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英文法解説 テーマ4 不定詞 第4回 不定詞の意味上の主語と時制について

 どうも、こんにちは!前回までで、長かった「不定詞の基本3用法」の説明も終わりました。今回は「不定詞の意味上の主語」と「不定詞の時制」についての解説をしてきたいと思います。

 不定詞は、準動詞のひとつですが、そもそも準動詞というコンセプト自体が「V(述語)以外に用いるために名詞・形容詞・副詞のはたらきをするよう変形した動詞の語形」だったのを覚えているでしょうか?そのなかでも不定詞というのは、名・形・副の全てのはたらきを持つことができるので、それぞれの用法をここまで3回分話してきました。

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不定詞の意味の上の主語と時制の概要

 不定詞というのは、名・形・副のはたらきを持つとは言っても、元々は「動詞」なので、「動詞」らしい側面も持っているはずです。例えば、to play the pianoという不定詞だって、完全に名詞や形容詞や副詞としてはたらいているのではなく、「動詞」らしく「play+the piano」というようにVO関係を持っていますし、文中で用いられれば、「誰が」「いつ」「ピアノを弾くのか」という意味関係も生まれます。この「誰が」にあたるのが「不定詞の意味上の主語」と言い、「いつ」にあたるのが「不定詞の時制」になります。

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 上記の「ピアノを弾くのはとても楽しい」という例では、to play the pianoの「意味上の主語」はこの文の「発話者」または「一般の人(すなわち一般的に言って、ということ)」になります。日本語と同じ感覚で分かると思います。また、時制に関しては、一般論を述べているので「現在時制」です(テーマ2 第1回「現在形と過去形について」を参照してください)。このように、不定詞が用いられている英文では、「誰が」「いつ」という、不定詞の持つ動詞的特性を割り出すことができます。

意味上の主語

 そして、この不定詞の意味上の主語というのは、次のような規則性に従って考えると割とスムーズに整理整頓されます。といっても、①~③はそれほど意識しなくても感覚的に分かると思います。ここで重要なのは④と⑤のケースです。

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 ④では、to solve this problemの意味上の主語が「for you」というように「for+名詞(代名詞の場合は目的格にする)」で表されています。前置詞forというと「~のために」という意味をすぐに連想してしまう人もいますが、to不定詞の意味上の主語なので「~が」や「~にとって」と訳すと良いでしょう。一方、⑤ですが、意味上の主語が「of you」で表されています。④と似た構造の英文ですが、ポイントはその直前にある形容詞の性質にあります。⑤のkindもそうですが、「人の性質・性格」を表す形容詞になっています。

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 どの形容詞も、意味上の主語にあたる名詞を主語にして、例えば、you are kindのようにSVCという英文を作り上げられるのが特徴になります。④と⑤のパターンを見分けられるかがカギです。

不定詞の時制(単純不定詞)

 次に、「不定詞の時制」について解説します。まず、次の例を見てください。

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 ここで問題です。(1)のto read a novelの時制はいつでしょう?不定詞は「to+動詞の原形」なので、それ自体だけでは時制は分かりません。そこで、この文のV(述語)にあたるlikesを見ます。likesは現在形なので、同様にto read a novelも「現在時制」だと考えることができます。

 一方で、(2)のto succeedの時制はいつになるでしょうか?この場合も、V(述語)のexpectが現在形なので、同じく現在時制と考えたくなりますが、expectは「期待する」という意味の動詞なので、必然的にその「期待されること」は「未来時制」になります。したがって、to succeedは「未来時制」です。ここまでをまとめると、次のようになります。

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 普段、何気なく見ている不定詞かもしれませんが、時制という点に注目するとこのような規則性が隠れていたことが分かると思います。

不定詞の時制(完了不定詞)

 ただし、不定詞というのはto Vという語形だけではないのです。なんと「完了形」というものまであるのです! to have Vp.p.という語形で表されます。

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 といっても、いわゆる「現在完了形」とか「過去完了形」とは直接的には関係ありません。語形にhave+Vp.p.が用いられているので、完了形と呼んでいるだけです。

 この完了不定詞ですが、どういう特徴があるかというと、V(述語)の時制よりも「ひとつ分だけ過去の時制」になります。「大過去→過去→現在→未来」という時制の流れを思い出しておいてください。

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 次の例文でこれらの規則性を確認しましょう。

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 (3)では、V(述語)のseemsは現在時制ですが、to have been a police officerは過去時制になります。また、(4)では、V(述語)のseemedは過去時制ですが、to have been a police officerは大過去になります。同じto have Vp.p.でも、V(述語)次第で時制が変わってしまうことに注意してください。

 もう少し応用レベルになると、V(述語)にexpectのような「未来志向」の動詞が用いられていて、その場合のto have Vp.p.の時制の判断など、複雑なものもありますが、とりあえずはto Vとto have Vp.p.の時制に関する基本的な規則性さえ理解できていれば十分だと思います。

 というわけで、今回は「不定詞の意味上の主語」と「不定詞の時制」について解説してきました。普段、不定詞を見てもそれほど意識しないような考え方をする文法事項なので、慣れないと混乱しそうですが、かなりクリアな規則性があるところなので、一度理解してしまえば定着しやすいとも言えます。

 さて、次回は、不定詞の最終回になります。「不定詞を含むイディオム」についてです。暗記事項が多そうな範囲ですが、できるだけ理解をベースに頭に定着させていきたいですね。ご期待ください。


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