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シリーズB資金調達に寄せて:後編 テックタッチの現在地と4つの新たな挑戦

皆様こんにちは!
テックタッチ株式会社CEOの井無田(@Avalonhill1)です。

先日の前編記事いかがだったでしょうか?この後編では、シリーズBで調達した資金を使って、今後どんなチャレンジをしていきたいのか、という話をしたいと思います。

*なお、これから、シリーズものとして、
・自他ともに認めるスーパーCFO中出による、「資金調達の設計法」
・10年来の同僚CTO日比野による、「重要だった意思決定:プロダクト編」
の2本を1/30週のどこかで上梓します。翌週にはエンタープライズの営業・CSM組織の作り方もVP陣が執筆しますので、お楽しみに!

私たちの現在地

前編記事の「重要な意思決定⑥:市場多角化」で記載した通り、3つの大きな顧客セグメントでサービスを提供しています。

①:大企業のDXパートナーとして

多くの企業が、社内に最新SaaSを導入し、DXを志向しています。が、失敗プロジェクトに終わるものが少なくないのも事実です。

多くのDXプロジェクトはシステム活用でつまづく

失敗の理由は様々ありますが、一番数多く耳にするのは、図中にあるように、「システム活用」段階でつまづいているケースです。

小噺ですが、2018年に「デジタルトランスフォーメーションプラットフォーム」という商標を登録していますw 当時はまだDXという言葉が一般的でなくなぜか取れたw

テックタッチは、まずアナリティクスによるシステム利活用状況=DX推進状況のモニタリングを可能にします。従業員の方々のPC操作ログから、経営陣が意図していたようなオペレーションが成立しているのか、成立していないのであれば何が課題なのか、分析することができるのです。
また、ナビゲーションとRPAを具備することにより、従業員の日々のオペレーションを支援します。多くのお客様で、テックタッチを単なるシステム教育ツールとしてではなく、オペレーションの一部に組み込んで利用していただいています。システム操作時にはテックタッチは欠くべからざる要素になっているのです。
このオペレーションは頻繁にアップデートされますし、日を追うごとに複雑化していくことも少なくありません。そこで、必要なことが誰でも簡単にガイドを作成・修正することができる世界です。システム開発の世界では極めて難しかった、「誰もがシステム改善できる世界」に近いものを実現できるのです。これにより、お客様によるアジャイルなシステム改善サイクルが成立します。

上記3つの機能を備えているテックタッチ。既に多くのお客様のDXパートナーとして、重宝していただいています。

②:SaaS企業のカスタマーサクセス/グロースチームのパートナーとして

SaaS企業においては、カスタマーサクセス人材の枯渇に、この金融環境が後押しして、常にカスタマーサクセスはハイタッチからロータッチに、ロータッチからテックタッチに、ということが求められています。

カスタマーサクセス、特にオンボーディングのテックタッチ化を推し進めることができるプロダクト、それがテックタッチです。(よく聞かれる、社名/サービス名の由来)
オンボーディングの工数を下げつつ、いわゆる「アハモーメント」までの時間(=タイムトゥバリュー)を最短化して、プロダクトのファンになってもらう体験を作ります。

また、先ほどの金融環境もあり、とみに名前が出る「プロダクト・レッド・グロース(PLG)」を志向するSaaS企業さんにとっては、欠かせないツールです。PLGを志向する企業さんはグロースチーム/担当を作ることになると思いますが、数値を見ながら、オンボーディングをチューニング・最適化するプロセスには、僕たちのようなノーコードツールは欠かせない存在になっています。

日本のSaaS業界をもっともっと大きくしたいと思っています。ぜひみなさんの事業を手伝わせてください!

③:公共セクターのアクセシビリティ向上

官公庁、自治体、独立行政法人などでは、数多の住民向け、国民向けウェブサイトが作られていますが、残念ながらユーザビリティはまだまだです。デジタル庁さんの掲げた「誰一人取り残されないデジタル化」実現のためには、わかりやすいサイト作り(=アクセシビリティ強化)は急務です。

すでに官公庁、自治体などでご利用いただき始めています。まだまだPMFは発展途上ですが、ガイド再生される数などを見ても、上々の滑り出しです。
わざわざ全員が庁舎に足を運ばなくて済み、デジタルディバイドをなくしていく。テックタッチは国・自治体のDXを全力で支援します。みなさんよく使うあのシステムなど、私たちのガイドがお手元に届く日も近いと思います。ご期待ください。

4つの新たな挑戦

現在の僕たちの領域はTAMも十分に大きく、成長率もいわゆるMendoza Lineを大きく超えており、ARR100億円への視界は良好です。

「兵站を広げすぎるな」はスタートアップの格言です。「選択と集中」は戦略論のど真ん中です。特にいま、金融市場が冬の時代にあり、wise investmentが求められている時流でもあります。

それらすべてを理解した上で、私たちは、新しい挑戦を4つ(!)、これから数年かけて走らせていきます(流石に全部同時ではないですがw)。私が会社を作ったときのモットーが「誰もが仕事が楽しいと思える会社を創る」ですが、会社が個人に提供できる価値・報酬の一丁目一番地が、「個人が挑戦し続ける環境を提供する」ということだと考えています。なので、私たちの会社は挑戦が生き甲斐でもあり、それが自然なのです。挑戦するための資金も余分に確保しました。ここから兵站を広げても、今の当社のメンバーであれば、ストレッチしても大丈夫。そう信じています。

挑戦#1:国内のフロンティアを増やす

上で挙げた3つの顧客セグメントに追加して、複数の市場に参入します。例えば中堅中小企業向けのサービス提供は今年から本格化させます。他にも、例えばスマホアプリ・Windowsアプリ。例えば一般消費者向け。時間はかかりますが、多くの領域に進出していきます。
これらセグメントは、現在のプロダクトとカスタマーサクセス体制では対応が追いつかないため、新しく機能を追加したり、新しい体制を構築したり、新しいプレイブックを作ったり、新たなPMFを追い求める作業が続きます。しっかり地に足つけつつ、PMF→スケールというループを拡大再生産していきます。

挑戦#2:グローバル市場へ

グローバル市場を狙います。
当社VP陣は全員外資系に在籍した経験を持ち、CFO中出と僕は海外在住・ビジネス経験もあります。事業領域としても、国や言語の個別性が比較的少ないですし、何より、UI/UXやオペレーションが求められるプロダクトは、日本人の民族性に合っています。私たちの領域では競合の先行企業はいますが、他の領域のスーパーSaaSに比べたら、まだまだ付け入る隙はあります。
好条件は比較的揃っています。

前職で米国子会社を作り、事業推進させていただいたのは個人として非常にいい経験だったのですが、結果を出すことはできなかった。そのリベンジをこの海外進出に賭けます。グローバルで成功した国内のスタートアップは少ない。誰かがこのガラスの天井を破らないといけません。私たちがどこまで行けるかわからないけど、全力を尽くします。
まずは競合が手薄なアジア市場に取り掛かる予定です。

挑戦#3:新プロダクト

テックタッチの次のプロダクトです。
私たちほど大企業に導入され、そしてカスタマーサクセスチームが愛されているプロダクト/CSチームはありません。これを大きな事業資産と捉えて、テックタッチを相互に補完し合えるような新プロダクトを創っていきます。

挑戦#4:資本・事業提携を利用したOEM構想

日経さんの記事にも出たように、資本を交えた事業提携も多くやっていきたいと思っています。モデルはやはりSalesforce Venturesさん。Salesforceのパートナーエコシステムを創ることを念頭においたCVCで、とても参考にさせていただいています(私たちのリードVCであるdnx倉林さんがSalesforce Venturesさんご出身ということもあり、薫陶をいただいています)。出資の有無に関わらず、相互にwin-winとなるような事業提携の可能性があるスタートアップ企業さん、ぜひお声がけください。お待ちしております!

エンプラ企業向けSaaSは国内にまだまだ少なく、ビジネス/組織の作り方はぜひいろんな方にノウハウを共有したいと思っています。遠い将来には人材を私たちから派遣したり、ということもできると、当社にjoinしてくれたメンバーのキャリアパスに新しい可能性を加えつつ、スタートアップ、SaaSのエコシステムとして強くなれるので素敵な世界だな!と思います。

終わりに:We're hiring!

「事業は人なり」とよくいうもので、事業の成長はどれだけ優秀な人が多くjoinしてくれて、事業推進していくかにかかっています。スケールに向けた多くの挑戦を抱えている今、人が全然足りていません。面白い会社だな、と思っていただいた方は、今でなくてもいいので、ぜひいつか、どこかで一緒にやっていきましょう!

シリーズB資金調達に寄せて:前編 これまでのキーとなった意思決定を振り返る もよろしくお願いします!

おまけ:テックタッチVP陣連載一覧

CFO中出:シリーズB資金調達の裏側: テックタッチはスタートアップ冬の時代になぜ20億円強を調達できたのか? 
シリーズB資金調達の裏側: テックタッチはスタートアップ冬の時代になぜ20億円強を調達できたのか?(後編:銀行借入ver) 
*前編は改めてCFOの役割について考えさせられる内容です。おまけとしてつけている資金調達スライド一覧は圧巻!後編はデットという比較的新しい領域において、誰でもわかる平易な解説になっています。

VP of CS垣畑:スーパーエンプラ向けSaaSのカスタマーサクセスのオペレーション、組織づくりで考えたこと(前編) 
【後編:これまでの歩み】スーパーエンプラ向けSaaSのカスタマーサクセスのオペレーション、組織づくりで考えたこと 
*時系列に苦闘する様子がわかる後編と、エンタープライズCSで必要なことが比較的網羅的に描かれている前編。エンプラCS担当者は必見。

CTO日比野:SaaSの真骨頂「プロダクトの継続的な改善」をエンプラ市場で回す為にやってきた事 
*このnote、色んな方から「めちゃわかるぅー!!」と声をかけていただくことが多かったです。プロダクト開発の指針に迷った時に。

VP of Sales西野:全てのスタートアップの壁!?エンタープライズ企業への営業を要素分解する 
テックタッチがエンタープライズセールスに成功した理由とノウハウを公開します  
*個人的にはスタートアップに最もノウハウ・知見がに領域がエンタープライズ領域営業だと思っています。そこのノウハウを惜しみなく注ぎ込んだ渾身の一作(連作なので2作)です。かなり勉強になりますので2作合わせてどうぞ!


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