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英文法解説 テーマ6 分詞 第6回 少し注意が必要な分詞構文

 こんにちは。今回で「分詞」は最終回です。「少し注意が必要な分詞構文」について解説します。具体的には、①独立分詞構文②with+独立分詞構文③分詞構文関連の慣用表現です。なんか難しそうに思えるかもしれませんが、基本から丁寧に解説したいと思いますので最後までしっかり読んでください。

独立分詞構文

 「テーマ6 分詞 第4回「分詞構文の基本①~分詞構文の形~」」でも解説したように、分詞構文の語形(現在分詞or過去分詞)は、主節の主語の立場で考えるのが基本です。

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 これは、分詞構文の意味上の主語が主節の主語だからです。

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 しかし、それ以外の名詞を分詞構文の意味上の主語にしたい場合は、分詞構文の直前にその名詞を置きます。そのようにしてできた分詞構文は独立分詞構文と呼ばれます。分詞構文の意味上の主語(S1)と主節の主語(S2)は異なっていることが前提となるので気を付けましょう。

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 次の例文で確認してみましょう。

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 (1)では、分詞構文の意味上の主語はMy brotherです。もし、Living in N.Y. I rarely meet him.だと、分詞構文Livingの意味上の主語は“I”になってしまいます。(2)では、“It”が分詞構文being rainyの意味上の主語になっています。このItは、天気・天候を表すitです。it≠weということです。

with+独立分詞構文

 さて、ここまで説明してきた独立分詞構文ですが、実際に英文中で見かけても気付きにくいことがよくあります。文頭タイプならまだしも、文中(挿入句)や文末に独立分詞構文が置かれるとさらに気付きにくいでしょう。実際に、上記の例文(1)の独立分詞構文を文中や文末に入れてみましょう。

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 こういう分詞構文も実際に英文中に登場しますが、このような独立分詞構文を一気に見やすくする方法があります。それが、前置詞のwithを使う方法です。実際に、この独立分詞構文の直前にwithを置いてみましょう。

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 このwithこそ、いわゆる「付帯状況のwith」と呼ばれているものです。「テーマ6「分詞」 第5回「分詞構文の基本②~分詞構文の訳し方~」」で解説したように、一般的には文末タイプの分詞構文の訳し方のひとつに「付帯状況」というのがあるのですが、この「前置詞with+独立分詞構文」というのは、「付帯状況(~しながら)」以外の訳し方をする場合も珍しくありません。

 実際、上記の(3)(4)の例では「理由」の訳し方になっています。そういう意味で、私個人としては、このwithを「付帯状況のwith」と名付けるのには若干、違和感を覚えます。なので、次のように考えるとしっくりくるかもしれません。

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 例文で他のケースも確認していきましょう。

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 (5)では、you staring meという独立分詞構文(I≠you)の直前にwithが置かれています。(6)では、his eyes closedという独立分詞構文(he≠his eyes)の直前にwithが置かれています。ちなみに、closeは他動詞「を閉じる」なので、his eyesの立場で考えると「閉じられる」なので、過去分詞形closedになっています

 通常、前置詞のwithの後ろには「名詞」が置かれるはずですが、このように、withの直後に「名詞+分詞」という構造が続くことで、より独立分詞構文だと気付きやすくなっていると思います。

分詞構文関連の慣用表現

 最後に、分詞構文が関わる慣用表現をいくつか紹介したいと思います。これらは、ここまで解説してきた分詞構文の文法上のルールから外れているように見えるポイントがあります。英語の慣用表現というのは、分詞構文に限らず、どうしても文法上のルールを逸脱して「慣用的にこう使うもの」も多いので、暗記ものと割り切るのも一つの手だと思います。何でもかんでも、「理解」をベースにしようと思うとつじつまが合わないところが出てきてしまうのが語学学習というものだと思います。

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 例えば、②を用いた例文Considering his age, he is a good store manager.「年齢の割には、彼は良い店長だ」の場合、Considering his age「彼の年齢を考慮する」の意味上の主語は、文法のルールに従えば、主節の主語であるheのはずですが、それだとおかしいです。実際には「この文の発話者」が意味上の主語です。

 他にも、⑧を用いた例文Judging from the look of the sky, it may rain this evening.「空模様から判断すると、今晩雨が降るかもしれない」も、Judging from the look of the skyの意味の上の主語は、文法ルールに従えば、itのはずですが、実際には「この文の発話者」が意味上の主語です。

 このように、慣用的に用いられる分詞構文というのは、意味の上の主語が主節の主語と一致しないケースがあるので注意が必要です。もちろん、⑤weather permittingのように独立分詞構文として、weatherが意味上の主語として置かれているものもあります。

 というわけで、今回は「少し注意が必要な分詞構文」について解説してきました。これで「分詞」の説明は終わりです。今回もだいぶボリュームが出てしまいましたが、その分一回一回を詳しく解説したつもりなので、理解があいまいな箇所などはもう一度読み直してみてください。では、また次の機会に!


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