第16回 右翼・左翼とは
右翼、左翼という言葉はよく聞きますがそもそも両者の違いは何なのでしょう。みていきましょう
1.最初に使われたのはフランス革命時
「右翼」「左翼」という言葉は、1789年に起きたフランス革命をきっかけに使われるようになりました。
革命では、贅沢な暮らしをしている貴族や王を打倒しようと重税に苦しむ国民が反乱を起こします。国王に民主的な議会の設立を認めさせ、新しい憲法をつくることにしました。
このとき「王の権利も認めるべきだ」という保守派と「貴族や王の権利を制限しよう」という改革派の意見が対立しました。
フランス議会では保守派が議長席から見て右側に座り、改革派が左側に座りました。そこから、「伝統を守るべき」という考え方の持ち主を右翼、「既成の価値観を変えて、理想社会をつくろう」とする考え方の持ち主を左翼とそれぞれ呼ぶようになりました。
これは東西冷戦にも受け継がれ、この時代に共産主義を唱えた人や支持者たちは左翼、それに反対した人たちは右翼と呼ばれました。
2.右翼・左翼の定義はバラバラ
東西冷戦が終結して以降、右翼・左翼の定義はとても難しくなりました。
日本では、アメリカとの関係を強化しようと主張する人たちが右翼的とされる一方で、その人たちを「アメリカに追随する」と批判している人たちも右翼と呼ばれています。
また世界では、「憲法を守ろう」と主張する人たちが右翼、「憲法を変えよう」という人たちが左翼と呼ばれますが、日本では逆で「憲法を守ろう」という側が左翼、「憲法を変えろ」という側が右翼とされます。
さらにネットの世界では、左翼的な考え方の人たちを批判したり、反中国、反韓国を主張したりしている人たちのことを「ネトウヨ」と呼んでいますが、ネトウヨの中にも親米的な人もいれば反米的な人もいます。
そもそも実際の政治は右翼・左翼とはっきり分類できるものではなく、今の日本では右翼・左翼という言葉は、自分と異なる考え方にレッテルを貼って批判するために使われています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?