけではなく、山口県、徳島県も有名です。

ういろうの名前の由来は、中国から伝わった透頂香トンチンコウという痰止め薬を飲んだ後のお口直しに食べられた説、黒糖で染められたういろうが、透頂香に色が似ていたからという説があります。

透頂香は、足利義満の時代、中国の朝廷で薬を扱う職をしていた陳宗敬が日本に帰化し、博多に伝えました。薬を扱う職のことを、当時の中国では、外郎(ういろう)と呼んでいました。陳宗敬の職業から、透頂香は外郎とも呼ばれていました。

名古屋にういろうというお菓子が伝わったのは、17世紀前半、尾張藩の官公庁向けの商人だった餅文総本店の創業者、初代餅屋文蔵が陳元贇から製法を教わりました。陳元贇は明出身で2代目藩主徳川光友のサポートをしていました。

青柳ういろう、大須ういろ、餅文総本店が名古屋を代表するういろうのお店です。

鬼まんじゅう

角切りにしたサツマイモがゴロゴロ入っています。鬼の金棒に見えることから、鬼まんじゅうと呼ばれています。小麦粉で作った生地を蒸すことにより、もちもちに仕上がります。


今回は、名古屋で和菓子が発展した理由、名古屋名物の和菓子について話しました。

徳川美術館の近くにある芳光、名鉄百貨店の地下にある吉芋など、名古屋には美味しい和菓子屋さんがたくさんあります。

お気に入りの和菓子屋さんを探すことも、名古屋旅の醍醐味になります。

関連記事

参考文献

荒俣宏,(2010),名古屋開府400年記念誌 尾張名古屋大百科,ぴあ
河合敦,(2022),愛知県の教科書,JTBパブリッシング

この記事が参加している募集

#至福のスイーツ

16,244件

#ご当地グルメ

15,924件

よろしければサポートお願いいたします!いただいたサポートは、よりよい記事の作成、クリエイター支援などnoteのクリエイター活動に利用させていただきます!