ゴールドラッシュ下部温泉編
結論
下部温泉は、金、ボロネーゼ、2種類の源泉により、車なしで日帰りでも充分癒される。
11月26日は、いい風呂の日
11月26日は、日本浴用剤工業会によって、いい風呂の日と制定されました。日本浴用剤工業会は入浴剤の安全性、品質の維持、普及活動を行っている団体です。いいふろの日は、元々、入浴剤の使用促進の宣伝のために制定させました。
2023年のいい風呂の日は、お風呂の視点から、古代ローマと日本のつながりについて学んだ話をしました。
2024年のいい風呂の日は、金のとれる温泉について話します。
下部温泉(山梨県身延町)
下部温泉は、山梨県の富士川のほとりにあります。静岡方面へ2駅下ると、身延駅です。身延駅の近くには、桜の名所、日蓮宗総本山として有名な身延山久遠寺があります。
中央本線甲府駅、東海道本線静岡駅から特急ふじかわを利用し、それぞれ43分、95分で下部温泉駅に到着します。
歴史
下部温泉は、武田信玄の父、武田信虎の時代から武田家が利用しており、武田信玄の隠し湯の一つと言われています。武田軍が川中島の合戦から戻ってきた後、疲労回復や、傷を癒やすために入浴したと伝えられています。
下部温泉には、源泉は2種類あります。武田氏の時代から、親しまれているぬる湯、2006年に供給が開始されたあつ湯の2種類です。それぞれ30℃前後、50℃前後と温度が異なります。どちらもアルカリ単純泉です。人体は弱酸性のため、中和され、ツルツルの感覚がします。
甲斐黄金村湯之奥金山博物館
下部温泉の東側に毛無山(標高1964m)があります。毛無山周辺では、武田信玄が甲斐国を治めていた時代、金の採掘が行なわれました。露天のみで採掘され、当時最先端の技術を誇りました。武田氏滅亡以降は衰退しました。しかし、毛無山の金採掘で培われた技術は佐渡金山、石見銀山などの全国の鉱山開発、用水路、橋の建設に活かされました。
現在は国指定の史跡として保護され、金の採掘が禁止されています。金鉱石の純度が低いため、掘って精製しても借金が増えるだけです。
甲斐国では、江戸時代まで、甲州金と呼ばれる独自の通貨が使われました。武田氏の時代から独自の貨幣制度があり、日本で初めて制度化された貨幣として注目され、江戸時代の貨幣制度にも影響を与えました。
甲斐金は両が最高単位で、分、朱の順に4分の1ずつ単位が小さくなります。1両は15g程度の純金でできています。1両の甲州金をつくるために、毛無山の金鉱石は1tも必要でした。
甲斐黄金村湯之奥金山博物館では、下部温泉周辺の金について、歴史と技術の面をより詳しく学ぶことができます。甲州金も展示されていました。
砂金堀りも30分間体験できます。砂をザルですくい、自動車のハンドルのように左右に回しながら、砂を落としていきます。金は同じ体積の砂より重いため、ザルを揺することにより、沈んでいきます。砂をとり除くころには、金だけが底に残ります。その金を回収します。
砂金堀りで手に入れた金は持ち帰ることができます。
7月上旬には、砂金掘りの大会もあります。体験してみてセンスを感じた方は参加することをオススメします。
下部ホテルでランチ
下部ホテルは、下部温泉最大のホテルです。ランチにボロネーゼが食べられます。パスタは、ほうとうのような平麺と一般的な麺の2種類がありました。お持ち帰りもできます。
アルカリ性の下部温泉の源泉で茹でるため、麺の表面で化学反応が起こり、通常のパスタよりモチモチ感が増します。ほうとうとは、ちがう食感です。濃厚なボロネーゼソースとよく絡みます。
チーズをたっぷり乗せたり、トマトソースベースにすることもできます。
午後から温泉でくつろぐ。
下部温泉駅前には2ヶ所、日帰り入浴のできる施設がありました。下部ホテル、しもべの湯です。今回は、しもべの湯に入りました。下部ホテルでも、11~15時、入浴できます。
しもべの湯では、ぬる湯とあつ湯の2つの源泉につかることができました。ぬる湯は体温に近く、身体の内側からじっくり温まります。長時間入って上がると、30分間は内側からポカポカしているのが感じられます。一方、あつ湯は身体の表面から温める感覚です。露天風呂、サウナもあり、1時間近く入浴していました。
下部温泉はアルカリ単純泉です。人体は弱酸性のため、皮膚上の汚れがアルカリ性の温泉にあたり、中和されます。汚れがとれて、ツルツルの肌になっているように感じました。
しもべの湯の館内には、レストランもあります。
今回は、山梨県の下部温泉を訪れた話をしました。運転しなくても下部温泉を日帰りで満喫できます。