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英文法解説 テーマ5 動名詞 第2回 不定詞と動名詞ってどう使い分けるんだっけ?

 こんにちは。今回のテーマは「不定詞と動名詞の使い分け」です。前回、解説したの「動名詞と現在分詞の使い分け」では、文中での使われる位置と名詞修飾の仕方に違いがありましたが、今回の「不定詞と動名詞の使い分け」に関しては、置かれている位置よりも、「どういう語の後ろに置くのか」がポイントになります。

 まずは、いつものように「準動詞のはたらき」の表から確認です。

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 この表から、不定詞と動名詞は、「名詞の機能」と「形容詞の機能」が同じだと分かりますね。ただし、形容詞用法の動名詞が名詞を修飾する場合は「前から修飾する(=前置修飾)」のに対して、不定詞が名詞修飾する場合は「後ろから修飾をする(=後置修飾)」ので、明らかに語順が異なります。というわけで、「名詞+to V(不定詞)」と「Ving(動名詞)+名詞」はすぐに違いが分かるでしょう。

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名詞用法としての不定詞と動名詞

 不定詞と動名詞の名詞用法の場合が、両者の識別に関してはもっとも重要です。とりあえず、名詞のはたらき」をもう一度確認しましょう。

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 S(主語)としてはたらく場合とC(補語)としてはたらく場合は、不定詞と動名詞は文法上さほど違いはないと考えてもいいです(もちろん、細かいニュアンスや専門的には違いはありますが)。というわけで、以下のケースでは不定詞も動名詞もどちらでもOKととりあえず考えて良いでしょう。

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 例えば、「読書をすることはとても楽しい」を英語にすると、To read books is a lot of fun.でもReading books is a lot of fun.でもいいのです。ただし、形式主語構文にする際は、不定詞を用いる方が一般的でしょう(It is a lot of fun to read books.)。また同様に、「私の趣味は音楽を聴くことだ」を英語にすると、My hobby is to listen to music.でもMy hobby is listening to music.でもいいのです。

目的語としての不定詞と動名詞

 問題となるのは、O(目的語)として不定詞と動名詞を使い分ける場合です。ポイントは、「どんな他動詞が不定詞or動名詞を目的語に取っているのか」をよく観察することです。

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 このように、V(述語)の位置にある他動詞の語法によって、O(目的語)の不定詞と動名詞を使い分けます。例えば、こんな感じです。

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 (1)はV(述語)がpromiseだから、目的語は動名詞ではなく不定詞と考え、(2)はV(述語)がavoidだから、目的語は不定詞ではなく動名詞と考えます。

 このように、目的語として不定詞を取るか動名詞を取るかは、V(述語)の他動詞の語法によって決まっているのですが、なかには「不定詞でも動名詞でもどちらも取れる」他動詞もあります。

不定詞も動名詞も目的語として取れるパターン

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 上記の他動詞は、文法的に不定詞も動名詞を目的語に取ることができるうえに、意味的にもさほど大きな差はありません(慣用的にどちらかの方が好まれるということはありますが)。しかし、次に挙げる他動詞は、文法的には不定詞でも動名詞でもどちらも取れますが、どちらを取るかで全体の文の意味が変わってしまうので、注意が必要です。

不定詞も動名詞も目的語として取れるパターン(意味上の識別あり)

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 これらは、よく「未来志向なら不定詞」、「過去志向なら動名詞」と説明されることが多い使い分けなのですが、tryに関しては、そういった「未来」か「過去」かによって区別するのが難しいですよね。try to V「しようとする」が「未来志向」で、try Ving「してみる」が過去志向と言われてもイマイチしっくりこないと思います。なので、個人的には、こういう「未来・過去」で区別するよりも、「未実行・実行済」で区別する方が分かりやすいと思います。

try to Vとtry Vingについて

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 実は、このような切り口での不定詞と動名詞の使い分けは、rememberやforgetでも有効なのです。例えば、I forgot {to lock / locking} the door last night.「私は昨晩、ドアのかぎをかけ忘れた」という例題で、不定詞か動名詞を選んでもらうと、forgotやlast nightといった過去時制表現に引きずられて、lockingを選ぶ人が多いのですが、「カギをかける」ことが「未実行」だと分かれば、to lockが正解になります。もし、lockingだと、「カギをかけた(実行済み)」ということになり、「私は昨晩、カギをかけたことを忘れた」という訳になります。

ここまでのまとめ

 いかがでしょうか?他動詞の後ろに不定詞と動名詞のどちらを置くのかに関して、整理されたでしょうか?簡単にまとめると、次のようになります。

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特に、受験生の方々は、この辺りは入試問題の定番なのでしっかりと区別して下さい。あ、TOEICなどでも定番なので、TOEIC受験者の方々も要注意です。

前置詞+動名詞

 最後に、前置詞の後ろの位置の話をして終わりにします。前置詞の後ろにも「名詞」が続くことから、名詞のはたらきをする準動詞が用いられることがありますが、これに関しては、不定詞が用いられることはなく、動名詞のみが用いられます

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 以上で、不定詞と動名詞の使い分けは終わりです。長かったですね!不定詞と動名詞は、準動詞の使い分けの中でも特に重要な項目なので、かなり力を入れて詳しく書いてみました(try writingということです)。テーマ4「不定詞」の解説にも目を通して、さらに理解を深めてください。次回は、「動名詞の意味上の主語」について解説します。


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