15日間、本気でファンアートを“縫って”みた
私の尊敬する漫画家先生・椎橋寛先生の作品『岩元先輩ノ推薦』の公式Twitterがファンアートを募集していたので、15日間本気で頑張ってみました。
私は絵がそこまで上手くないので、今回は刺繍での挑戦となりました。
この記事では、全集中した15日間の過程を記していきたいと思います!
始まりは、公式さんの投稿でした
なんだか眠れなかった、去る9月21日の真夜中。
フォロワーさんのスペースを聞いていたとき、『岩元先輩ノ推薦』公式Twitterからの通知に気がつきました。
時々、公式さんは午前0時にキャラクターの誕生日を投稿することがあります(突然の当日発表スタイルです)
「あれ、今日誰かの誕生日なの?
岩元さん(主人公)の誕生日、昨日(9/20)だったよね??
誕生日ラッシュなのかな?」
そう思いながら投稿を確認しました。
すると…、まさかの、ファンアート募集でした!!
公式さんがファンアートを募集するのは初めてのことで、かなり衝撃を受けました(あまりのことに、ウトウトしていたのに一気に目が覚めました)。
『岩元先輩ノ推薦』の力になりたい。
前々からそう思ってきた私にとって、これはチャンスだ!と思いました。
公式さんのニーズに沿っていて、かつ、周りの人にも作品を知っていただくきっかけになる。
一石二鳥です……しかし。
私は、絵がそこまで上手くありません!!
特に人物画は、描きたいですが壊滅的です。
手が手に見えないですし、影や服のシワなんて、全くもって意味がわかりません。
デジタルイラストなんて、もっとわけがわからないです。
「これじゃ…、公式さんに見てもらえない!!」
どうすればいいんだ…!!と考えて。
思い浮かんだのが、刺繍でした。
小学生の頃は、玉結びも玉留めもろくにできなかった私ですが。
去年、大好きな服に小さな虫食いを発見したのをきっかけに、砂時計と桜の刺繍をしてみて、その楽しさに目覚めたのです。(玉結びも玉留めもできるようになりました。今更ですが…)
皆さんもご存知、noteのアイコンですね。
「刺繍なら、少しはマトモなものができるのでは?」
そう思いました。
また、刺繍をしていると、心がとても落ち着いて、ストレス発散にもなっている気がしていたので。
「刺繍にしよう!」と決めました。
(幸い、あーとと呼べるものなら何でもOKだったので、本当に良かったです。公式さんありがとうございます)
いざ、始めん!!
ということで、少し寝てから早速、ざっとしたラフ画を描いてみました。
絵が下手ではありますが、いきなり縫い始めるのではなく、イラストでイメージを膨らませてからにしています。
人物を描くのは本当に苦手なので、今回は後ろ姿にしました。
それでも、コートは意味がわかりませんでしたが…。
そして、手芸屋さんで糸とリネンクロスを買ってきました。
簡単なラフ画でしたが、かなり素早く描くことができたので、早速縫い始めました。
人物から描くのは怖かったので、まずは彼岸花から。
たくさん写真を見て、勉強しているうちに、少しずつ上達してきた感じでした。
毎日少しずつ花を縫っていき、一日の終わりに写真を撮って書き込みをし、翌日以降の自分への指示書きみたいなものを作成しました。
人物、難しい!!
さて、彼岸花と炎は何とかなりましたが、問題は主人公(人物)でした。
漫画を見ながら服のシワを描いていきましたが、右袖の形をどうするか、かなり悩みました(コートは羽織っているだけなので、風に揺られてはためきます)。
結局、何度も何度も解いては縫った記憶があります。
影やシワの色は、藍色にすると目立たなくなってしまったので、
青の上から濃い緑を縫うことで、綺麗だけれどどこか黒っぽい色にすることができました。
こちらのアゲハ蝶のような色にできたので、よかったです。
炎の重ね色
9割主人公を縫い終わったので、次は炎の中を縫っていきました。
最初はオレンジのみを使っていましたが、そうすると彼岸花の色が目立たなくなってしまい。
上から山吹色を重ねることを思いついて、やってみると、炎がとたんに生き生きとし始めました。
結果、本当に燃え盛っているかのような炎を縫うことができました!
奇跡的にフォトフレームにピッタリ!!
さて、これまで適当なサイズで縫っていた作品ですが(リネンが畳まれて売られていた時の折り目に沿って切って使っていました)、
「このまま出すのもなんか微妙だな…」と思い始め。
試しに、家にあった写真立てに入れてみたところ、なんと奇跡的にフィットすることがわかりました!
でも、フォトフレームはダークブラウンがいいな…と思ったので、後日買いに行くことに。
刺繍は星(北極星と北斗七星)を入れ、いよいよラストスパートに入っていきました。
火の粉に込められたもの
さて、いよいよ最後の仕上げとして(そして、北斗七星のカモフラージュとして)火の粉を縫っていきました。
縫い始めると、作品の雰囲気がぱっ、と変わったのがわかりました。
これまでは、どこか悲しみをたたえた背中が印象的な主人公でしたが、
火の粉を入れると、この世のものとは思えない神秘的な感じが出てきてくれました。
そして…、以前Twitterで話題になった、『火垂るの墓』のポスターを思い出しました。
真偽は定かではありませんが、『火垂るの墓』のポスターにはB-29が描かれていて、蛍に見える光は焼夷弾なのではないか、という噂があるのです。
意識していたわけではありませんが、今回、火の粉を縫っていくうちに、
「この刺繍が伝えたいのは、このことかもしれない」と思い始めました。
『岩元先輩ノ推薦』は、1910年代のお話で、少しずつ戦争へと向かっていく不穏さも抱えています。
主人公である岩元は、特殊な能力を持つ人たちの人権を守るために陸軍の中学校に所属している人物です。
戦争を考えることなしには、『岩元先輩ノ推薦』は読み続けられないのかな、と私的には思っていまして。
その私の深層心理が働いたのか、それともただの偶然なのでしょうか。
それでも。
きな臭くなる世の中で、それでも平和を模索する。
それが、私の刺繍が到達したテーマなのかな、と思いました。
フォトフレームに入れて、提出!
さて、15日かけて作った刺繍も、ようやく今日(10/4)で終わりを迎えることができました。
作品の雰囲気に合うフレームを選んで、写真をパシャリ。
こちらをツイートし、応募完了となりました!!
ツイートには、ちょっとした文章も入れました。(文章が一番得意なので…)
15日間の振り返り
さて、15日間もひたすら縫って縫って縫い続けてきて。
「小説以外で、こんな集中力が出せるんだ……」と思いました。
社会人(?)ですが学生で、秋期の授業が始まる前だったこと、
そして小説の公募が落ち着いていたからこそ、できたことだったなと思います。
また、現在は創作大賞の結果待ちですが、刺繍に意識を向けられたことで、毎日ドキドキハラハラしすぎなくて済んでよかったです。
それから、小説でもよくあることなのですが。
今回の刺繍も『自分で作った感覚がしない』状態でした。
ですから今、フォトフレームに入った作品を見ていて……、
何だか、”これまで頑張ってきた私へのトロフィー”のような感じがしてきました。
今回の作品で、刺繍に対しても自信を持てたような気がしています。
材料代で4000円くらいかかり、使った糸の色はおよそ18色。
ここまでの大作は初めてです。
また一つ成長できたなぁ、と思いました!!
椎橋寛先生、担当編集者さん、そして、今回のファンアート募集に携わってくださったすべての皆様、本当に本当に、ありがとうございました!!
これからも『岩元先輩ノ推薦』を推していきます!!
この記事が参加している募集
よろしければサポートお願いいたします!小説家として、そして尊敬する方といつか一緒に働くために精進する所存です✨