餃子の消費額ランキングベスト3の街の餃子の食べ比べをしてきた
結論
2021年の餃子の購入額は、宮崎市、浜松市、宇都宮市の順に高い。
宇都宮餃子は満州の味を再現し、リーズナブル。浜松餃子は円盤型で中央の空間にモヤシを盛る。宮崎餃子はラードで揚げ焼き。
宇都宮市、浜松市では、餃子を街おこしに利用している。
この記事を書こうと思ったきっかけ
餃子の街といえば、栃木県宇都宮市、静岡県浜松市。しかし、2021年の餃子(テイクアウト専門店、総菜)の1世帯当たり購入額は、1位が宮崎市でした。購入額は宮崎市が4184円、浜松市3728円、宇都宮市3129円でした。1位の宮崎市は2位の浜松市とは460円もの差をつけています。
日経新聞の記事から、宮崎市で盛んに餃子が食べられていることを知りました。宮崎餃子のヒミツが知りたくなりましたので実際に現地に行って食べてみました。
餃子
餃子は中国から伝わった料理です。中国では、蒸し餃子、水餃子を主食として食べます。
一方、日本では、焼餃子をおかずとして食べる文化が定着しました。日本で蒸す中華料理といえば、シュウマイでした。昭和初期には、レシピ本に登場していました。当時から、焼餃子、水餃子、蒸餃子がありました。当時の焼餃子のレシピは100年近く経った現在とほとんど変わりません。油を敷いたフライパンに、餃子を並べ、揚げ焼きしてから、冷水を加えて蒸し焼きします。
戦後、中国東北部の満州にいた人々が帰国するとき、本場の餃子を持ちこみ、伝えたことによって日本各地に普及しました。各地でとれる食材をもとに、独自の餃子文化が全国各地で誕生しました。
具材の中の野菜は、中国の餃子は白菜とニラが一般的。しかし、日本の西側は温暖なため、白菜より手軽に入るキャベツが主流です。高度経済成長期には、冷凍餃子の大量販売が始まりました。平成に入ってから、宇都宮市、浜松市では町おこしに活用されました。
購入額1位 宮崎市の餃子
歴史
1955年、宮崎県北部の延岡市で「黒兵衛」が創業。黒兵衛から宮崎県内各地に広まりました。特に宮崎県中部の高鍋町では、餃子文化が根付き、冠婚葬祭で餃子を渡したり、焼き餃子パンもあったり、餃子フェスも開催しています。
宮崎市では、2020年、宮崎市ぎょうざ協会を設立。消費喚起、情報発信強化を行ってます。例えば、毎月、セールやPRイベントなどを実施。
2021年、餃子の購入額が1位になったわけは、地道なPR活動のほかに、新型コロナウイルス流行による巣ごもり需要の増加もあります。
特徴
宮崎餃子はお店によって具材、皮、焼き方もバラバラ。今回は多くのお店の特徴を抜粋します。
具は、地元で獲れた新鮮なキャベツ、ニラ、豚肉を使用。厚めの皮に包んで、大量のラードを使って揚げ焼きしつつ、お湯を加えて蒸します。
もちもちで焼き目が揚げたようにサクッとしています。中はジューシー。タレもお店によって異なります。ラー油、酢、醤油という全国的にスタンダードなタレもあれば、九州で多く見られる柚子胡椒を置いているお店も見られます。
黒兵衛
1955年、延岡市で創業した宮崎餃子のパイオニアです。
綺麗な二等辺三角形に惹かれます。焼き目は揚げた感じ、中は肉汁があふれていきます。ニラ、キャベツなど野菜も細かく、甘みも広がります。いかに肉汁を逃がさないように食べるかが大事です。
焼餃子、水餃子ともに450円。延岡名物、辛麺の後、はしごして食べるのもオススメです。
営業時間 18:00~24:00(月~土)、18:00~21:00(日)
休業日 不定休
アクセス JR延岡駅西口から徒歩15分
購入額2位 浜松市の餃子
歴史
大正~戦前、浜松市には多くの中国出身の方々が住んでいて、中国料理店では、焼き餃子も提供していました。餡は、豚肉中心でキャベツをふんだんに使用。
現在の浜松餃子は戦後の満州からの引き揚げた方々が浜松駅周辺で屋台を開き、そこから広まりました。
浜松餃子の定義は、「浜松市内で製造されていること」+「3年以上浜松に在住していること」。現在では、約80店の餃子専門店、中華料理店やお土産屋など、餃子を取扱う店は300店以上あります。
2012年に餃子の購入額が宇都宮市を抜いて1位に立ってからは2020年まで、宇都宮市と浜松市が1,2位を独占していました。
特徴
浜松市周辺は、温暖のため、白菜よりキャベツの生産にぴったりな場所です。隣の愛知県渥美半島では、特にキャベツの栽培が盛んです。さらに、玉ねぎ、養豚業も盛んなため具材に使用されました。キャベツの甘さ+豚肉の旨味が広がります。
きれいな円型焼きも特徴です。屋台で販売していた時代、水で蒸す工程があったため、鉄板では焼けないから、フライパンを使用しました。さらに、回転率を上げるため、一度に多くの餃子を焼く必要が有りました。その結果、円形に並べて一度に多くの餃子を焼きました。しかし、1人前に1個のフライパンを使用したため、スピードは、さほど変わらない結果でした。
円形に焼いたことによって、真ん中に出来る穴。そこに刺身のツマみたいに何か埋めることができないか?と疑問にもった人々。付け合わせにもやしを使ってみることにしました。もやしが口の中をリセットさせます。
タレは各お店のオリジナル。ラー油もオリジナルが多いです。
また、テイクアウトできるお店もコロナ禍前から多いのも特徴です。
むつぎく
開店時から大行列、駐車場が満車になり、駐車場まで列ができるほどの大人気店。
餃子は円盤状、野菜の甘み、肉のコク。箸休めのもやし。餃子だけではなく、ラーメンもあります。焼肉、ホルモン焼きといったおつまみもそろっていて、飲みに行くにもピッタリ。
餃子8個 480円、12個 720円など。
営業時間 18:00~24:00(月~土)、18:00~21:00(日)
休業日 不定休
アクセス JR浜松駅南口から徒歩3分
購入額3位 宇都宮市の餃子
歴史
戦後、満州から伝来したことがはじまりなのは浜松餃子と共通しています。夏は暑く、冬は寒いという内陸にある宇都宮市の気候を乗り越えるため、スタミナのつく食べ物として食べられていきました。さらに、餃子の材料である小麦、ニラは栃木県内でも作られます。特に、ニラは高知県に次ぐ生産量を誇ります。栃木県でニラの生産が盛んな理由は、日照時間が長く、水はけの良い土地がニラ栽培にぴったりだったためです。
1996年~2011年の15年間、餃子購入金額1位をキープし続けた宇都宮市。宇都宮で餃子が多く食べられている理由は、おやつ感覚で食べているからです。
餃子の街として宇都宮の知名度が上がったきっかけは、市職員が餃子購入金額1位という事実を知り、町おこしとして餃子をキーワードにすることを提案したことがきっかけでした。1991年、宇都宮餃子会によって登録商標されました。宇都宮市内で作られている、または、宇都宮市内に本店をもつ餃子店の支店であれば宇都宮市以外にお店があっても、宇都宮餃子と名乗ってよいというルールになっています。現在、餃子取扱店は350店以上存在します。
その中でも2強は、「みんみん」、「正嗣」。さらに、JR宇都宮西口に餃子の石像があるほど地域に根付いています。市をあげてPRの成果が宇都宮を全国に餃子の街として売り込まれるようになった要因といっても過言ではありません。宇都宮餃子が全国区になった最大の要因は、1995年〜1996年、テレビ東京で放送されていた「おまかせ!山田商会」という番組で学園祭を盛り上げるという企画に乗っかってPRしました。この番組の企画により、宇都宮駅西口に餃子の皮に包まれたビーナスをモデルとした餃子像が誕生し、令和時代になっても宇都宮駅のシンボルになっています。
特徴
具は、にら、ねぎ、白菜など野菜がたっぷりなことが特徴。野菜がたっぷり入ることによって、ヘルシーでさっぱりしています。醤油ではなく酢とラー油をつけて食べるのが一般的です。
餃子の種類は、焼餃子、水餃子、揚餃子、スープ餃子等多種多様なことも特徴です。
早朝から開いているお店も見られます。浜松、宮崎餃子と比較して安価です。そのため、消費額で不利です
健太餃子
宇都宮餃子館として栃木県で6店舗営業中。餃子のバリエーション豊富なことも特徴です。
栃木県産の野菜、豚肉を使用。野菜が多いためか、さっぱりで皮も薄め。1皿310円~とリーズナブルも魅力。バリエーションが多いため、いつ行っても新たな発見に出会えます。
営業時間 6:30~20:00
休業日 不定休
アクセス JR宇都宮駅東口から徒歩5分
同じルーツでも、地域の特性によって異なる餃子が奥深いです。
取り寄せて自宅で比較するのも面白いです。
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