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寒いときに食べたい四川料理&中国に行ったときに、日本の中華料理店の感覚で注文してはいけない料理の紹介

結論

  • 夏の蒸し暑さが四川料理の辛さと痺れを生んだ。

  • 日式四川料理の多くは陳建民によって作られ、中国にも逆輸入されている。

  • 四川省に行って回鍋肉、青椒肉絲、水煮魚を注文するときは注意が必要。


四川料理

四川料理は、北京料理、上海料理、広東料理に並び、中国料理の四大料理の一つとされています。パンダの保護センターのある四川省を中心に食べられています。唐辛子の突き刺さる辛さの「辣」、花椒の痺れる辛さの「麻」が合わさった「麻辣」が特徴です。

なぜ、激辛料理が多いのか?

四川省は盆地にあります。夏は30℃を超えて、降水量も多いため、湿気が盆地内に溜まりやすいです。冬は0℃付近まで冷えることがあり、乾燥しています。唐辛子の突き刺さる辛さと花椒の痺れによって夏は発汗を促し、食欲を高めます。冬は身体をあたためます。

四川料理にかかせない調味料

花椒

中国特有の山椒で赤い実が特徴です。日本の山椒よりシビレが強いです。日本では、粉にして仕上げに振りかけることもあります。しかし、四川料理では、実のまま入れることが多いです。花椒の実は食べずに残します。

豆板醤

豆板醤は、空豆を発酵させてから唐辛子を混ぜて作った辛味調味料です。辛味だけではなく、旨味もあります。日本のかんざしが豆板醤に近いです。
かんざしについては、下の記事に書きましたのでお読みください。

代表的な四川料理

日本でも知名度のある料理が多く、麻婆豆腐、担々麺、火鍋、よだれ鶏があります。バンバンジー、回鍋肉、青椒肉絲も実は四川料理です。さらに、水煮魚という料理もあります。今回挙げた料理について解説していきます。

よだれ鶏(口水鶏)

「口水」は日本語で、「よだれ」です。花椒のしびれによって、口からよだれが垂れるほどの状態になるから、「よだれ鶏」と呼ばれています。

鶏肉をネギ、生姜を加えたお湯で茹でて一気に冷やします。ゴマ油、濃口醤油、たまり醤油、花椒油、ラー油、八角などで作ったタレをかけて食べます。

辛さとしびれだけではなく、うまみも感じられます。鶏肉が柔らかいです。

バンバンジー(棒々鶏)

茹でてから骨を取り除いた鶏肉を軽く棒で叩いて柔らかくして細切りにする調理工程が名前の由来です。日本では、ゴマダレをかけます。本場は、花椒の風味を足します。

日本のバンバンジーと味がほとんど変わらず辛味は弱いため、オススメです。

火鍋

季節関係なく食べられる鍋料理です。19世紀前半の清の瀘州(四川省南部)が発祥です。日中戦争のとき、中華民国が重慶から南京に移したときに全土に広まりました。

日本のしゃぶしゃぶ食べ放題のお店のように、スープ、つけダレ、具材をそれぞれ選んで注文します。テーブルで鍋に火をかけ、煮立ったら具材を入れて火を通してタレにつけて食べます。

赤いスープ(麻辣)は、牛脂、豆板醤、干し唐辛子、生姜、花椒などが入っており、激辛です。一方、白いスープ(白湯)は鶏ガラ、豚骨などを煮込み、漢方が入っており、辛くありません。

四川名物の鴨の地を固めた血旺も名物です。味はレバーに近いです。食感はプルプルで歯ごたえもあり、水をきった絹ごし豆腐に近いです。

S字で仕切られた鍋(鴛鴦鍋)が開発されると、異なるスープを同時に楽しめるようになりました。日本でも、鴛鴦鍋を使ったしゃぶしゃぶが使われるようになりました。日本のしゃぶしゃぶ食べ放題は、火鍋を元に独自に進化したと考えられます。

日本で独自に進化した四川料理

現在、日本で食べられている四川料理は、四川省出身の陳建民さんがほとんど作ったと言われています。陳建民さんは、1952年来日して、1958年、西新橋に四川料理のお店「四川飯店」を開きました。しかし、当時は今ほど本場の味が受け入れがたく、刺激が強く、辛すぎる料理は、日本人には合わず、売上も伸びませんでした。

奥さんとともに、日本にある食材を使ったり、辛さを抑えることによって日本人の味覚に合うようにアレンジを加えました。日式四川料理という新しいジャンルを作りました。1961年、きょうの料理などの料理番組に出演し、レシピを公開し、四川料理を日本に広めました。

陳建民さんが開発した日本向けの四川料理は、中国へ逆輸入されています。深圳の定食屋さんに行ったときも、汁あり担々麺がありました。八角の香りは漂います。麺も延ばして作っているように、柔らかいです。しかし、スープは日本で食べる担々麺に味が近く、辛味、しびれが抑えられていてマイルドでした。

担々麺

天秤棒で担いで売り歩いたことが名前の由来になりました。出前で持ち運びやすいスタイルとして、汁なしが主流です。麺の上に豚のそぼろを乗せて器の底に数種類の唐辛子、辣油、花椒油、ニンニクなどで作った辛いタレを入れます。広島市で食べられている担々麺が近いです。広島の麺の話は、こちらをお読みください。

汁あり担々麺は、日本出身の奥さんから、日本には味噌汁を飲む文化があることを教わり、担々麺にスープを入れました。その結果、辛味もマイルドになり、汁あり担々麺が誕生しました。

麻婆豆腐

本場は牛ひき肉、豆腐、ニンニクの芽と花椒の実、唐辛子、豆板醤、豆鼓、八角、桂皮、醤油、砂糖、片栗粉などを加えて油で炒めます。花椒の舌がしびれる麻、唐辛子の強い辛さの辣を楽しめます。

日式は、山椒を使わず、辛さを抑えました。さらに、豆鼓も手に入りにくいため、豆味噌を使用しています。そのため、辛さだけではなく、うまみも感じられます。

エビチリ

中国にはエビチリはありません。乾焼蝦仁ガンシャオシャーレンがモデルです。揚げたエビに豆板醤、ショウガ、ニンニク、豆板醬、唐辛子で味付けした料理です。

日本人は豆板醤の辛味に慣れてなかったため、日本では、むきえびを使用し、豆板醤の代わりにトマトで辛さを抑える工夫をしました。ケチャップ、卵黄を加えて甘口に仕上げました。

中国に行って注文する前に注意すべき料理

中国にも日本の中華料理屋さんと同じ表記のメニューがあります。しかし、中華料理は、世界に広まり、現地の人に味を合わせられているため、同じ表記の料理でも、日本と中国で味が異なります。四川料理発祥の料理で大きく味が異なり、気をつけるべき料理について、3つ紹介します。

回鍋肉

日本では、甜麺醤の甘めの味付けで具材はキャベツ、ピーマン、豚バラ肉が中心です。

一方、四川では、湯通しした皮付きの豚バラ肉を薄切りにして、葉ニンニク、青唐辛子、豆板醤、豆鼓、甜麺醤、醤油などで味付けした炒め物です。辛い味付けですので、日本の中華の感覚で注文すると非常に辛く感じます。中国全土で普及しており、地域によって具材や味つけは違います。

青椒肉絲

日本は、タケノコ、豚肉、ピーマンを細切りにして醤油、生姜、ニンニク、コショウで味付けします。絲は、細切りの意味。

四川に行って日本のイメージで食べると激辛で驚きます。四川では、青唐辛子を使用しています。中国で青椒肉絲を注文するときは青唐辛子を使用しているか確認する必要があります。

水煮魚

日本で魚の水煮といえば、魚を塩水で煮ただけのシンプルな料理。サバなど青魚を中心に缶詰が販売されています。

しかし、四川では、ソウギョという淡水魚を三枚におろし、もやしなどの具材とともに、干唐辛子、花椒などを入れた油で炒め、水、豆板醤で煮込んだ料理です。見た目ほと辛く感じません。しかし、食べていくうちに、汗が吹き出ていきます。日本では、スズキなどクセの少ない海水魚が使われることが多いです。


今回は、四川料理について話しました。春に向けて暖かくなってきました。しかし、三寒四温というように、まだまだ冷え込む日もあります。冬は身体を温め、夏は汗をかいて食欲を増進させましょう。


オマケ:名古屋に訪れたときに食べる四川料理

名古屋を訪れたときに行きたくなる想吃担担面シャンツーダンダンミェン名古屋駅、栄、ショッピングモールのプライムツリー赤池に計7店舗あります。辛味を本場より抑えつつ、本格的な四川料理が食べられます。

各店舗でも限定の担々麵が食べられます。例えば、赤池店に行くと、担々麺の上に麻婆豆腐ののった麻婆担々麺が食べられます。

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