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15秒で読める小説

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15秒で読める!140字創作小説
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2022年3月の記事一覧

【140字小説】春の夜

【140字小説】春の夜



春の夜は生ぬるい強い風が吹いて、それが庭で枯れそぼってる草木を揺り起こす。
草木らはいよいよ枝葉を伸ばせる季節が巡ってきたのだと力強く首をもたげる。
庭中が期待と希望で溢れ返る。

貴女がソワソワ眠れない春の夜は、そういう夜なのかもしれません。

【140字小説】後になって

【140字小説】後になって

「さよなら」
彼はそう言って我が家を後にした。

「またね」じゃないんだな、と気づいたのは見送った後、カチャンと内側から鍵をかけた時。

そもそも彼はどこの誰だっけ?…と気づいたのはその後1人でTVを見てる時。

彼はもう来ないんだと思う。
来られたら…困る。

【140字小説】タメサレ

【140字小説】タメサレ

「結婚しました」
数年ぶりの友からLINE。懐かしさにテンションが上がり「お祝い送るね」と締めくくる。
半月後「出産しました」のLINE。
よく考えたら結婚祝いのお礼も内祝いも何も返って来ていない。
…私は周囲を伺う。ねぇこれモニタリング?人間力、試されてる?

【140字小説】何も起きない

【140字小説】何も起きない



誕生日を迎える迄の数週間が1番ワクワクする。当日のケーキやプレゼントやサプライズや…起こるかもしれない「何か」を想像してほんのり心躍らせる数週間。
そうして当日があっさり過ぎ去るとまた、捨てられた子犬の様な瞳でふらふらと1年間を彷徨う旅に出るのだ。

【140字小説】未来予報

【140字小説】未来予報



「明日天気になーれ!」って靴を飛ばして天気占いをしたり、てるてる坊主を窓辺に吊るしたり…そんな光景は過去の産物。
アプリで時間毎の雨雲の動きすら分かる時代。
「ね、本当は天気どころか僕の未来も分かってるんでしょ?」無邪気に問う息子の目は笑っていない。