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「扉が開き始めた未開拓市場」に漕ぎ出すTebikiの営業 ーデスクレスワーカーの生産性を高め、日本の国際競争力の強化に貢献するー

日本の国際競争力が低下した要因の1つに挙げられるのが、「現場力」の低下。Tebikiは現場ノウハウと教育進捗を可視化する現場教育SaaSを提供することで、デスクレスワーカー(※)の生産性向上に貢献しています。「現場教育の市場は扉が開き始めたばかり。今後、tebikiがどこまでシェアを高められるかだと思っています」と話すのは、営業部長の小島卓己です。Tebikiの営業組織や事業戦略、今後の方針について、小島さんに聞きました。

※デスクレスワーカーとは、製造、物流、建設、小売、宿泊業界など、デスクを持たず、現場仕事に従事する働き手を指します。アメリカのベンチャーキャピタルが2018年に発表した調査報告によると、デスクレスワーカーの労働人口は約27億人。これは、世界の労働人口の約8割を占めます。日本では労働人口の約6割がデスクレスワーカーに該当します。


まじめに事業成長に向き合う姿勢とプロダクトのミッションに共感

——はじめに、小島さんがTebikiに入社するまでの経緯を教えてください。

新卒で住友不動産に入社して、その後はWACUL、CBcloud、Tebikiと、スタートアップで一貫してセールス畑を歩んできました。

とはいえ、いわゆるソリューション営業ばかりしてきたわけではなく、1日50件も飛び込み営業をするような泥臭いこともしましたし、新規事業のプロダクト開発からマーケティング、顧客開拓、導入後の利用促進まで、ビジネスプロセスの様々な部分に関わってきました。

——そんな小島さんがTebikiを選んだ決め手は何でしたか?

Tebikiと出会ったきっかけは、私が信頼する転職エージェントからの紹介です。そこからTebikiを選んだ決め手は3つありました。1つ目は、会社やマーケット自体が伸びていること。2つ目は、扱っているプロダクトですね。開発しているプロダクトのテーマやミッションに共感して、将来性を感じました。3つ目は、質実剛健でまじめなカルチャーです。ムダなことはせず、業務や事業成長にプラスになることには惜しみなく投資する。会社のミッションや顧客に提供する価値に向き合う姿勢がすごくいいなと思いました。

「デスクレスワーカーの業界の生産性向上」を目指し、現場ノウハウを可視化するtebiki

——現場のノウハウを動画マニュアルで可視化する「tebiki」。このプロダクトが何を目指しているのか、お聞かせください。

「デスクレスワーカー業界全体の生産性向上」です。経済産業省が2022年5月に発表した「未来人材ビジョン」によると、日本の国際競争力は、過去30年で1位から31位まで低下しています。その要因の1つと言われているのが、「現場力」の低下です。背景には、人口減少と生産性の低下による現場の疲弊が挙げられます。

tebikiは、「現場教育の質の向上」「属人化の解消」「教育に関わる現場の負担軽減」の3つを掲げ、「現場教育を改善する」というテーマに向き合っています。

——tebikiは現場のどんな課題を解決するプロダクトなのでしょうか。

技術伝承、教育負担の軽減、人材の流動化や安全衛生管理の徹底といった、多くのデスクレスワーカーに共通する課題です。

例えば、明治時代に創業した老舗の服地メーカーにおける、ベテランから若手への技術伝承に貢献した事例があります。とても素敵なスーツを製造する歴史あるメーカーさんですが、90年代からの衣料品の低価格化の影響で一時期新規採用を止めていて、中堅層がいない年齢分布になっていたんです。品質を維持するためには、ベテラン職人が培ってきた高度な手作業、機械操作、カンコツ(マニュアル化しにくいベテランの技術)を次世代に伝える必要がありました。熟練技術の可視化を図り、動画マニュアル化することで、伝承可能な企業資産にすることができました。

上の世代から下の世代に技術ノウハウが伝承できていない。そうした課題が、日本中の現場で生じています。なぜなら、ノウハウが可視化されていないから。可視化されていないノウハウを伝えることは、難しいのではなくて、できないんです。

もう1つ、教育進捗の可視化ですね。社員が今1から10のどのステップにいるか、10に至るステップでどんなコンテンツや教材が必要か。それらを紐づけなければ、正確な教育は実施できません。

そうした必要性がありながら、これまで現場ノウハウの可視化が進んでこなかったのは、表現する手段がなかったからです。具体的には従来の紙マニュアルのような文字と写真といった二次元の表現方法では、現場の人・モノ・機械といった三次元の動きを表現できません。唯一表現できる手段が動画なんです。

現場ノウハウを可視化できれば、ノウハウを残す、伝える、教えることが可能となる。また、教育進捗を可視化できれば、漏れなく必要な教育を実施できます。tebikiはそこに高い動画技術で貢献しています。

動画マニュアルは手段でしかありません。本質的な価値は、デスクレスワーカーの「現場ノウハウ」と「教育の進捗管理」の2つを可視化できる環境を提供していることですね。

——実際にプロダクトがお客様の課題を解決した例を挙げてください。

様々な事例がありますが、共通するところで言うと大きく3つ。1つ目は、OJTを動画に置き換えられた点。2つ目が、教える側の負担軽減と教わる側の立ち上がりが早くなった点。3つ目が、教育対象が増えた点です。

お客様の中には、これまで10割がOJTだったところ、7割を動画マニュアルに置き換えられた例があります。残りの3割は最後の仕上げとして、OJTに取り組んでいるそうです。

OJTは、教える人によって言うことが異なり、教わる側の習熟度にバラつきが出ることがあります。また、製造業のようにシフト制の現場だと、教育の機会が制限されてしまいます。動画マニュアルなら、OJTのように人に教わらなくても自習ができます。また、時間や人にとらわれないので教育の効率が良いのです。

OJTが減ったことで教える側の負担も減っていますが、教わる側の立ち上がりが早くなったという声も聞かれます。教育のスピードと質が上がって、一人前になるまでに1年かかっていたところが半年で済むようになったというお客様もいらっしゃいます。

また、デスクレスワーカーの業界では昨今、外国人の従業員が非常に増えています。ベトナム、フィリピン、インドネシア、ブラジル、ネパールなど国籍も多様で、それぞれ通訳を置いたり、何種類もの言語の業務マニュアルを用意しなければならず、手間やコストがかかっています。

tebikiの動画は自動翻訳で各言語の字幕が出るので、日本語用の動画マニュアルを1つ作ればどの言語にも転用できる。外国人の従業員への教育が効率的に行えます。外国人の方が働く先を選ぶ際にも、母国語のマニュアルが用意されていれば選ばれる確率は高くなります。採用競争力を高めるうえでも役立っています。

AIや機械による自動化が進んでも、現場教育の課題は変わらない「可能性が広がる未開拓市場」

——tebikiが属する市場は今、どんなフェーズにあると言えますか?

現場教育という市場のフェーズとしては、「扉が開き始めた未開拓市場」と断言できます。閉じている扉を開くフェーズは過ぎていて、その中でどれだけシェアを高められるかだと思っています。

対象顧客としては、中小企業から大企業まで広くターゲットとしていますが、物理的に人が多いほうが、どうしても現場教育の課題も大きくなります。そうなると、必然的にエンタープライズ企業が増えていきます。

実際に取引させていただくお客様の4〜5割はエンタープライズ企業であり、中でもいわゆるナショナルクライアントが多いのが特徴です。スタートアップであれば、1件リードを獲得するだけでもお祭り騒ぎになるようなトップクラスの企業から、定期的に多くのリードを獲得できています。

——そうした日本有数の企業からもリードが獲得できている要因はどこにあるのでしょうか。

エンタープライズ企業に限らずですが、現場教育を改善するプロダクトや手段自体、今までなかったんです。そういう意味では今、我々が新しい価値を提供できているからと考えています。

なぜそれが可能になったかというと、大きく2つの要因があります。1つが、デジタル化の潮流が強まってきたこと。もう1つが、それを支えるデバイスの環境が整ってきたことです。

製造、食品、物流、サービスなどのデスクレス産業は今、デジタル化に非常に大きな関心を寄せています。多くの大企業ではDX戦略部といった部署を設けていますし、中期経営計画や戦略資料を見ても、どこもDX推進といった言葉が躍っています。

もう1つ、近年、中小企業も含め、PCやタブレット、スマホなどを配置するようになりました。私は前職で物流業界向けのSaaSを提供していましたが、3〜4年前までは運送会社のドライバーさんでスマホを持っていない方がほとんどでした。今では会社から支給されたりもしている。IT化が遅れていた業界でも、リテラシーの底上げされていることを感じます。

そうしたことを加味すると、恐らくサービスリリースをしたタイミングもよかったのでしょう。これが1〜2年早ければ、少し停滞した時期があったかもしれません。逆に1年遅ければ、誰かがこのマーケットに参入していたかもしれないですね。

——Tebikiが市場に新しい価値を提供しているというお話もありましたが、今後の市場の可能性をどのように見ていますか?

市場規模として、現場教育のDXは2,000億円、新規事業である現場管理のDXは1.4兆円を見込んでいます。背景には、どこの会社も現場教育がボトルネックになっているという事情があります。

AIや機械による自動化が進めば、いずれ人の手は必要なくなるのではないか、つまり、人への教育はいらなくなるのではないかとおっしゃる方は多いんですが、可能性としては非常に低いと考えています。

そもそも、完全に人の手が必要ない環境を作るにはものすごい投資が必要です。以前、全自動の物流倉庫を見学したことがあるんですが、確かにすごい。人ひとりもいないまま、荷物の搬入から仕分け、梱包などが行われていました。ただ、倉庫1つだけでも数百億円レベルの投資が必要です。それを実現できるのはごく一部の限られたプレイヤーだけでしょう。

倉庫や工場の一部を機械化したとしても、機械の操作や故障時の対応、清掃などは人の手を介する必要があります。特に食品工場では、異物混入を防ぐために1〜3時間に1回、機械をすべて分解して清掃しているんですよね。ですから、一部が機械化されたとしても、機械の維持・保全は人の仕事として残ります。

最近では人が作業している映像をAIが解析して、効率的な作業のやり方を導き出すと言った技術も出てきていますが、AIがそれをしてくれても、作業員に対してそれをインプットしなければならない工程はなくなりません。

結局、現場の人材教育がボトルネックになり得る事実に変わりはないので、市場自体は広がり続けていくことは間違いありません。

——tebikiを広めていくうえで、どういった点にセールスの難しさを感じますか?

大きく3つあります。

1つ目が、新しい価値を提供するサービスだということをお客様に理解していただかなければならない点です。例えば、勤怠管理システムの場合は、導入によって働き方がどのように変わるかが想像しやすいかもしれません。しかし、tebikiは導入によって顧客の業務や世界観がどのように変わるのか、根本的な部分から提案する必要があります。そもそも現場教育を改善する理由や、実現できる未来の姿など、具体的なイメージを持っていただく必要があります。その点が非常に難しいですね。

2つ目の難しさは、教育の費用対効果が見えにくい点にあります。製造業において、tebikiを導入して1年後に不良品率が0.8%から0.4%に下がったとします。しかし、それが本当にtebikiによって現場教育を改善したからなのか、設備を変えたからなのか、特定しきれない。そうした中で現場教育を変えるプロジェクトを推進するのは、我々セールス側だけでなく社内の担当者の方も苦労されるポイントだと思っています。

3つ目は、現場教育は関係するプレイヤーが非常に多いことです。現場教育の場合、製造部門のスタッフだけでなく、工場長や本社のDX推進部、生産技術部のメンバーなど、さまざまな関係者が関与します。そして、それぞれの関係者は異なる利害関係を持っています。そのため、これらの異なる利害関係者を調整して契約をいただいたり、利用を促進していくことに一定の難しさがあると感じています。

そういったtebikiのセールスにおける特有の難しさに対処するために、当社では各業種の業務プロセスをより詳細に理解するための取り組みを行っています。例えば毎月一回現場訪問を行い、製造工場における作業の一連の流れを観察する機会を設けています。それによって、現場ではどんな人がどういう動きをしているのかを解像度高く理解できるようになります。解像度が高まると、お客様への提案の質や量がまるで変わってきますね。

——そうした、tebikiを導入したことで課題が解決できたといったお客様からの声はどのように届くのでしょうか?

Tebikiでは担当しているカスタマーサクセスが頻繁にお客様と接するようにしています。例えば最初の3カ月は2週間に1回、それ以降は2〜3カ月に1回、必ず打ち合わせを持つようにしていて、常に顧客からのフィードバックが得られる状態ですね。
例えば、何か新しい機能をリリースすると、定例のタイミングを待たずにお客様から喜びの声とともに、組織内でどのような効果が出ているかも教えていただけます。

常にお客様の声が届くため、担当しているお客様の変化を把握しやすく、情報を得やすい環境が整っていますね。

高品質な顧客対応と、よりよいプロダクトを追求する営業組織を目指す

——現状、営業組織はどういった構成になっているのでしょうか。

営業組織の構成は、事業のフェーズにあわせて柔軟に変えていて、現状は大きくフィールドセールスとカスタマーサクセスに分かれています。

フィールドセールスは、「SMB(中小企業)」「MID(中堅企業)」「EP(エンタープライズ)」という形でチームを分けています。2023年6月にはフィールドセールスの中に、営業組織そのものを強化・最適化するセールスイネーブルメントのチームを立ち上げました。

カスタマーサクセスは、担当企業を持つカスタマーサクセスと、担当企業を持たずに全顧客のサクセスの底上げをミッションとしたカスタマーサポートに分けています。カスタマーサポートは2023年4月に立ち上がったチームです。

——カスタマーサポートとセールスイネーブルメントを立ち上げた背景について教えてください。

セールスイネーブルメントについては、現場教育のプロダクトにおける一定の勝ちパターンが見えてきたことが背景にあります。かつ、営業の標準化をする狙いもありますね。

当社でもtebikiを活用して教育用の動画マニュアルを作っていて、いろんなスキルやノウハウが溜まっています。それをしっかり浸透させて、メンバー全員の実力を底上げしていく役割が必要になってきたと感じて、セールスイネーブルメントを作ったというのが経緯です。

カスタマーサポートを立ち上げた背景は大きく2つ。1つは、全顧客へのサービスの品質を高めるためです。今までは1社当たり1人が担当についていたのですが、そうなると1人が何十社も担当することになります。お客様対応の品質低下を防ぐためにも、スピード感をもって対応できるチームが必要だと考えました。

もう1つは、顧客への接点を増やして開発へのフィードバックを強めるためです。プロダクトのフェーズが進むにつれて、顧客の声をプロダクトに反映することの重要性が増してきたんですが、フィールドセールスもカスタマーサクセスもお客様に向き合う中でなかなか時間が取れない。そこで、ユーザーと開発のハブとなる役割が必要だと考えて、カスタマーサポートを立ち上げました。

——今後、どんな営業組織を作っていくか、組織戦略や営業戦略について教えてください。

軸となる考え方が3つあります。1つ目が、営業組織の標準化。2つ目が、事業のフェーズに応じた組織体制。そして3つ目が、メンバーそれぞれが輝ける場所にいることです。

1つ目の標準化ですが、これまでずっとマネジメントをやってきて、10年ほど前から「誰でも売れる営業組織を作りたい」という思いがありました。標準化というとみんなが同じ営業をするようなイメージがあるかもしれませんが、私が思う標準化は全員が100点中60点取れる状態を言います。60点が取れたら、あとはそれぞれのやり方で90点や100点の成果を出せるようになる。そんな環境を作りたいと思っています。

2つ目として、事業のフェーズは常に変化していきます。今後新たな事業が立ち上がると、必要に応じて組織の規模も拡大する必要があります。大きな変化を恐れず、適切にフェーズごとの組織体制を構築していきたいと考えています。

3つ目として、私自身これまで飛び込みやゴリ押し、提案営業、いろんな営業を経験しましたが、人にはそれぞれ向き不向きがあると感じています。また、短期的にお客様と接して契約を取るのが得意な人もいれば、長期的にお客様と向き合って大きな契約を取るのが向いている人もいます。短期的な営業が得意な人が長期的な営業をしていても成果は出にくいし、本人もつらいでしょう。だからこそ、各メンバーが最も輝ける場所で輝いてもらいたいと思っています。

事業戦略的なところでは、エンタープライズ向けの組織を強化したいですね。具体的に言うと、グループ会社を含めたナショナルクライアント専任の役割を作ろうとしています。エンタープライズ企業1社から大きな売上を上げられるような組織体制にシフトしていくのが直近の方針です。

——最後に、お客様にどんな価値を提供していきたいか、想いをお聞かせください。

「よいプロダクトを作って、ユーザーに利用してもらう」。そこに尽きますね。よいプロダクトを作るためには、フィールドセールス、カスタマーサクセス全員が顧客の声をどれだけ集めてこられるか。そして、それをしっかりプロダクトにフィードバックできるかが重要です。そのための情報のフローを作っていきたいです。

あとは、どんなにいいものを作っても、使っていただかなければ意味がありません。プロダクトを広げ、しっかり浸透していけるような営業組織を作っていく必要がありますし、プロダクトを活用していただけるようなカスタマーサクセスの体制を整えていきたいと考えています。

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