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【SESエンジニア版】フリーランス VS 会社員

はじめまして、テックレイスのしもぎしです
会社員エンジニアとして3年
フリーランスエンジニアとして2年
SES会社の経営者として4年くらい活動してきました💡

このnoteではさんざん擦られ倒した
「フリーランスVS会社員」のテーマについて
SESエンジニアだったらどうなるのかについてまとめました!

前半は収入面について考え
後半は個人の価値観によって良し悪しがかわってくる内容をまとめています。


0️⃣はじめに基準をそろえましょう!

フリーランスと会社員は契約形態も異なれば
年収の考え方、納税方法も異なるので
まずはこのnoteで良し悪しを比較するための前提条件をそろえておきます。

これ以降では
あなたが次のようなエンジニアと仮定して読んでみてください💡

  • 単価80万円/月を安定して稼げるレベルのエンジニア🧑‍💻

  • フリーランスとSES会社員、どちらで活動するか悩んでいる🤔

  • フリーランスの場合、経費は年額100万円とします。

  • 会社員の場合、経費は会社が負担するので年額0円とします。

  • どちらの選択をしても次の条件は同じとする

    • フルリモートで(交通費)はかからない

    • 35歳から59歳までの25年間、単価80万円/月で働き続ける

      • (年金の計算に利用)

    • 65歳から99歳までの35年間、年金を受取り続ける

      • (年金の計算に利用)

  • SES会社に就職する場合、テックレイス弊社)の就業条件に従う

    • ※他社の内部事情がわからず、自社が一番具体的に話せるので😅

    • 会社は世田谷区にあるとします(社会保険料の計算時に利用)

    • 年収 = 単価(80万円) × (65%〜70%)× 12ヶ月

    • 待機時の給与は20万〜30万円/月

フリーランスエンジニアの経費

フリーランスエンジニアの経費を50万円とした経緯について補足します。
SES専業でフリーランスエンジニアをしている人は
ほとんどビジネスの経費がかかりません。

5年に1度、良いPCや設備を慎重するとして
しもぎしの感覚だと5年で設備投資50万もあれば十分でしょう。
ヶ月単位で計算すると50万円÷5÷12 = 約1万円

フルリモートで自宅が事務所にしている人は
電気代や家賃の一部を家事按分できますが、
ぼくがフリーランスのときにまじめに計算すると
家賃+光熱費 = 10万円だったとしてその1/4くらいが家事按分にできる限界値かなという感触なので2万5,000円

フルリモートなので交通費はほぼ0円

加えて、接待交際費はSESエンジニア専業だと
平均してどんなに高く見積もっても5万円いかないでしょう。

よって年間経費 = (1万円+2万5000円+5万円)✕12ヶ月 = 102万円-> 100万円(簡略)

1️⃣結論:手元に残るお金はフリーランスの方が多い

結論から言うと
手元に残るお金(可処分所得)が多いのは
フリーランス
です。

以下すべて結論(おしり)から書いていきます。
「ここの計算どうなってるの?🤔🧮」
とモヤモヤするかもしれませんが
「あとから細かく書いてあるんだな」と一旦飲み込んで
読み進めて頂けると幸いです!

条件をそろえてできる限り厳密な計算のもと比較しました。
その根拠と考え方をこれから紹介していきます!

2️⃣なぜ年収比較ではないのか?

できる限り条件をそろえ
同じ単位で比較しないと意味がないからです。

たとえばフリーランスエンジニアで
単価76万円/月の案件を1年間継続した人がいたとします。
年商(売上) = 76万円/月 × 12ヶ月 = 912万円/年
です。これを年収ととらえる人もいます。

また、この売上には消費税がかかるので
見栄えをよくするために
912万円 × 1.1 = 1,003万2,000円(税込み)
として年収1000万円!と言いたい人もいます。
(間違いではないと思います)

一方で会社員の年収とは
1年間の給与額面と賞与額面の合計値のことを意味します。

このように一言で「年収」と言っても
示しているもの、解釈が異なっているので比較できません。

そのため考え方や解釈が分かれる表現は避け
言葉を定義したり、誰もが一つの意味にとらえられる表現(一意)にして
できるだけ条件を揃えようとしています💡

3️⃣比較結果:フリーランスVS会社員

0️⃣の条件で
フリーランスを選んだ場合

会社員を選んだ場合
の手元に残るお金(可処分所得)の多さの比較結果を紹介します。

会社員を選んだあなたが
還元率65%のときと70%のとき
それぞれをフリーランスの場合と比較しています。

会社員を選んだあなたが

65%還元(テックレイス入社初年度)の場合

フリーランスの方が1年間で86万9,412円多いです。

フリーランスの可処分所得 = 540万2,644円
(※計算式は後述します)

会社員の可処分所得 = 453万3,232円
(※計算式は後述します)

差分 = 540万2,644円 - 453万3,232円 = 86万9,412円

70%還元(テックレイス5年目)の場合

フリーランスの方が1年間で55万3,001円多いです。

フリーランスの可処分所得 = 540万2,644円
(※計算式は後述します)

会社員の可処分所得 = 484万9,643円
(※計算式は後述します)

差分 = 540万2,644円 - 484万9,643 = 55万3,001円

結果はフリーランスの圧勝のようにみえます!
みんなで自由なフリーランスを目指しましょう!
解散!!😆

4️⃣【年金考慮版】比較結果:フリーランスVS会社員

と、ちょっとまってください🤔✋
フリーランスと会社員は年金納税額と納め方に大きな違いがあります💡

フリーランスは国民年金を年額19万8,240円しか収めないかわりに
老後に受け取れる年金が少ないです。

逆に会社員は会社負担分も合わせて厚生年金を
5万2,894円(70%還元時) × 12ヶ月 = 63万4,728円も収めている変わりに
老後にもらえる年金が多いのです。

まとめると
フリーランスは老後にもらうお金は少なくて良いから
いま手元に残るお金を多くしたい!!
のに対して
会社員は老後により多くお金がもらえるならば
いま手元に残るお金は少なくても良い!!

という選択をしているわけです。

この違いを考慮するとより適切な比較ができそうです!

リスクを負ってでもとにかく多くお金を稼ぎたいというあなたは
ここで解散してもらって構いません🤩

一方で、長期視点で安定して稼ぎたいと考えるあなたは
この先を読んでいただく価値があるかもしれません😌

厚生労働省の年金シミュレーション

0️⃣に記載した条件のとおりに
ここではあなたが単価80万のSESエンジニアとして
35歳くらいから59歳までの25年間働き続け
65歳から99歳までの35年間年金を受取り続ける
という設定で

あなたがフリーランスとして働き続けた場合

会社員として働き続けた場合にどうなるか

を厚生労働省が提供している年金シミュレーションで
計算してみましょう!

年金総額

フリーランスのあなた
65歳から99歳までの35年間
毎年61万円の国民年金を受取れます。

生涯で 61万円 × 35年間 = 2,135万円
の年金を受け取れます。

会社員のあなた(65%還元の給与で計算)
会社員のあなたは65歳から100歳までの35年間
国民年金と厚生年金合計で毎年156万円の年金を受け取れます。

つまり死ぬまでに
総額 156万円 × 35年間 = 5,460万円
の年金を受け取れます。

※ 会社員のあなた(70%還元の給与で計算)
は省略します。気になられたら上記のリンクから入力してみてください💡

労働1年あたりの年金還元額

あなたがフリーランスを選んだ場合
積み立てた年金保険料は
年金として2,135万円還元される
ことがわかりました。

また、あなたが会社員を選んだ場合
年金として5,460万円還元される
ことがわかりました。

これらを労働した年数(25年間)で割り
3️⃣のそれぞれの可処分所得に加えてあげると
年金の払い方の違いを考慮した比較結果が計算できそうです。

①フリーランスの労働1年あたりの年金還元額
 = 2,135万円÷25年 = 85万4,000円

②会社員の労働1年あたりの年金還元額
 = 5,460万円÷25年 = 218万4,000円

🌟年金を考慮した可処分所得🌟

3️⃣の可処分所得比較結果に
労働1年あたりの年金還元額を加えてみます。

65%還元(テックレイス初年度)の場合

会社員の方が1年間で46万588円多いです。

フリーランスの可処分所得
= 540万2,644円 + 85万4,000円 = 625万6,644円

会社員の可処分所得
= 453万3232円 + 218万4,000円 = 671万7,232円

差分
= 671万7,232円 - 625万6,644円 = 46万588円

70%還元(テックレイス5年目)の場合

会社員の方が1年間で86万999円大きい

です。70%の還元率で比べるとより会社員の得られる可処分所得が多い
ようにみえます。

フリーランスの可処分所得
= 540万2,644円 + 85万4,000円 = 625万6,644円
(※ 65%のときと同じ)

会社員の可処分所得
= 484万9,643円 + 226万8000円 = 711万7,643円

差分 = 711万7,643円 - 625万6,644円 = 86万999円

5️⃣フリーランスの手元に残るお金

ここからは3️⃣で記載したフリーランスの手元に残るお金(可処分所得)
の詳細な計算方法を紹介します。

可処分所得

フリーランスの可処分所得(3️⃣の結果)
= 年商(売上)-経費-(税金や保険料)
= 960万円(後述) - 100万円(0️⃣で定義) - 319万7,356円 (後述)
= 540万2,644円

年商(売上)

フリーランスであるあなたの年商は

年商 = 契約単価80万円 × 12ヶ月 = 960万円 (税抜き)

※細かい話ですが、今回、フリーランスの年商に消費税は含めていません。
これまで年商1,000万未満の非課税事業者であれば、消費税の支払いが免除されていました。

いまでもその制度は残っており
年商1,000万円未満のフリーランスは消費税を支払わない選択肢があります。

しかしインボイス制度の導入により、この選択(適格事業者の登録をしない)を取ると仕事が受注しにくくなることと、今回想定の単価80万エンジニアであるあなたはすぐに年商1,000万円以上の事業者になるので
課税(消費税をきちんと支払う)事業者扱いで計算したほうが現実に即した計算になりやすいかなという考えです。

税金や保険料

フリーランスが支払う必要がある税金と保険料は

税金や保険料や経費
= 所得税額(復興所得税含む)
+住民税額
+個人事業税
+国民年金保険料
+国民健康保険料
+経費

= 108万2,100円
+75万2,000円
+28万5,000円
+20万3,760円
+87万4,496円
=319万7,356円

詳細な計算は次の通りです。

1.所得税額(復興所得税含む)
課税される所得金額
= 収入-必要経費-青色申告特別控除-各種所得控除
= 960万円-100万円(0️⃣参照)-65万円-48万円(所得控除は基礎控除のみ)
= 747万円 →所得税率23%
(No.2260所得税の税率:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)

所得税額
= 課税される所得金額 × 所得税率-控除額
= 747万円 × 23%-63.6万円 = 108万2,100円

2.住民税額

=(前年の売上-前年の経費-青色申告特別控除-所得控除)× 10% + 5,000円
= (960万円-100万円-65万円-48万円(基礎控除のみ)) × 10% + 5,000円
75万2,000円
※ 前年の経費も0️⃣で定義した100万円とする
※所得控除は基礎控除の48万円のみで計算

3.個人事業税
=(前年の売上 - 前年の経費 - 290万円) × 税率
= (960万円-100万円-290万円) × 5%
28万5,000円
※SESは電気通信事業(第1種事業)なので
個人事業税率は5%です。

4.国民年金保険料
= 1万6,980円/月 ((令和6年度)一律) × 12ヶ月 
20万3,760円
※会社員が支払う厚生年金保険料と比べて割安ですが、
その分後々もらえる年金額は少ないので
一概にどちらが良いとは言えません


5.国民健康保険料
①医療(基礎)分
= 所得割【(747万円-43万円)× 8.69%】 + 均等割【1人 × 4万9,100円】
= 66万876円
➁支援分
= 所得割【(747万円-43万円)× 2.80%】 + 均等割【1人 × 16,500円】
= 21万3,620円
➂介護分
加入者が38歳のため、介護分の負担はなし
➀66万876円 +➁21万3,620円 + ➂0円 = 87万4,496円(年間保険料)
※ 保険料の最高限度額89万円

個人事業主・フリーランスの手取りはいくら?税金や保険料もシミュレーション!
https://biz.moneyforward.com/establish/basic/51928/#i-9

余談:☢️国民健康保険料は割高☢️

フリーランスが支払う国民健康保険料は
会社員が加入する健康保険と比べると割高です。

フリーランスであるあなたが支払う国民健康保険料が87万4,496円/年
なのに対して
(後ほど紹介する)
会社員であるあなたが支払う健康保険料は31万7,364円
で比較すると55万7,132円も違いがあります。

あなたが負担する保険料
= 月々の保険料 × 12ヶ月
= (5万2,894円÷ 2(半分は会社が負担))×12ヶ月
31万7,364円

フリーランスのあなたとの差分
= 87万4,496円 - 31万7,364円 = 55万7,132円

同じ医療サービスを利用しているのにこの違いはいかがなものかと思います。。😓

また、扶養者に対する扱いにも大きな違いがあります

たとえばあなたにお子さんが生まれたとしましょう。
あなたが会社員ならば、扶養する子供の健康保険は免除されます。

しかしあなたがフリーランスならば
扶養する子供の分まで追加で国民健康保険料を支払う必要があります。
どんなに高くても89万円という上限があるので

「子供二人を養うと保険料が倍になっちゃう😱😱」
なんてことはないのですが

フリーランスは会社員よりも不安定な働き方なので
たとえば毎月80万円の収入がキープできなくなったときでも
子供2人の保険料を肩代わりして89万支払い続けなければいけない
というリスクは考慮しておく必要があります。

6️⃣会社員の手元に残るお金

3️⃣で記載した会社員の手元に残るお金(可処分所得)
の詳細な計算方法を紹介します。

可処分所得

会社員の可処分所得(3️⃣の結果)
= 年商(会社員の給与額面の合計) - 税金や保険料
【65%還元のとき】
 = 624万円(後述)-170万6,768円(後述)
 = 453万3232円
【70%還元のとき】
 = 672万円(後述)-187万357円(後述)
 = 484万9,643円

年商(売上)

会社員の場合、一般に1年間の給与額面の総額を年収といいますが
フリーランスと比較項目を揃えたいので
年商というタイトルにしています。

年収(年商) 
【65%還元のとき】
 = 80万円 × 65% × 12ヶ月 = 624万円
【70%還元のとき】
 = 80万円 × 70% × 12ヶ月 = 672万円

※会社員の年収はフリーランスでいうところの年商・売上

税金や保険料

会社員の税金や保険料の年総額は次のとおりです。

税金や保険料の年総額
= 会社員負担分の(健康保険料+厚生年金保険料+雇用保険料)
× 12ヶ月+所得税+住民税

【65%還元のとき】
= (2万6,447円+4万8,495円+1,590円)
× 12ヶ月+29万9,223円+48万9,161円
170万6,768円

【70%還元のとき】
= (2万7,944円+5万1,240円+1,680円)
× 12ヶ月+36万8,026円+53万1,963円
= 187万0,357円

【65%還元のとき】

1. 健康保険料
= 標準報酬月額 × 料率
= 53万円 × 0.0998
= 5万2,894円 ÷ 2 (会社員と会社で折半)
= 2万6,447円 (会社員負担分)


2. 介護保険料(40〜64歳対象)
今回のケースではあなたは38歳なので0円

3. 厚生年金保険料(一般の被保険者)
= 標準報酬月額 × 料率
= 53万円 × 0.183
= 9万6,990円 ÷ 2 (会社員と会社で折半)
4万8,495円 (会社員負担分)

4. 子ども・子育て拠出金
= 標準報酬月額 × 料率
= 53万円×0.0036円
1908円 (会社のみ負担するので会社員は0円負担)

5. 雇用保険料
=標準報酬月額×料率
=53万円×0.006
= 3,180円 ÷ 2 (会社員と会社で折半)
1,590円 (会社員負担分)

6. 労災保険料(種類:その他の各事業)
= 標準報酬月額 × 料率
= 53万円×0.003円
1,590円 (会社のみ負担するので会社員は0円負担)

7. 源泉所得税
月の給与計算では手取りを計算する際にざっくり給与から10%源泉所得税が引かれますが、今回できるかぎり厳密に計算するため、
この値は使わず、年末調整で算出される所得税を求めます。

8.所得税
給与所得
= 給与収入-非課税の手当-給与所得控除
= 624万円-0円(ケースバイケースなので省略)-624万円×20%+440,000円
= 624万円-168万8,000円
455万2,000円
(No.1410給与所得控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm)
②課税所得
= 給与所得-所得控除 (便宜上、社会保険料控除のみを適用)
= ①-社員負担分の(健康保険料+介護保険料+厚生年金保険料+雇用保険料)× 12ヶ月
= 455万2,000円-(2万6,447円+0円+4万8,495円+ 1,590円) × 12ヶ月
= 455万2,000円-91万8,384円 
= 363万3,616円
③所得税額
= 課税所得 × 税率 -控除額
= 363万3,616円 × 20%-42万7,500円
29万9,223円
(No.2260所得税の税率
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)

9.住民税
①課税所得額 = 総所得金額-所得控除額の合計
= 624万円(総所得)-7万6,532円 ×12ヶ月(社会保険料控除のみ)-48万円
= 484万1,616円
②所得割の計算 = 484万1,616円(課税所得)×10% = 48万4,161円
③税額控除:なし

住民税額
= 48万4,161(所得割)+5,000円(均等割と森林環境税)=48万9,161円

【70%還元のとき】

1. 健康保険料
= 標準報酬月額 × 料率
= 56万円 × 0.0998
= 5万5,888円 ÷ 2 (会社員と会社で折半)
= 2万7,944円 (会社員負担分)


2. 介護保険料(40〜64歳対象)
今回のケースではあなたは38歳なので0円

3. 厚生年金保険料(一般の被保険者)
= 標準報酬月額 × 料率
= 56万円 × 0.183
= 10万2,480円 ÷ 2 (会社員と会社で折半)
5万1,240円 (会社員負担分)

4. 子ども・子育て拠出金
= 標準報酬月額 × 料率
= 56万円 × 0.0036円
2,016円 (会社のみ負担するので会社員は0円負担)

5. 雇用保険料
=標準報酬月額×料率
=56万円 × 0.006
= 3,360円 ÷ 2 (会社員と会社で折半)
1,680円 (会社員負担分)

6. 労災保険料(種類:その他の各事業)
= 標準報酬月額 × 料率
= 56万円 × 0.003円
1,680円 (会社のみ負担するので会社員は0円負担)

7. 源泉所得税
月の給与計算では手取りを計算する際にざっくり給与から10%源泉所得税が引かれますが、今回できるかぎり厳密に計算するため、この値は使わず、年末調整で算出される所得税を求めます。

8.所得税
①給与所得
= 給与収入-非課税の手当-給与所得控除
= 672万円-0円(ケースバイケースなので省略)-672万円×10%+110万円
= 672万円-177万2,000円= 494万8,000円
(No.1410給与所得控除https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm)
②課税所得 = 給与所得-所得控除 (便宜上、社会保険料控除のみを適用)
= ①-社員負担分の(健康保険料+介護保険料+厚生年金保険料+雇用保険料)× 12ヶ月
= 494万8,000円-(2万7,944円+0円+5万1,240円+ 1,680円) × 12ヶ月
= 494万8,000円-97万368円 = 397万7,632円
③所得税額 = 課税所得 × 税率 -控除額
= 397万7,632円 × 20%-42万7,500円
36万8,026円
(No.2260所得税の税率https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)

9.住民税
①課税所得額 = 総所得金額-所得控除額の合計
= 672万円(総所得)-8万864円 ×12ヶ月(社会保険料控除のみ)-48万円
= 526万9,632円
②所得割の計算=526万9,632円(課税所得)×10% = 52万6,963円
③税額控除:なし

住民税額
= 52万6,963円(所得割)+5,000円(均等割と森林環境税)=53万1,963円

7️⃣お金の話まとめ

フリーランスで働いた場合と
会社員として働いた場合の
それぞれの手元に残るお金(可処分所得)を計算しました。

年金を考慮しないと、手元に残るお金は
フリーランスの方が55〜86万円多い

年金を考慮すると、手元に残るお金は
会社員の方が46〜86万円多い

という計算結果になりました。

お金の話は7️⃣までです。
これまではフリーランスと会社員の条件をできるだけそろえ、
手元に残るお金の多さを比較しました。

逆に言うと個人の状態によってこの金額は変動しますし
その良し悪しも変わってくるということです。

ここからはお金以外のケースバイケースについてご紹介することで
あくまであなた自身にとって
総合的にどちらが良さそうかを考える材料にしてもらえたら幸いです!

8️⃣信用度

フリーランスと会社員
どちらが開発案件を獲得しやすいかといえば
会社員です。

スキルや人柄など、まったく同じ条件の
フリーランスと会社員がいれば
多くの採用担当者は会社員の人材を選ぶでしょう。

その理由を3つ紹介します。

理由1:会社は社会的信用がある

SES人材を雇う採用担当者はその会社の会社員をしています。
会社員をしている人の多くは安定思考を持っており

会社 = 安定している、きちんとしている
個人事業主 = 不安定、変わった人が多い

のような考え方をする傾向があります。
(もちろん時代も変わってきたので個人の信用度も変わりつつあるかなと思いますが)
裁量権の大きい人や決済者には古い価値観をお持ちのお客様も多く
なんとなく会社員の方が安心だろうという偏見が
オファーを貰えるかどうかの分かれ目になることも多い
です。

しもぎし個人の感覚ですが
収入は能力値とは関係ない部分で決まることが多いので
「なんとなく」や「雰囲気」といった変数も馬鹿にはできません。

理由2:会社は個人よりも資金がある

理由1と似たような内容ですが
一般にフリーランスよりも会社の方が資金力があるので
エンジニアが何か問題を起こしてしまった場合のことを考えると
賠償支払いや代替要員の提案など
責任を取る能力が高い方にオファーを出したいと考える

のが自然でしょう。

だから条件が同じ場合は会社の信用で会社員が選ばれやすいです。

理由3:会社員はお客様とコンテキストが近い

しもぎしは会社員を経験したのち、フリーランスになったので
ある程度会社員の人が大切にすることを意識しながら仕事ができました。

しかしたとえば社会に出ていきなりフリーランスになった人の中には
先輩に社会人としての常識(とやら)を教えてもらう機会がなかったりします。

常識がないことの良し悪しは置いておくとしても
SES人材としてお客様先の会社員と一緒に働くことになるので
会社員の方からすると「常識がない!」と思われても仕方のないようなことをすることがあり、これが問題になることがまぁまぁあります。

たとえば以下はぼくが見聞きしたフリーランスエンジニアの振る舞いです。

  • メンバーで議論が揉めた翌日から出社してこなくなった(フェードアウト)

  • メンバーと喧嘩して「あいつが辞めさせないなら俺が辞める」と言って辞めた

  • インターネットの調子が悪いからという理由で休むことが多い

  • 複業(本業)が忙しいからと毎週2日コンスタントに休む

  • 嫌いになったメンバーとは口をきかない

みんなで協力して大きな仕事に取り組むことを前提としている
会社員からしてみると「マジか!?」と思うのも自然かなと思います。

もちろん会社員の中にも「服を着替えないから終始臭う人」など
ヤバい人は沢山いますし、
フリーランスの中にも人格、技術ともに素晴らしい人もぼくは沢山知っているので、フリーランスか会社員かで議論するのはナンセンスだなとは思っています。

しかしあくまでぼくの観測範囲においても
常識を逸脱しているなと思う人が
フリーランスだったという確率の方が高いです。

(それってあなたの感想ですよね?はいぼくの拙い経験と偏見です)

特定の素行の悪い会社員と仕事をしてしまったお客様は
「この会社の社員は駄目だ!」
という結論にはなりますが

「会社員は駄目だ!」
とはなりません。

一方、素行の悪いフリーランスと仕事をしてしまったお客様は
「このフリーランスは駄目だ!」
というよりは
「フリーランスは駄目だ!」
という結論になりがちな気がします。

そのため、遅刻はしないとか、周りを見ながら仕事をするといった教育をされていそうな会社員の方が
同類(理解できる人たち)として受け入れられやすいのかなと考えます。

9️⃣リスクヘッジ

フリーランスは(当たり前ですが)仕事がなければ収入が途絶えます。
会社員は(少なくともテックレイスでは)
SES案件を獲得できなかった月(待機月)でも
基本給が25万円〜30万円発生します。

自分の能力に自身があり、
「引く手あまたで仕事がなくなるなど考えられない!」

と思われる方には関係のない話ですが
LOWレベル〜MIDDLEレベルのエンジニアは
不景気やコロナなどの不慮の事態の煽りを強く受けます。

たとえば当時フリーランスになったばかりのAさん
(いまは何故かテックレイスの社員)
にコロナが直面しました。

しもぎしがAさんの営業を開始した直後だったので鮮明に覚えています。
これまで需要過多と言われていたエンジニア市場が一変して
エンジニアの供給過多になりました。

通常LOW〜MIDDLEレベルの案件には面談を受けにこないような
スキルのMIDDLE〜HIGHレベルのエンジニアが
低いレベルの案件に群がっており、
そのおかげでAさんの営業は大変苦戦しました。

Aさんは紆余曲折ありつつも
なんとか猛者ぞろいの集団面談で案件を勝ち取ったのですが
ちょっとした変化や歯車の狂いで仕事が取れなくなることを体験しました

ビジネスマンは公務員とは異なり、少なからずリスクが伴います

あなたがフリーランスを選ぶにせよ、会社員を選ぶにせよ
うまくいかない時が必ずくるという前提で
リスクヘッジのやり方やバランス感覚は養っておくことをオススメします💡

🔟価値観で変わる良し悪し

すべてのことがそうであるように
フリーランスと会社員のどちらが良いかなんて
個人の価値観や感覚、リスク許容度によっても大きく変わります。

最後に、しもぎしが
「ここは人によって、良し悪しが変わる」
と思った観点や考え方をまとめます。

①年金のとらえ方

このnoteでは
年金が厚生労働省が出しているシミュレーションをもとに
年金還元額を算出しました。

しかし、少子高齢化が進む今
将来。私達が今払っている年金分の恩恵を受けられるかは疑問です。

そこで2つの相反する考え方を紹介しておきます。
どちらを信じるかはあなた次第!
(ぼくは宗教だと思っています)

考え方1:将来のぼくらは年金が貰えない
今の年金システムは賦課(ふか)方式といって
労働者が払う年金保険料を使い
お年寄りの年金を賄っています。

国税庁:https://www.nta.go.jp/taxes/kids/nyumon/page11.htm

図を見ても明らかですが
2000年代のお年寄りは労働者3.6人の年金保険料で生活できていましたが
2050年代のお年寄りは労働者1.3人の年金保険料で生活しなければなりません。

2050年頃の労働者に今の3倍保険料を負担するのは非現実的なので
ぼくらがお年寄りになる頃には保険料が貰えなくなっている
という推測はごく自然
なことです。

いまから少子化対策をしたとしても効果が出るのは20年後です。
生まれた子どもたちが生産者になったり消費者になるのが成人してからだからです。

しかしご存知のとおり日本政府は
未だに少子化対策に力を入れると口では力説しますが、
未だに異次元の少子化対策が具体的何なのかを国民は知りません。
(20年後の未来のための活動をしても政治家は目先の選挙に勝てないので構造上どうしようもないんですけどね。)

このような考えから
いま支払っている年金保険料分を将来回収できない可能性が極めて高い
と判断するのであれば、いま払っている保険料は
お金をドブに捨てるようなものなので
毎月の掛け金が高い厚生年金保険料よりも
割安の国民年金保険料を仕方なく支払っていたほうがお得だよね。
という計算ができます。

考え方2:将来のぼくらは年金が貰える
とはいえ、なんだかんだ言って年金はもらえるんじゃないの?
と思ったりもします。

GPIFってご存知でしょうか?
年金積立金管理運用独立行政法人という組織で
かんたんに言うと
ぼくらが収めた年金保険料を元本にして投資運用しています

政府が国民の保険料で投資していると思うとクレイジーですよね笑
(うまくいかなかったときに
「国民の血税でギャンブルなんて国民を馬鹿にするのも…」云々言われそう。。)

でも意外と上手くいっているようです💡
下記は2023年度のGPIFの投資運用実績です。
年率+22.67%(年間+45兆円)
とかなりの好成績を収めています。

https://www.gpif.go.jp/operation/the-latest-results.html

ぼくも昔は
「年金なんて掛け捨てでしょ?どう考えても掛け金回収できるわけないやん」と思っていましたがGPIFの状況を知り
案外将来も年金システムは普通に機能し続けているのではないか?
と考えるようになりました。

あくまで、いま現在出ている情報で物事を判断するのであれば、
考え方1の方が説得力があります。

しかし未来は誰にもわからないですし
いつだって現実は想像を超えてくるものなので
正直年金がもらえるか否かは
少なくともぼくのチープな脳みそだとわかりません。

(ChatGPTのような生成AIが出てくるなんてほんの1年前までは考えられなかったように、将来の年金問題はIT技術で解決している可能性も全然あるのかなと思っています。)

繰り返しますが、未来のことは神のみぞ知ることなので
年金受給の可否は何を信じるかという宗教の話だと思っています。

メディアやお母さんの話を鵜呑みにせず、ご自身で判断するのが良いでしょう。

②仕事のとらえ方

転職やフリーランスが昔と比べて容易になり
ぼくらは必ずしも会社員として働く必要はなくなりました。

どちらも選べるからこそ
「なんであなたはそっちを選んだの?」
ということが自分の中でしっくり来てないと
仕事がどんどん虚しくなります。(個人の感想)😔

ちなみにぼくは
なんとなく安定した会社に入りたくて大手企業を選びました。
その後、大手のやってることが面白くなかったのでフリーランスになりました。

フリーランスでお金は稼げたけれど
結構早い段階で収入には満足してしまい(安い男なんです。)
「自分のために頑張る」ことにモチベ的に限界を感じていました。

自分の収入が増えるより、友人や社員が成果が上がったとか
収入を上がったという場面に立ち会えることに達成感を感じ始めていて
より近い関係の人と一緒に仕事できたほうがQoL高いんじゃないかな?🤔
と思ったので会社の経営(自分だけではできないこと)をしています。

お金を稼ぐだけだとつまらないので
どういう働き方をするにせよ、自分なりの教示や意義みたいなものがあると
人生楽しくなるのではないでしょうか。

③仲間のとらえ方

しもぎしの些末な経験ベースで恐縮ですが
会社員やフリーランスという契約形態の違いは仲間意識の強さと相関しません。

ビジネスとプライベートをきっちり分ける会社員もいれば
プライベートの遊びにも参加してくるフリーランスもいました。

会社員とフリーランスの扱いをシステマティックに分ける風土の会社もあれば、会社員もフリーランスも同じプロジェクトの仲間として接する風土の会社もありました。

だからフリーランスは孤独で、会社員は仲間がいて安心みたいなことを言うつもりはありませんが、フリーランスの方が一緒に仕事をする期間は短く
会社員の方が長いというのは確かなことかなと思います。

信頼関係を築くには時間がかかるものなので
一緒に働く時間が長い人たちの方が
「良い仕事をした」「ともに苦難を乗り越えた」
という体験は積み上がりやすく、

それが長い目で見ると貴重な財産になるのかな?
と個人的には想像しています。

「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」
(If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.)

アル・ゴア元米副大統領がノーベル平和賞授賞式典の演説で引用し、
有名になったアフリカの諺だそうです。

30代なかばから、この言葉が少しずつ染みてくるようになりました。
昔は、近くのコンビニに早く行きたい考えだったのですが、
最近はコンビニに飽きて、自分が行ったことのない遠くまで行ってみたいなと思うようになりました。

そう思ったとき、徒歩でいけるところには限界があり
一人で準備していると時間がかかりすぎて現実ではないので
中長期的に協力して目的地に向かう仲間が欲しくなるのです。

しかし、短期的なメリット・デメリットの関係の仲間だと
どうしても都心の水族館くらいが限界で、それはそれで楽しいのですが、
ウユニ塩湖とかオーロラとかなかなか見ることができない景色を見るためには、数年単位で一緒に頑張る前提の仲間がいると有り難いなと思うんです。

おじさんのさぶいひとり語りを挟んでしまい大変恐縮ですが
申し上げたいのは
短期的なメリット・デメリットで考えると分かりづらいですが
誰と働くかというのは人生を豊かにする上でとても大切なので
どういう前提の仲間と仕事をするか、
というのは働き方を考える上でとても大事なファクターだと思います。

またこの辺の感覚は人にもよりますが、
経験上、年齢や人生経験によっても変わってくるものなので
まずは、いまこのとき自分が大事だと思うことをやってみたらよいのかなと思います。

④未来のとらえ方

①とやや被るのですが、未来をどう捉えるかによっても
いまどんな働き方をするのがベストかは変わってきます。

たとえば、最近はChatGPTやclaude 3.5 sonnetを始めとする
さまざまな生成AIが短期間に目覚ましい進化をとげていますし

ソフトバンクの孫正義も
AIは「AGI」へと進化し、今後10年で全人類の叡智の10倍を超える。
と語っています。

AGIとはArtificial General Intelligenceの略称です。AGIは、人類叡智総和の10倍です。例えば将棋やチェスでは人間よりもAIが強くなるなど、特定のテーマではすでにAIが人間の知能を超えています。しかし、今はまだ全てのテーマでAIが人間を超える状況にはなっていない。AIがほぼすべての分野で人間の叡智を追い抜いてしまう、これがAGIのコンセプトです。このAGIの世界が今後10年以内にやってきます。そして、AGIの世界では全ての産業が変わります。教育も変わる、人生観も変わる、生きざまも変わる、社会のあり方、人間関係も変わるんです

https://www.softbank.jp/biz/blog/business/articles/202310/sbw2023-softbank-son-main-keynote/

近い将来、AIの発達により、ベーシックインカムなどの
すべての国民や市民に一律の金額を恒久的に支給する基本生活保障制度
が実現し

ぼくらは働かなくても生きていける世界になっている
可能性があります。
(ぼく個人は技術的には結構あり得る未来かなと思っています)

もしそんな世の中になったとき、世間は
「いまどき労働とかしてるの?」
「なんでお金稼いでるの?遊んでいたほうが楽しいじゃん!」
という声がメジャーになっているかもしれません。

お金を稼ぐという概念自体が変わる未来で
果たして
「いま一生懸命1時間でも多く働き、1円でも多く稼ぐことになんの意味があるの?」
とぼく個人は考えています。

荒唐無稽な話で、これもまた一つの宗教なわけですが
そんな未来にも備えて働き方、生き方をアップデートさせられるように準備するのがこの過渡期の時代においては大切なことではないかなと感じます。

まとめ

このnoteでは
SESで単価80万のエンジニアだったら
フリーランスエンジニアとSES会社の社員
どちらが良いかを考察しました。

可処分所得の結論は
年金を考慮する場合はフリーランスの方がお得で
年金を考慮しない場合は会社員の方がお得でした。

後半は金銭面以外の
信用度やリスクなどの観点を踏まえて
フリーランスと会社員の良し悪しを議論しました。

月並みになりますが
フリーランスと会社員、どちらが良いかは
お金の計算だけでは決められず
自分の性格、能力、年齢、価値観をかんがみた上で
あなた自身で選ぶことが大切です。

このnoteがそのための一助になれば幸いです♪
ではでは👋👋


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