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nekonosara
【1話完結小説】原因
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問題解決のために原因を探究することは面白い。知的好奇心というやつだ。
原因を見つければ自ずと対処法も考えつくだろう。
俺は自分の部屋のあちこちを探しまわる。
そしてついに。
「…みつけた」
叔父さんから入学祝いに貰った分厚い国語辞典。春から開きもせず秋までずっと放置していたそのページの間に、小さな呪符が一枚。
これが最近俺の周りで起こる不幸の原因に違いない。原因がはっきりすると途端に目の前がひらけたような清々しい気持ちになる。
その時、呪符が“嫉妬”で始まるページに挟まれていることに気が付いた。
…ああ、この呪いのそもそもの原因は、俺が叔母さんと関係を持ってしまったこと。
それとも
俺と叔母さんが惹かれあってしまったこと。
俺と叔母さんが出会ってしまったこと。
俺と叔母さんが生まれてしまったこと。
どこまで遡ればいいのだろう。
秋の真っ赤な夕日が差し込む部屋で俺は立ちすくみ思案する。
赫い部屋の中で何か、俺以外の黒い影がゆらゆら蠢く気配がした。
end
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