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翻訳テクニック集:修飾語句が多いときの訳し方

マーケティング系の英文では、自社サービスをアピールするために1文に多数の修飾語句が盛り込まれるケースが頻出します。日本語で文章を書くときはあまりそういうことをしないからか、素直にそのまま訳してしまうと、冗長になったり、日本語として不自然になってしまったりと、文章の訴求力が下がってしまいます。
たとえば、これくらい修飾語句が多い文章はよく見かけます(文脈の情報として、ある特定のサービスのメリットを紹介する文章です)。こういう場合、訳文では修飾語句の順番を変え、表現を調整するテクニックが使えます。

【原文】 Quickly deploy a high-performance, globally available, and secure AI solution.
【ありがちな訳】 パフォーマンスが高く、グローバルに利用可能で、安全なAIソリューションをすばやくデプロイできます。

この場合は「AI solution」という名詞を「high-performance」、「globally available」、「secure」という3つの語句が修飾しています。前から素直に3つ並べて訳しても何とか読めはするものの、日本語として不自然さ(機械翻訳っぽさ)を感じます。こういったケースでは、次のように工夫できます。

【改善案】 パフォーマンスと安全性が高く、グローバルに利用可能なAIソリューションをすばやくデプロイできます。

「安全性」の位置を変えると共に、「パフォーマンス」と「安全性」を同じ「高い」という表現でまとめました。「グローバルに利用可能な」という表現は、文脈によってはさらに工夫の余地があるかもしれません。

もっと修飾語句が多くなったら?


前に挙げた例では修飾語句が3つでしたが、現実の文書では、修飾語句が4つを超えるケースも。

【原文2】Quickly deploy a high-performance, globally available, lower-cost, and secure AI solution.
【ありがちな訳】 パフォーマンスが高く、グローバルに利用可能で、低コストかつ安全なAIソリューションをすばやくデプロイできます。

修飾対象までが遠すぎて頭でっかちな印象を受けます。ここまで修飾語句が多い場合は、思い切って2文に分けるのも手かもしれません。

【改善案】パフォーマンスと安全性の高いAIソリューションをすばやくデプロイできます。このソリューションには、グローバルに利用可能であり、コストを抑えられるという特徴もあります。

どの情報を2文目に持ってくるかは、実際の文章に出てくる修飾表現の語感・長さや、最も強調したいメリットがどれであるかを検討したうえでとなろうかと思います。

まとめ

1文に修飾語句が多い場合は、今回記事でご紹介した、 

  1.  修飾語句の順序を入れ替えて表現を調整する

  2.  2文に分けてみる

といったテクニックを活用できる場面が多いので、ぜひ参考にしてみていただけますと幸いです。



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