見出し画像

女性の不調とウェアラブルデータ解析の可能性

こんにちは。
広報インターン生のmです。
女性のみなさん、

「生理痛はすごく辛いけれど、やることはたくさんあるし、何よりみんな我慢しているんだから私も頑張らないと」

このように思ったことはないでしょうか?
「生理痛がなんだかすごく辛そうだけど、どうしてあげたらいいのか分からない」という男性の方もいらっしゃるかもしれません。

月経前症候群(PMS)に、月経前不快気分障害(PMDD)。困っている女性はたくさんいますが、まわりに悩みを打ち明けにくい女性ならではの不調。月経に関わる労働損失は、日本国内で年間4,911億円にも及ぶといわれています。〔1〕

今回は、テックドクターで働く女性データサイエンティスト2名(Iさん、Oさん)に、

「ウェアラブルデバイス(Fitbit)から取得したバイタルデータを女性ならではの不調にどう役立てていけるか」

について、インタビューを行いました。


1. そもそも女性はどんなことに困っているの??


女性の不調に関するこれまで
O:生理などの女性の不調について話すことは、女性同士でもオープンに話し辛い話題だったのではないでしょうか。本当は女性ならではの不調だって、他の病気と同じくらい辛いはずですが、「辛い」といえず我慢する女性が多かったように思います。自分の「辛さ」を見て見ぬふりしてしまうんですよね。
I:たしかに。
周囲の女性も同じように我慢しているわけですから、自分の痛みを相対的に考えることもできないんです。結果、本来は病院に行くべき状況でも、病院に行くべきか否か、判断がつかないということも問題の一つとしてあります。


辛くても言えない
O:人に言えない話題とされている分、家族の「生理への理解」の影響は大きいと思います。
以前、「生理は辛いものだから」と母親に言われていたため病院に行かず、そのまま子宮内膜症に罹患、赤ちゃんが産めない身体になってしまった女性の話を聞いたことがあります。私自身も生理痛がひどいほうだったのですが、通院や投薬に関して母を説得することには苦労しました。生理についての「正しい認知」がまだまだ広まっていないというのが現状ではないでしょうか。


2. 近年広がる課題解決への動き


I:オープンに話し辛い女性の不調は、「辛さの自覚」も進まず、「改善すべきもの」としての社会的認知も低かったと思います。
O:問題の認知不足に加えて、解決の土台になる「客観的なデータ」も足りませんでした。
たとえば、生理は一か月に一回、しかも一週間しかありません。症状を把握するための分析には連続的なデータが必要ですが、これまでは長期的なデータを連続的にみる手段が少なかったため、分析が難しい状況でした。
O:しかし最近では、個人レベルの「辛さ」の理解促進だけではなく、「辛さ」を数値として可視化したうえで、苦しみを解決するためのプロダクトを科学的に作ろうという動きが出てきているように思いますね。
I:各企業や国が課題解決に向けて取り組み始めたと感じています。



3. バイタルデータ解析ができること


「辛さ」の可視化で、適切な理解がすすむ
O:バイタルデータ解析は「辛さ」の可視化を可能にします。これまでは長期的なデータを見る手段がなかったために、「辛さ」を客観的に見る方法がありませんでした。しかし、バイタルデータ解析によって長期間のデータを集め、客観的な数値から「辛さ」を理解することができるようになります。
I:それによって、「病院にかかるかどうか」の判断がこれまでよりも容易になると思います。これまでは「辛さ」が相対的に見えないことで助けを求められないことが多かったと思います。客観的に見えるようになることで助けが求めやすくなればいいですね。理解が進めば働き方にも反映されていくのではないでしょうか。


理解を土台に適切な議論が生まれ、効果的に製品や制度が作られる

O:問題を解決するためには、解決施策の土台となる「理解」を育てていくことが非常に重要だと思います。
I:理解が育てば、議論も適切な方法で進むようになりますよね。これまでは議論の前提となる「現状への理解」に「客観的なデータ」が足りず、石を投げあうような議論が繰り広げられることがよくあったと感じています。適切な理解が適切な議論を生み、そしてプロダクトや制度が生まれていくのではと私は考えています。



4. 可視化を土台にしてどんなサービスが現れてほしい??


O:私は 「月経前症候群(PMS)の予測」や「月経前症候群(PMS)を和らげるためのアドバイス」を提供するサービスが現れてくればいいなと感じています。女性一人一人、生理は全然違うもの。個人差、タイプ別診断に合わせてより個人に役に立つアドバイスがもらえる時代がくればいいな、と思いますね。
I:生理に関して言えば、病院にかかるかどうかの判断もなかなか難しいです。私は気軽に病院にいくための背中を押すサービスが出来てくれれば嬉しいなと思います。



5. どんな未来をつくっていきたい??



すぐ助けを求められる環境を作りたい
 O:体の不調にかかわる問題は人それぞれかなり個人差があるのに、周囲の理解がなければ解決しないところが難しいところです。
「辛さの可視化」によって、自分自身の辛さも、人の辛さも両方理解しあえるようになればいいと思います。自分の辛さのハードルを低くして、すぐ助けを呼べる意識をもちながら自分の体と向き合えるようになればいいですね。
I:そうですね。もっとフラットに会話できるようになれば、日常的にデータを集めることで普段との違いを察知しやすくなれば、と思います。まだまだ課題のある分野ですので、これから変えていける可能性にワクワクしますね。

 

 また、月経に関して、他にまとめた記事もございます。お時間許す時にでも、ご一読くださいませ。

TechDoctorではウェアラブルデバイスデータを主軸に人々のバイタルデータを計測・可視化、さらには分析し、より健全な社会にしていくことを目指して調査・研究・サービス開発を進めております。
お問い合わせはコチラになります。「こんなことはできないか?」、「こういうサービスまたは研究をしたいんだけどサポートしてくれないか?」など、何なりとお申し付けください。



参考文献
[1]経済産業省ヘルスケア産業課,「健康経営における女性の健康の取り組みについて」,平成31年3月https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/josei-kenkou.pdf


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?