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英文法解説 テーマ5 動名詞 第4回 動名詞の時制と態について

 こんにちは。今回は、動名詞の時制と態について解説していきたいと思います。基本的な考え方は、不定詞の時制の話と同じなのでそちらの解説も併せてご覧ください(テーマ4 不定詞 第4回目「不定詞の意味上の主語と時制」)。

動名詞の時制の基本

 不定詞と同じように、動名詞の時制もV(述語)の時制によって決まります。まずは、次の例を見比べてください。

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 さて、それぞれの例文での動名詞の時制はいつでしょうか?(1)では、waiting a long timeの時制は、V(述語)のdislikeと同じで「現在時制」です。(2)は、V(述語)のis sureが現在時制なのに対して、passing the examは「未来時制」です。(3)は、V(述語)のrememberが現在時制なのに対して、quarrelling with my friendは「過去時制」です(「テーマ5 動名詞 第2回不定詞と動名詞ってどう使い分けるんだっけ?」を参照してください)。

 このように、V(述語)の動詞によって、動名詞は「過去」「現在」「未来」のどの時制にも属すことができます。rememberなどは、remember to Vとremember Vingを使い分けることで、前者が「未実行(=未来)」で、後者が「実行済み(=過去)」と解釈できますが、一般的にはV(述語)の動詞の意味の特性(dislikeやbe sure ofなど)によるものと考えてよいでしょう。

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 不定詞の場合は、V(述語)の動詞と「同じ」か「未来」かのどちらか(「テーマ4「不定詞」 第4回 不定詞の意味上の主語と時制について」を参照)なのですが、動名詞の場合は「過去」か「同じ」か「未来」かの3パターンあるので、柔軟に対応してください。

完了動名詞について

 ここまでは、「普通の動名詞(Ving形)の時制に関する規則性」の話でしたが、不定詞の場合と同じように、動名詞にも「完了形」というものがあります。動名詞(Ving形)を完了形(have Vp.p.)に変える、と考えると「えっ?」と戸惑いそうですが、完了形(have Vp.p.)を動名詞(Ving形)に変える、と考えれば、割とすんなりと語形は分かると思います。

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 完了不定詞の場合と同じで、いわゆる「現在完了形」とか「過去完了形」の話とは直接的には関係ありません。語形にhave+Vp.p.が用いられているので、「完了」と呼んでいるだけです。この完了動名詞だけでは時制を判断することはできません。V(述語)の時制よりも「ひとつ分だけ過去の時制」と考えます。「大過去→過去→現在→未来」という時制の流れを思い出しておいてください。

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 例文で確認してみましょう。

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 (1)では、V(述語)の動詞isが現在形なので、having met the actressはそのひとつ前の時制「過去」になります。また、(2)では、V(述語)の動詞deniedは過去形なので、telling a lie to meはそのひとつ前の時制「大過去」になります。完了不定詞同様に、同じhaving Vp.p.でも、V(述語)次第で、時制が変わってしまうことに注意してください。

 ただし、remember, forget, tryのように、不定詞と動名詞を使い分けることで、未来・過去を示す動詞の後ろでは、わざわざhaving Vp.p.にしなくても、普通にVing形でひとつ前の時制を表すことができます。*having Vp.p.にしても文法上は問題ありませんが。

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 動名詞の場合は、元々の性質上、Ving形そのものが「過去の事実」を表すことが多いので、わざわざ完了動名詞にする必要はないと考えることもできます。

動名詞の受動形

 動名詞は、名詞のはたらきがあることから、基本的には「すること(能動)」と訳す語形ですが、そもそも動詞を変形したものということを考えれば、「されること」という受動形に変形することもあります。それが、動名詞の受動形です。

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 使い方に関しては、能動態の動名詞と同じです。SやOやCとして、また前置詞の目的語として用いられます。時制に関しても、先ほど説明した完了動名詞の語形になることもあります。その場合は、having been Vp.p.になります。例文で確認してみましょう。

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 どちらも「されること」「されたこと」になっていますね。これが動名詞の受動形です。完了動名詞の受動態having been Vp.p.というのは語形がやや複雑なので、慣れないと戸惑いそうですが、「have Vp.p.+ be Vp.p.」という意識でしっかり把握してください。

 というわけで、動名詞の時制と受動態は以上になります。次回はいよいよ動名詞の最終回、「動名詞を含んだイディオム」になります。数が多いのですが、できるだけ分かりやすく解説していきたいと思います。では。

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