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【春の味覚】ホタルイカに密着した1日in滑川、富山

結論

 富山湾の春の訪れを告げるホタルイカについて、勉強して食べて買って観察する1日になりました。

ホタルイカ

 体長4〜7cmの小ぶりなイカ。脚、皮膚、目に約1000個もの発光器を持ち、ホタルのように光るから、ホタルイカと呼ばれています。3月〜6月上旬は産卵期で、夜にホタルイカの大群が海岸近くまで行きます。この時期の富山市~魚津市辺りの海岸は夜になると無数の青白い光を放つ光景が観られます。
 今回のテーマは、1日かけてホタルイカに向き合った話。朝、ほたるいかミュージアムで勉強し、昼はホタルイカを食べ、夜、浜辺に打ち上がるホタルイカの観察に挑みました。


滑川市

 富山県東部に位置する滑川市はホタルイカの街として知られています。滑川では、約300年前からホタルイカ漁の歴史があり、当時は「ホタルイカ」のことを「コイカ」、「マツイカ」と呼んでいました。ちなみに、マツイカと呼ばれていた理由は、イカの煮汁を松の肥料に利用していたから。20世紀に入ってから本格的な漁が始まり、1922年、「ホタルイカの群遊地」として国の天然記念物に指定され、観光資源としての活用も始まりました。

ホタルイカの街、滑川

道の駅ウェブパークなめりかわ

 富山地方鉄道本線、あいの風とやま鉄道滑川駅から海岸に向かって徒歩10分の場所にある道の駅滑川。ここでは、1階は、ほたるいかミュージアム、カフェ、お土産屋さん、2階はレストランがあります。富山湾、立山連峰の絶景を眺めることができる展望台もあります。


ほたるいかについて【学ぶ】

 ほたるいかミュージアムでは、ホタルイカの生態を学び、ホタルイカの発光の観察、ホタルイカに触れました。
 パンフレットの写真では青色に光っているように見えます。しかし、実際にホタルイカの発光を見ると青白い光でした。ホタルイカの光り方は3種類あります。カメラのフラッシュのように強く短時間発光する「脚発光」、弱く全身を照らす「皮膚発光」、謎が多い「眼発光」。皮膚発光は夜の水面の薄暗いときに、影を消して身を守るために弱く発光します。下から覗くと影が見えてしまい、敵に見つかりやすくなります。そのため、影を消すために体を青白く弱く光らせます。強すぎると、目立って意味がありません。一方、脚の発光は敵に襲われたときに敵を驚かせ、身を守るために発光します。そのため、強い光を短時間放ちます。
 ホタルイカの発光ショーてば、皮膚発光と脚の発光の2種類を観察できます。皮膚発光は、青白い光がぼんやりと見えます。目が慣れるまで分かりにくいです。スマートフォン、パソコンなどデジタル機器を普段から使用されていると、暗闇に目が慣れずに見えにくいことがあります。一方、脚の発光は強いため、豆電球のような光が10秒程度見えます。写真撮影NGのため、自分の目で確かめてください。
 タッチプールはとにかく冷たいです。水温は5℃程度と、ホタルイカの生息域に近い温度をキープしています。ホタルイカにストレスを軽減させる工夫です。手を冷やしてからホタルイカをそっとすくうと、発光が観られるかもしれません。しかし、長時間入れると、手が凍えます。小さいホタルイカですが、泳ぎは早く、手に乗せようとすると、スイスイと逃げていきます。ホタルイカは、足の付け根に固いくちばしがあり、時々噛まれて痛みを伴うこともあるので、お気を付けください。触感は、イカと変わりません。

タッチプール内を泳ぐホタルイカ

 ちなみに、展示されたホタルイカは、魚の餌として命を使い果たします。
※ホタルイカ漁の状況次第で発光ショー、タッチプールの内容が変わる場合がありますので、事前に下記の参考文献に掲載したホタルイカミュージアムのホームページをご確認ください。

ほたるいかミュージアム
営業時間 9:00~17:00(受付は16:30まで)
定休日  6月~3月中旬の火曜日(祝日の場合、翌日)
     年末年始、1月最終月曜日から3日間
アクセス 滑川駅から徒歩10分
入館料  3月下旬~5月 高校生以上820円、3歳~中学生410円
     6月~3月中旬 高校生以上620円、3歳~中学生310円


ほたるいかを【味わう】

 ほたるいかミュージアムの2階にあるレストラン、「パノラマレストラン光彩」では、富山湾を眺めながらホタルイカなど地元の食材を使った料理が食べられます。
 ホタルイカのさまざまな料理を食べたいのであれば、蛍烏賊御膳(2400円)がオススメです。お造り、酢味噌和え、天麩羅、煮干し、沖漬けでホタルイカを味わいました。

 ホタルイカの内臓には、寄生虫が存在するため、ホタルイカの生食は適してません。寄生虫を殺すためには、加熱か冷凍することが必要です。2017年、冷凍技術が確立され、寄生虫を殺しつつ、鮮度を保つことができるため、生でも食べられるようになりました。さらに、年中新鮮なホタルイカを食べることもできるようになりました。ホタルイカはコリコリで胴体も通常のイカの耳(エンペラ)を食べてるような感覚です。
 松前漬から分かることは、寝せたほうが美味しくなるということ。イカの胴体から旨味の詰まったつゆがジュワッと出てきて、やみつきになります。
 天ぷらは足がサクサクで胴体はふっくら柔らか、酢味噌和えは茹でたホタルイカがプリプリとしていました。茹でたホタルイカは鮮やかなピンク色、丸々とした形に変化しています。この鮮やかなピンクの色から、「桜煮」とも呼ばれています。
 煮干しは、噛むごとにイカの旨味が広がります。スルメイカより食べやすさを感じます。お土産屋さんでも販売されています。
 他にも、パスタの具にも使用されるなど、洋風の蛍烏賊料理を味わうことができます。

上からホタルイカの天麩羅、酢味噌和え、お造り
ホタルイカの沖漬け

パノラマレストラン光彩
営業時間 11:00~18:00(L.O.17:30)
定休日  6月~3月中旬の火曜日(祝日の場合、翌日)
     年末年始、1月最終月曜日から3日間
アクセス 滑川駅から徒歩10分


ホタルイカを【買う】

 ホタルイカのシーズンになると、採れたてのホタルイカの茹でたものも販売されています。お土産には、沖漬けがぴったりです。宅配で瞬間冷凍させたホタルイカ、ホタルイカの浜茹でもオススメです。
 滑川市の隣、魚津市にある昔ながらのフジタ和洋菓子店。深層水など地元の食材を使ったスイーツが味わえます。ここで購入したお土産が、ほたるいかクッキー。インパクトのある名前のスイーツ。クッキー生地にホタルイカの粉末が練りこまれています。見た目ではわかりません。食べると、サクッとしたクッキー。ほのかにホタルイカの風味が広がります。他にも、富山湾の宝石と呼ばれ、世界でも富山湾のみでしか獲ることのできない幻の白エビクッキー、ヤギミルクのクッキーもあります。お土産にピッタリです。

道の駅滑川
営業時間 11:00~18:00(L.O.17:30)
定休日  6月~3月中旬の火曜日(祝日の場合、翌日)
     年末年始、1月最終月曜日から3日間
アクセス 電鉄魚津駅から徒歩10分

フジタ和洋菓子店
営業時間 11:00~18:00(L.O.17:30)
定休日  6月~3月中旬の火曜日(祝日の場合、翌日)
     年末年始、1月最終月曜日から3日間
アクセス 滑川駅から徒歩10分


ホタルイカを【見る】

 ホタルイカは寿命が1年。子孫を残し、使命を果たします。富山県中央部~東部にかけて使命を果たした大量のホタルイカが海岸に打ち上げられることがあります。このときに発せられる光に、命のはかなさを感じます。地元では、この現象を「ホタルイカの身投げ」と呼ばれています。
 ホタルイカの見投げは、21時〜26時頃に観られます。観られる確率が高まる3条件は、「新月前後の真っ暗で晴れていること」、「南寄りの風が吹いていること」、「前日に雨が降っておらず、川が濁ってないこと」。確率が上がるとはいえ、年に数日しか見られるチャンスがないため、見られたらラッキーというマインドで観察しましょう。
 地元の方は、まるで洞窟の探検のような完全防備をしていました。ライト付ヘルメット、長靴、合羽を着用して濡さない対策が施されていました。
 訪問時は、このホタルイカの身投げの見られる確率が高まる3つの条件が揃っていました。そのため、岩瀬浜海水浴場で観察を試みました。富山駅から富山市電を利用して30分かけて岩瀬浜駅へ。そこから徒歩10分のところに、岩瀬浜海水浴場があります。夜中にもかかわらず、駐車場は満車に近い状態でした。県内だけではなく県外ナンバーも見られました。駐車場から海岸に向かうとき、真っ暗で海岸の入口が分かりません。ライトは必須です。
 21時に着いて22:30まで90分間のトライ。結果、一つのぼんやりした白い光は見えました。これが、ホタルイカの発光なのか、ライトの反射か、わかりません。しかし、朝、ほたるいかミュージアムの発光ショーで観た淡い青白い光にそっくりでした。

22:00頃の岩瀬浜海水浴場

まとめ

 ホタルイカについて密着した1日。朝、ほたるいかミュージアムでホタルイカの生態、滑川とホタルイカの関係を学ぶ。昼、ランチでホタルイカをさまざまな料理によって味わう。夜、ホタルイカの身投げの観察する。
 ホタルイカのはかない命を感じました。沖漬けのあふれる旨味がたまらず、お土産に購入しました。
 皆さんも、ホタルイカの発光を観るために富山県を訪れてみてはいかがでしょうか?

参考文献


オススメのホタルイカ土産


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