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英文法解説 テーマ2 時制 第1回 現在形と過去形について

 こんにちは。今回から、テーマ2「時制」の解説を始めていきたいと思います。いきなり、「○○完了形」だとか「○○完了進行形」だとかを説明してもピンとこないと思うので、まずは、基本の基本である「現在形」と「過去形」についての解説から始めます。「いやいや、さすがにそれは簡単すぎるでしょwww」「だって、現在形って「今」の話で、過去形って「過去」の話でしょ?」と思う人もいるかもしれませんが、その認識では甘いです!今回は、一見シンプルに思える「現在形」と「過去形」を深く掘り下げます。

時間の流れと英文法の時制のイメージ

 まず、「時制」と何かから考えてみましょう。これは、簡単に言うと、「過去の世界」「現在」「未来の世界」のように、いつの時間・時代かということです。もちろん、時間というのはあっという間に流れていくので、目の前の「現在」はすぐに「過去の世界」に取り込まれ、目の前には「未来の世界」が広がるだけです。そういう意味では、「現在」というのは、まさに今の一瞬のことで「現在とは点である」と言えるかもしれません。イメージ図を描くとこんな感じです。

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 そして、専門的な定義は横に置いておいて、とりあえず、その時間の世界のことを「○○時制」と言います。例えば、「過去の世界」のことを「過去時制」と言ったり、「未来の世界」のことを「未来時制」と言ったりします。一方で、時制を示す動詞の形のことを「○○形」と言います。例えば、過去時制を表すのは「過去形」といった具合です。これからの話でとても大切なので、「○○時制」というのと「○○形」はしっかり区別してください。

現在時制とは?

 さて、ここで「現在時制」について考えてみましょう。さきほど、「現在というのは瞬間的に過ぎ去る点で、あっという間に過去の世界に取り込まれる」と説明しましたが、だとすると、例えば、現在形の動詞で表される、He is a student.「彼は学生だ」のような英文に違和感を覚えるかもしれません。「『今現在、瞬間的に学生だ』ってどんな状態なんだろう?」とか。あと、He eats a lot.「彼は大食いだ」とかも、目の前の一瞬のことではないですよね?

 ここで注意してもらいたいのは、確かに「現在時制」というのは文字通り「現在のこと」なのですが、そもそも「現在のこと」というのには「目の前の点としての現在」と「一般性な事実」の2通りあるのです。

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 ①は、right nowという意味での現在で「まさに目の前の今」のことです。一方で、②は過去のことも未来のことも含んでいるような「一般的な事実」のことです。まず、現在時制にはこのように2種類あるんだということを知っておいてください。

 ①のような「現時点のこと」に関しては、動作・状態という概念が絡んでくるうえに、現在進行形の話にも及んでくるので、ここでは割愛します(現在進行形は、テーマ2時制 第3回「進行形」でまとめます)。今回は、②のような「一般的な事実」を表す現在形について絞って解説します。この「一般的な事実」という意味での現在時制というのは、さらに具体的に説明すると次のようになります。

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 例えば、I think that he is kind.「彼は親切だと私は思う」のthinkは私の心の状態、isは彼の一般的な状態・様子のことで、The sun rises in the east.「太陽は東から昇る」のrisesは不変の真理で、My father takes a walk every morning.「私の父は毎朝、散歩をする」のtakesは現在の習慣的な行動のことです。和訳が分かるといって満足するのではなく、当たり前に思えることを文法的に考えることが大切です。

 ちなみに、もしここで、My father is taking a walk right now.というように現在進行形にしたら、「私の父はちょうど今散歩をしている」となります。これは、take a walk「散歩する」が動作を表すので、この場合はまさに今の動作の最中になるのです。まあ、この辺りは、第3回目で話します。

過去時制とは?

 次に、「過去形」について説明していきましょう。「過去時制(=過去の世界)」を表すのが「過去形」なのは間違いなのですが、実は、「過去時制」も、2種類に場合分けしないといけないのです。面倒くさいですね!とりあえず、次の2つの例文を見てください。

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 どちらも過去時制なのですが、微妙に違うんです。(1)の「子供のころ」というのは、「過去の期間」といってそれなりの「時間の幅」があります。一方で、(2)の「今朝7時に」というのは、「過去の一点」といって「瞬間的な時」です。ここを区別していないと、「過去進行形」や「現在完了形」が出てきたときに必ずと言っていいほど混乱する人が続出するので、気を付けてください。

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この違いを確認するために、次の英文について考えてみましょう。

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 この解説講義シリーズではまだ触れてはいないのですが、「過去から現在までの経験」を表す形式として「現在完了形(have/has+Vp.p.)」という動詞の形があります。聞いたことがある人も多いと思います。「~回」という「経験」を表す語句と相性が良いのですが、上記の例文では、「行ったことがある」という意味なのに、現在完了形を使うことはできません。

 どうしてかというと、「子供のころ」というのは「過去の期間」のことで、現在という瞬間には一切触れていない、「限られた過去での時間の幅」なんです。だから、たとえ「5回」とあっても、「海外旅行に行ったことがある」というのは、過去時制の中なので過去形で表される、というわけです。「過去の期間」という限定された幅の中での5回の経験は、現在とは無関係なので過去時制ということになります。ちょっと難しい考え方ですが、かなり重要なポイントです。

 このように、過去時制も「点」と「幅」の2種類を考えることで、理解がぐっと深まると思います。実際に、この2つを区別していないことで、同じ過去形でもうまく訳し分けられなかったり、完了形と混同してしまったりするケースはよく見られます。しっかりと識別していきましょう!

 というわけで、現在時制と過去時制に関してはここまでです。

まとめ

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次回は「未来時制」について解説していきたいと思います。ご期待ください!

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