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4.1.「茶道団体」の活動内容

第4章からは,インタビューの内容に加え,「茶道団体」やその代表者の実際の茶会活動を,事例として大いに取り上げる。

団体としての特殊性

本稿における「茶道団体」は,その代表者や主宰者を中心とした,ごく少人数の集合を指す。

メンバーを増やすこと自体は目的としていないため,団体発足時から現在まで,メンバーもその数も大きく変わっていない。
この点が,会員を増やすことで勢力を増そうとする団体(例えば流派)とは大きく異なる。

実際に,イベントや茶会では数十人から百人単位の参加者を動員するが,運営側の人数はほぼ一定である。
「茶会活動」の企画や運営の中心となるのも,メディアに登場するのも,代表者だけであることが多い。

集団としても特殊な形態をとっている「茶道団体」の催す茶会が,茶道界においてどのように特殊であると言えるのか,まずは個別の具体例を挙げる。

流派との共存

次に,「茶道団体」全体に当てはまる共通項を洗い出し,「茶道団体」が流派と共存する上で行っている対策について論じていく。

また,流派から見た「茶道団体」にも触れ,この二者がそれぞれどのような思惑で動いているのかを描写する。

本稿で扱う「茶道団体」

「茶道団体」の具体例として登場するのは「給湯流茶道」,「アバンギャルド茶会」,「茶の湯集団鴨ん会」,「陶々舎」,「World Tea Gathering」,「世界茶会」である。

これらは実存する団体であり,個別の茶会名や活動名も,実際の名前である。
そして書籍から引用できる範囲に限り,その代表者や主宰者を本名で描写する。


「茶道団体」の共通項

個々の「茶道団体」は一見バラバラの活動をしているが,そこに現れている共通項は以下の点である。

歴史上の茶人の要素を取り入れることにより,活動に正統性を持たせている。
・ 従来の茶道修練者とは異なる独自の「伝統」観を持っている。
インターネット上の第三者や流派からの反応を意識して,活動や対策を行っている。
・ 自らの活動が,流派や茶道教室での教授内容に反するものだとは考えていない
・ 流派へ対抗する意図はなく,むしろ流派に貢献できていると考えている。

こうした「茶道団体」の特徴の描写をしながら,本章全体を通して,「茶道団体」と流派が共存する様相を浮かび上がらせたい。


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