第3話 こんなもんでしょ

旅の最後にあいつと出会った。
世の中には、変わった奴もいるもんだ。

いや、あいつは相当変わっている。
特に見た目が変わっているんだ。

でも、見た目は関係ない。
あいつはそれを教えてくれた。

「いやぁ、勿体ないなぁ。まだいけんで、これ。いらんねんやったら、もらっときますけど。」
飲食店が立ち並ぶ路地裏で、あいつと出会った。

ゴミ箱に捨てられているものを匂っては集め、お腹に収納する。
その度に「パワー注入!」と叫び、目をピカピカさせ、頭のアンテナをぐるぐるさせる。

そして、次のゴミ箱をチェックしては、「パワー注入!」を繰り返す。

「パワー注入中に申し訳ないが、さっきからお前はいったい何をしているんだ」
「ほー。河童さんですか。珍しいですなぁ。」

…いやいや、お前の方が珍しい。俺はこれでも昔から結構馴染みがある。そういう観点ではお前の方が歴史が浅い。認知され出したのもせいぜい200年くらい前だろ。

「わて、これが大好物でして、目がないんですわ。」そう言って腐ったチーズを腹部に収め、「パワー注入!」が路地裏にこだまする。

「なかなか、面白い身体だな」
「そうでっか?みんなこんなもんでしょ」

….いやいや、あんた完全にロボやん。

くそっ。
俺としたことが思わず、ぼやいてしまった。しかも大阪弁で。

「みんな、わてのことロボロボ言いますけど、人間とロボットとかで区別せんでもいいですやん。仲良くしましょ。人類皆兄弟言いますやろ。それ、人間だけちゃいますねん。地球上に生きてるもん、みんなのことやと思いますねん。」


ふっ。なかなか面白いことを言いやがる。気にいった。
たしかに俺も妖怪だ。いや、妖精だ。仲良くいこうじゃないか。


こうして、俺はロボをスカウトした。
「それ、めっちゃおもろいですやん。ひとつ、ワテも協力しまひょ。」

「助かる。しかし、なんて言うか、お前は…ちょっと古い感じがするな。いや、ロボだから新しくはあるのだが、見た目が古いというか….。」


「そうでっか?みんな、こんなもんでしょ。」
こうして、1人目の仲間が加わった。

図ロボ

次回 第4話 ヒーロー面接

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