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年上ミドルの活躍はカンタンじゃない!

今回は、若い頃にお世話になった先輩が自分の部下になった話です。

結論から言うと、「年上ミドルに活躍してもらうのは、やっぱり難しかった!」という話なので参考にならないかもですが…。


お世話になった先輩が部下に!

先輩とは20年ほど前に、現在は私が課長をしている課で私が入社5年目の頃に一緒に仕事をしました

当時はチームリーダーをされており、商品知識や営業スキルも豊富で色々と教えていただいた方です。

その後、いくつかの商品の商品企画や事業戦略の課長、最近10年程は海外市場を担当し、最終的には海外販売拠点のマネージャーまでされました。

商品企画から販売前線まで経験し、国内市場にも海外市場にも精通された先輩が、1年前に日本に戻って来て私の部下になったのでした。

さて、皆さんならどうしますか?

私の課は国内市場の商品企画・販売戦略を担当しています。

先輩は、1年前に戻られた時点で57歳、私より一回りほど上の年齢です。

・知識も経験も豊富です。
・社内外に人脈もあります。
・国内も海外も経験しています。
・汗をかく仕事も厭わないタイプです。

ただ、悩みどころもありました。
・私の課の商品を担当するのは20年振り。
・日本市場も10年ぶりの担当でした。
・ご本人も海外担当に戻ると思っていた節もありました。
・環境面でも、やはり気になるのは年齢差。
・一緒に働くメンバーは、私を除いて皆40歳以下でした。

そして何より私自身、
年上ミドルを部下に持つのは初めてでした。

ミドル人材活躍のための処方箋

「さて、どうしようか…」
手探りでやっても、うまく行きそうにありません。

そこで、白川桃子さんの著書「ミドル人材活躍のための処方箋」を参考にすることにしました。

著書に書いていることを参考に、先輩にやっていただく仕事やフォローの仕方を色々と試しました。

1年間取り組んだ中で、うまく行ったことと、うまく行かなかったをまとめます。

①「場」と「やること」を提供する

「やること」は提供できましたが、「場」の提供もセットで必要だということを学びました。

私は「やること(ミッション)」として、「新事業開拓」をお願いしました。

経験・知識を活かしビジネスモデル提案までは辿り着きましたが、残念ながら事業化には至りませんでした。

先輩いわく、「やりがいはあったが、事業化するための受皿(協力部門と予算)が無かった」

当初は協力部門や予算も自ら開拓することを期待していましたが、現在仕事を動かしている中心世代(30〜40代)との関係づくりに苦戦する結果となりました。

いくら経験豊富なミドルと言えど、ある程度こちらからも協力者や予算などの環境(場)の提供もするべきでした。

②「あなたにしかできない」仕事をお願いする

中期的なミッションはこの点を意識できましたが、日々突発的に発生する仕事の振り方は要注意でした。

日々の突発的な仕事もミッションに沿っているかで判断する必要があったのです。

突発的な仕事が発生した時に、いくら時間に余裕がありそうでも便利屋さん的な指示は絶対NGということですね。

そして、この点は課のメンバーにも共有しておく必要があります。

若手が、ミッションとは全く関係の無い仕事を、「時間がありそうだから◯◯さんに頼んで良いですか」と聞いて来ることもあり、冷や冷やしました。(若手から見たら、オジサマは暇そうに見えるのですね…)

③「あなたにお任せします」

これはその通りで、細かいフォローは不要です。
とは言え、放任もNGだということは忘れてはいけません。

定期的にミッションに対するアウトプットを確認したり、会議などで出番を作るようにしました。

④ 他の世代と隔離せず融合する環境を作る

これは最初はうまく行っていませんでした。
最初の半年は、単独でやる仕事が中心になっていたのです。

疎外感があると感じたので、半年後より商品研修サポートもお願いし、2年目の若手と組んでもらいました。

「もうジジイだから口出しはしないよ」と仰りながらも、仕事の質やビジネススキルを適度に指導いただき、若手とも良い関係が築けて他のメンバーとも関わりが増えていきました。

白川さんの著書でもサントリーの「隣のお節介おじさん・おばさん(TOO)」の取組みが紹介されていましたが、やはり、ミドルの適度なお節介は良い効果をもたらすのですね。

⑤ 研修と活用できるキャリアを用意

これは、個人や課レベルではなかなかうまくいきませんでした。

さりげなく社内の研修は紹介しましたが、本人からはその気は感じられず「これまでの経験と知識が活かせる場があればなんでもやりますよ」と言うに止まり、リスキング(学び直し)をする意思は見えてきませんでした。

もしかしたら、実はリスキングしたいと思っているかも知れませんし、実は社外でやっているかも知れないのですが、本音を引き出すのはなかなか難しいですね。

そういった意味で、「会社として正式にリスキング環境を制度化する必要もある」という論もありますが、その通りかも知れません。

「いい歳して、そんなの本人の責任だ!」という意見ももちろんありますが、どうやって背中を押してあげるかが重要だと感じました。

⑥ 周囲から「ありがとう」と言ってもらえる仕事を任せる

年齢に関係なく、この視点は大事ですよね。

④で書いたお節介に対し、若手も「ありがとうございます」と良い関係ができているので、「ありがとう」とお互い言い合える仕事を増やしていかなくてはです。

⑦ 名誉職・肩書はやりがいにつながる

これは、中途半端に付けるくらいなら不要だったと反省しています。

課に配属されたので「担当課長」としたのですが、本人含め社内外の誰も呼ぶ人もおらず、あまり意味のない肩書になってしましました。

付けるなら、もっと意味があり、やり甲斐を感じる肩書を考えるべきかも知れません。


いかがでしたでしょうか?

note読者の皆さんからすれば「ぬるいこと言ってんじゃねーよ!」という内容だったかも知れません。

ただ、現実には多くの企業の悩みになっていく気もします。

これからはミドルどころか、60歳以上のシニアも活躍する時代が来ると言われています。本人も企業も意識を変えていかなくてはいけないですね。

10年後には、自分も同じ環境になります。

自分が10年後にどうしたいのかも考えながら、この問題と向き合っていきたいと思います。


ありがとうございました。


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