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英文法解説 テーマ7 助動詞 第4回 助動詞の時制ってどう決まるの?

 こんにちは。今回のテーマは「助動詞の時制」です。助動詞を用いている文の時制はどのように判断するのか?そして、助動詞の過去形は実際には何を表すのか?そのあたりを詳しく解説していきたいと思います。

助動詞の時制の基本

 助動詞を用いると、その直後に動詞の原形が置かれるため、その動詞の原形自体からは時制の判断をすることができなくなります。そこで、助動詞によってその文の時制を判断することになりますが、基本的には、「現在時制」か「未来時制」になる場合がほとんどです。

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 それぞれの助動詞には、意味がいくつかありますが、どの意味かによって時制が異なります。例えば、canは「能力(できる)」の場合は「現在時制」になりますが、「許可(してもよい)」の場合は「未来時制」になります(例文(2)では「帰宅する」のは未来の一点、ただし「許可」を得ているのは「現在時制」)。他の助動詞もそうです。特に、助動詞willに関しては、「未来時制」の印象が強いかもしれませんが、「現在時制」を表すこともあるので注意が必要です(テーマ7 助動詞 第2回「意外と難しいwillの攻略法」を参照)。

 ここまでの話を一般化すると次のようになります。

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助動詞の過去形は何を表すのか?

 次に、助動詞を用いた文の「過去時制」について考えてみたいと思います。といっても、一部の助動詞には過去形があるので、そこから確認してみたいと思います。

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 これだけを見ると、助動詞の過去時制なんて簡単だと思われそうですが、実はこれら助動詞の過去形を用いただけでは基本的には「過去時制」を表せない場合が多いのです。実際、「未来時制を表すwill」を過去形にしたら一体いつの時制を表すのでしょうか?他にも、canを過去形にしてcouldにしても「できた」の意味にはなりません(couldn’tであれば「できなかった」となりますが)。そこで、次のように考えてみましょう。

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 ①・・・主節の動詞が過去形の場合、基本的には従属節の時制も過去形か過去完了形になります。しかし、もしその従属節中でwillやcanやmayが用いられていたら、それぞれwould, could, mightに変えます。これが時制の一致と呼ばれる現象です。

 ②・・・Can you~?やWill you~?は「してくれませんか?」という「丁寧な依頼」を表しますが、もしWould you ~?やCould you ~?になれば、「より丁寧な依頼」になります。特に和訳には反映しなくても良いのですが、もししたければ「恐れ入りますが、~してくださいますか?」くらいになるでしょう。

 ③・・・仮定法は「テーマ8「仮定法」」で詳しく扱う予定ですが、助動詞の過去形は仮定法で最も重要なポイントになります。これがあるからこそ仮定法だと判断できる重要なものです。

 ④・・・willは「未来時制」を表すだけでなく、例えば、will oftenにすることで「現在の習慣」を表すことができますテーマ7 助動詞 第2回「意外と難しいwillの攻略法」参照)。このwill oftenをwould oftenにすると、「過去の習慣(よく~したものだった)」になります。

 ⑤・・・canをcouldにしても「できた」の意味にはなりません(was/were able toにすればOK)が、couldn’tの場合は「できた」という意味になります(テーマ7 助動詞 第1回「まずは基本のcanとmustとmayから」を参照)。

 他にも、mayを「推量(かもしれない)」の意味で用いている場合、mightにすることで、その推量の度合いをアップすることができます。その場合、mayと差別化するために、「ひょっとしたら~かもしれない」という訳し方をすることもあります。

 このように、助動詞を過去形したからと言って必ずしも「過去時制」を表すわけではないのは覚えておいてください。他にも、過去形を持たない助動詞mustはhave toの過去形had toで「過去時制」を表すことができます。

助動詞+have Vp.p.の使い方

 次に、「助動詞+have Vp.p.」の使い方や意味について解説していきたいと思いますが、その前に、次の例文を見てください。

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 さて、「推量」を表す助動詞mustを用いた文ですが、「彼が金持ちである」という事実はそのままの意味として分かると思いますが、「に違いない」とは誰が推量しているのでしょうか?

 実は、この文の「話者」になります。つまり、この文は、「(話者である私が推量することには)彼は金持ちだ」という意味になりますよね?「推量」しているのは、この文を発している現在時制における話者なのです(I am sure that he is a rich person.と言い換えることができます)。

 そこで、もし、この推量している内容「彼が金持ちである」が過去のこと、つまり、「彼は金持ちだった」としたい場合はどうすればよいでしょう(つまり、「彼は金持ちだったに違いない」という意味にしたい場合です)?この場合は、must自体を過去形にするのではなく、be a rich personを過去時制にする必要があります。日本語であれば、「彼は金持ちだったに違いない」で良いのですが、英語の場合、助動詞の後ろには動詞の原形を置かなければいけないので、was a rich personとするわけにはいきません。そこで、登場するのが、“have Vp.p.”です

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 助動詞の後ろに続く、have Vp.p.は、いわゆる「完了形」ですが、現在完了や過去完了とは直接関係あるものではなく、ただ単に「過去時制」を表すために用いられています。準動詞の場合と同様に、「時制のズレ」を意識できると良いでしょう。

 このmust have Vp.p.の他にも、「助動詞+have Vp.p.」には次のようなパターンがあります。

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 いくつかを例文で確認しましょう。

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 イディオムとして、丸暗記するのではなく、「助動詞+動詞の原形」における「動詞の原形」の個所のみを過去時制にするという理解をもとにして例文を確認してください。そして、助動詞の意味の部分に「話者」の存在を感じ取ってみてください。それがポイントです。

 というわけで、今回は「助動詞の時制」について解説していきました。「助動詞の過去形」と「助動詞+have Vp.p.」の違いをしっかり理解できれば、英文読解の精度もグッと上がると思いますし、次のテーマの「仮定法」の理解も深まるはずです。

 次回は、助動詞の最終回として、ここまで紹介したもの以外の助動詞について説明していきたいと思います。ご期待ください。

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