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デジタルヘルスとは: 新しい医療の在り方

これまで論文の海外企業情報や論文、社内の取り組みなど、総じてデジタルヘルスについてnoteでまとめてきましたが、今回はそもそもデジタルヘルスとは何なのかについて、これまでの記事をまとめながら紹介しようと思います。


デジタルヘルスとは

「デジタルヘルス」とは技術の進歩と共に台頭し、その明確な定義はされておりませんが、広義ではこれまでに紹介した企業達の様にAIやセンサー、解析技術を用いて効率化を図った医療を指します。TechDoctorの取り組みもデジタルヘルスに当たります。

台頭の背景

このワードが広く知られる様になったのは米国内デジタルヘルス分野のスタートアップ投資額の劇的な増加からではないでしょうか。

以前下の記事にもまとめましたが、近年、特にコロナ禍に見舞われた昨年からデジタルヘルス領域の投資額や上場企業数の大幅な上昇が見られています。これはパンデミックの影響だけでなく、世界的な人口増加と高齢化、慢性疾患罹患率の上昇が理由に挙げられます。

ヨーロッパOECD諸国の医療への公的支出も年々増加しており、今日ではGDPの6%に当たりますが、これが2030年には9%, 2016年には14%にまで増加すると考えられています。

日本では2021年に閣議決定された「健康、医療戦略」ではIoTを活用したヘルスケアサービスの充実強化が計画され、同年7月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2020~機器の克服、そして新しい未来へ~」では今後感染症や災害等の有事対応に備え医療、介護分野におけるデータ利活用やオンライン化を加速し、データヘルスを推進することが話し合われました。

加えて医療従事者の不足や、その地域格差を考慮するとこれから予想される需要の高まりと投資額の増加は納得がいきます。

新規上場企業やヘルスケアベンチャーが取り組む医療の効率化を大きく次の3つに分類してみました。

「治療データの分析」,「遠隔診療」,「自動診断」

治療データの分析

カルテの分析とは下の記事で紹介したHealth FidelityやFlatrion Healthの様に電子化されたカルテに眠る活用されていない情報を分析し医療動線の最適化や研究開発への応用の取り組みになります。またAyasdiの様に治療履歴や医療費などのデータも加えて患者を対象に費用対効果の高い治療を提示し、治療フローだけでなく費用の最適化にも取り組まれる企業もあります。

近年はデンマークやオーストラリアなどいくつかの国で個人の健康状態や医療記録などを医師が共有できるネットワークの構築と、それを匿名で扱い研究に生かす政策が推進されています。この様な政策を加味してもカルテへの自然言語処理の応用と生データの構造化, 分析は今後さらに拡大する需要に適した事業であると思われます。

遠隔診療

こちらも下の記事で2社: Babylon HealthとWe Doctorを取り上げてまとめてあります。例として英国と中国からその活動の幅を広げる2社を紹介しましたが、最近ではAmazonやGoogleなどの大企業も次々にこの事業領域に参入しています。

これはコロナ禍を転機に今後も成長を続ける遠隔医療への対応が背景にあると考えられます。Grand View Researchでは遠隔医療の市場規模は今後約20%の年間平均成長率で拡大していくと予想されており、マッキンゼーレポートでも今後最大2500億ドルの医療費が遠隔医療にシフトして行くと記されています。

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医療制度については国、地域毎に繊細に制度が異なりますが、それぞれが抱える医療格差などの問題を解決に向かわせる事業であると同時に、一企業が遠隔医療プラットフォームを提供することにより得られる情報の価値と市場の広がりはビジネス観点から見ても納得のいくものです。

自動診断

自動診断とは遠隔診療に近いものですが、こちらの記事で紹介したAda Healthの様に自覚症状を入力して自動で症状を判断してくれるものです。

今後はウェアラブルデバイスの普及に合わせて自覚の難しい症状でも自動で検知し、重症化する前に適切な治療を受けることが出来る予防医療が進められています。Apple Watchによる心房細動の診断が今ある有名な例でしょう。その他にも様々なスタートアップ企業が新しいウェアラブルデバイスの開発に取り組んでいます

今あるApple WatchやFitbitなどに見られる脈拍, 運動量の検知に加えて、血糖値や血中酸素濃度、ホルモンバランス等のセンサーを搭載したウェアラブルデバイスが開発されています。それらにもいくつかの種類があり、大きく腕時計型、パッチ型、脳波型、音響型の4つに分類されます。

中でも腕時計型は最も普及しており、その利用者の多さと得られるデータ量から感染症の予測と拡大防止にも用いられようとしている様です。

最近ではウェアラブルデバイスを用いた臨床試験も行われており、ClinicalTrial.govによるとこれまでパーキンソン病や心不全、糖尿病、狭心症、認知障害、アルツハイマー等の疾患を対象に行われてきています。

最後に

これらデジタルヘルスをその分析, 診断方法で大きく3つに分類して、これまでの記事と一緒にまとめさせてもらいました。それぞれ異なる角度から医療への技術的なアプローチと効率化が図られている構造を学び、世間的な理解と弊社の取り組みに生かしたいと考えています。

弊社ではウェアラブルデバイスのデータを活用した精神疾患の研究を行っています。ご興味ある方は是非お気軽にご連絡下さい。TechDoctor株式会社:https://www.technology-doctor.com/

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