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グロービスのスタートアップ採用支援策:出資を受けた起業家が解説します!

弊社が提供する「現場向け動画教育プラットフォーム tebiki 」を事業拡大させるため、先日 3億円のシード資金調達を実施しました。資金調達にいたるプロセスについては「3億円調達の舞台裏:エンジェル投資家有安伸宏を解説」の記事に書いた通りです。

今回の記事はその続きで、グロービス・キャピタル・パートナーズ(以下GCP)の様々な投資先支援策の中で、「人材採用」にフォーカスしてご紹介します。

( 貴山 @tkiyama )

採用の重要性

言うまでもなく、スタートアップにとって人材採用が生命線です。弊社の場合、リード来るのにさばけない、やるべき施策はわかってるのにやれない、せっかく資金調達したのにそれを使う人材がいない、とにかく採用しないとヤバイ、という状況でした。

弊社もそうですが、シード期の会社の多くは社長が採用担当で、あらゆるタスクをこなしている中で時間を捻出するので、やれることに限りがある上に、採用ノウハウも持っていません。事業をドライブさせる人材採用が超重要なのはわかってるけど、打ち手を間違えると回り道しちゃう、どうしよう、という感じでした。

GCPにはGCPXというチームがある

GCPには「GCPX」という採用支援組織があり、今回の記事は、弊社をサポートしてくれたGCPXチームの具体的な支援策の紹介となります。
※GCPXの狙い、やっていることなどは、こちらの記事が詳しいです。

【その1】 まず未来の組織図を作った

出資後の最初の定例ミーティングでのGCPからの問いは、「今回得た資金で、いつまでに何を達成したいですか」というものでした。出資前のピッチではもちろんそういう計画を(自信満々に)プレゼンしているわけですが、その解像度をもっと上げようぜ、という提案です。

そこから、事業計画の1年半後のマイルストーンを決めて、その時点での組織図と、そこへの過程でどの部門に何人必要か、という採用計画を立てていきました。

採用は3ヶ月~1年ぐらいのリードタイムがあるので、事業計画からおろして、未来の組織図を作った上で、常に先手を打つ必要があります。
組織図の重要性はジェネシア鈴木さんのブログのまさにこの通り。

「どうやったら事業成長を今より加速させられるか?高い事業計画を実現出来るか?といったゴールから逆算し、かつ制約条件をなくて理想の組織図を作ることが大事です。」

【その2】いまやらないことを決めた

採用活動で最終的にやるべきことはわかってて、成長企業は以下の施策をすべてやってると思います。

・採用専任者を置く
・採用デッキ作る
・リファラルがんばる
・採用広報がんばる
・カジュアル面談いっぱいやる
・求人媒体増やす
・スカウトうちまくる
・エージェントをたくさん(ときには10社以上)活用する
etc

実際に、いろんな人から「最初に採用担当者を採用しろ」「とにかくスカウトやりまくれ」「エージェントが一番の近道」とか色々アドバイスをもらいます。

リソースが限られた中で一番大事なことは、今やらないことを決めて、最短距離を走ることだと考えています。「このやり方でほんとにあってるのかな?」という迷いが出ちゃうと、判断が鈍って全ての施策が中途半端になってしまうので、「やらないことを決める」というのがものすごい大事。

弊社のカルチャーにある「やらない決断をする」の通りです。

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直近の採用計画を見ながらGCPXと相談してまず決めたのは、
・スカウトうたない
・媒体増やさない
・エージェントは1社だけ
ということでした(その後、状況にあわせて施策は変えてます)。

採用が最優先だし、あれもこれもやらないと!、と思ってた私は、これで雲が晴れた気分で、「いま」必要な採用施策に集中できたことがその後の成功にすごくつながったと思います。

【その3】プレスリリースだした

(シード期は)広報する時間あったらプロダクト磨こうぜ、という考えなので、これまで外向けの情報発信を全くしていませんでした。

どの時点から広報に注力するかは議論がわかれるところですが、求職者が会社名で検索したときにちゃんとした外部記事が検索結果に出るのは採用的にはかなり重要で、実際、転職に本気な人ほど事前に弊社のことをよく調べています。

そこでプレスリリースを出した結果、たくさんのメディアに取り上げて頂いたのですが、GCPからの強力なプッシュがその裏にはあったりします。

【その4】実際に手伝ってくれた

戦略レイヤーでのディスカッションはもちろん大事だし、上からおろしていかないと末端の施策を間違えちゃうわけですが、とはいえ、正しいべき論を言われても「それやるの俺しかいないんだけど」と心の中でつぶやいてるわけで、人数足りないシード期で一番助けて欲しいのは実務サポートだったりします。

今回、GCPXチームが手伝ってくれたのは、スカウトメール送信/面談日程調整/候補者紹介などの採用実務そのものでした。

採用のプロがオペレーションを手伝ってくれたのは本当に助かりました。さらにそれよりも有り難かったのは、オペレーションの型を作れたこと。結局、最初の型を作るのが一番手間かかるところで、エージェントとの付き合い方、スカウトメールの打ち方、求人媒体の選定方法などなど、ノウハウを伝授して頂きました。

【その5】来て欲しい人材の解像度が上がった

来て欲しい人材の解像度が高ければ高いほど、ミスマッチが減ります。「優秀な人がほしい」というのはちょっと語弊があって、正しくは「お互いが幸せになれる人に来てほしい」だと思っています。
じゃあ、どういうスキル/マインドセットの人ならお互いが幸せになれるのか、欠けていたパズルのピースになるのか、という解像度は議論だけで深まることはなくて、運用しながらじゃないとできません。

弊社の場合、GCPXのみなさんと日々相談しながら作ったジョブディスクリプションのドキュメントがそれで、求める/求めない人物像はどんどん細かくなって、20ページを超えました。ちなみに「求める人物像」よりも「求めない人物像」を言語化する方がかんたんだったりします。

はじめてNETFLIXのカルチャーガイドを見たときはその分量の多さに驚きましたが、理想のチームを作るためにはできる限り言語化するのが正しいと思ってます。

※NETFLIXカルチャーの最新版はこちら

さいごに

少ない施策を正しく実行することで、3ヶ月で社員が倍になるという最高の結果になりました。関係者の皆さまありがとうございました!これで戦えるチームの土台が作れた。うれしい。

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VCとスタートアップの関係/採用支援策はステージや担当者によっても大きく違いますが、今回の記事が、起業家/投資家の皆さんに少しでも役に立ったら嬉しいです。


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