英文法解説 テーマ7 助動詞 第1回 まずは基本のcanとmustとmayから
こんにちは。英文法解説シリーズもテーマ7を迎えました。今回からは「助動詞」に入ります。助動詞というのは、「動詞を助ける」という名の付いた品詞ですが、どういう意味で「助ける」のかを考えながら解説をしていきたいと思います。といっても、いきなり色々な助動詞を紹介していっても煩雑になるだけなので、今回は、can, must, mayについてのみ解説していきます。
助動詞の基本(語順)
まずは、助動詞の基本的な使い方から確認しましょう。助動詞は動詞に意味を加えるという意味で「動詞を助ける」ので、必ず「動詞の原形」とセットで用いられます。
助動詞の直後には動詞の原形が置かれます。否定文の場合は、「助動詞+not+動詞の原形」という語順になります。また、疑問文の場合は、助動詞だけが主語の前に移動し、「助動詞+主語+動詞の原形」という語順になります。
助動詞canについて
助動詞canというと、「できる」というイメージが強いと思いますが、それ以外の意味もあるので最低でも3種類の意味はカバーしましょう。
この表自体だけではピンとこない部分もあるかもしれないので、実際の英文でどのように用いられるのかを確認していきましょう。それと、少し難しいかもしれませんが、表面的な訳し方ではなく「能力」「可能性」「許可」という概念で覚えるのがポイントです。そうすることで、少しレベルの高い英文和訳でも柔軟な対応ができるようになります。
can=be able toという書き換えパターンをよく見かけると思いますが、これはあくまで「できる」の意味の場合のみです。他の「可能性」や「許可」の場合にはbe able toを使うことはできません。ableの名詞形はability「能力」という意味なので、be able toは「できる」の訳し方に限られます。ただし、be able toを過去時制で用いる場合は、能力としての「できる」ではないので注意が必要です。
was able toというのは、身につけた技能によって「できた」というよりも、その場限りだけのことに関して「できた」という意味になります。「昼前に到着できた」というのは「能力」ではありません。他にも、I wasn’t able to decide which shoes to buy.「私はどちらの靴を買うべきか決められなかった」などのwasn’t able toも同様です。
ちなみに、少しレベルが上がりますが、(8)の例文をcouldを使って書いてみると、全く違う意味になります。
これは、テーマ8で解説する「仮定法過去」の英文になります。特に過去形の場合は、couldとwas/were able toは基本的に異なるものなので、要注意です。
助動詞mustについて
次は、助動詞mustです。「しなければいけない」というイメージが強いですが、もう一つの意味もしっかり覚えることと、否定文での意味や言い換え表現などもカバーするのがポイントです。
mustを否定文にすると、must notになりますが、その場合、「してはいけない」という「禁止」の意味になります。また、mustの言い換え表現としてhave toがありますが、このhave toを否定文にして、don’t have toとすると、「する必要がない」という「不必要」の意味になることにも気を付けてください。
厳密なことを言うと、mustは「話し手の意思や命令」によって「しなければいけない」というニュアンスがあるのに対して、have toは「客観的な理由」で「しなければいけない」というニュアンスがあります。また、have toの方が、特に英国では日常会話的には用いられる頻度が高いそうです。
ところで、上mustとhave toの表で、「推量」の否定文の意味が存在しないことに気づいたでしょうか。実は、「推量」の否定文は、原理上は「のはずがない」という意味になりそうですが、この意味にする場合は、cannotを使うのが通例(またはshould notを用いる)なので、must notやdon’t have toで「のはずがない」になることはありません。must notは基本的に「してはいけない」で、don’t have toは常に「する必要がない」になります。
助動詞mayについて
最後は、助動詞mayです。「かもしれない」というイメージが強いかもしれませんが、他にも「してもよい」という「許可」の意味があります。また、「祈願文」という文を作ることもできますが、その際は語順に特徴があるので、注意が必要です。まずは、それぞれの意味をまとめましょう。
「許可」の意味の場合は、canと基本的には同じ意味になります。祈願文というのは、May+S+V~!というように、疑問文の語順になるのですが、疑問文と違って最後に「!」がつきます。例文で確認しましょう。
ちなみに、mayの過去形のmightは、「推量」のmayの意味を強め「ひょっとしたら~かもしれない」という意味になり、決して「かもしれなかった」という過去時制になるわけではないので注意してください。詳しくは、「テーマ7 助動詞「第4回 助動詞の時制ってどう決まるの?」」で解説します。そして、祈願文のmayの例文は、『スター・ウォーズ』でおなじみのフレーズですね。まさにあれが祈願文です。
というわけで、今回は例文をふんだんに用いて助動詞can, must, mayについて解説していきました。基本中の基本の助動詞だからこそ、盲点があると思うのでしっかり使い方や意味を例文で確認してください。次回は、意味が多岐にわたり意外と難しいwillについて解説していきます。ご期待ください。
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