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私の役割

【長女の叫び】

「私の事、そんなに賢いと思わんといてー!!」

その一言でハッとした。

"よく出来る"長女。

小さい頃はかなり大変な育児だった。
何が大変だったかというと「自己主張」だ。

あれが欲しい、これが欲しい
こうしたい。あれはイヤ!

自分がやりたいこと、やりたくないことをハッキリ言う。
それが長女だった。

スーパーで嫌いなはずのアンパンの袋を未購入にもかかわらずくいちぎり、

「アンパン買ってぇー!!!」

と寝転んでバタバタと泣き叫ぶ。
そんな長女を見て

これは現実じゃない。夢だ!夢だ!
そう言い聞かせた…けどそれは現実だった…。

他にも書けないこと色々あって、いやありすぎてかなり悩んだ。

長女の自己主張が強すぎて、かなり大変で、
どうしようもなくて、夜に山へ車を走らせて
わー!!!と泣き叫んだ夜もあった。

そんな長女がいつしか、

"スーパー良い子"

に変身していた。

自己主張はリーダーシップへと進化し、頼り甲斐がある長女へと変わっていった。

何があっても落ち着いて行動し
黙々と物事を進めていく長女。
準備は完璧。
ミスなくもれなく確実な長女。

忘れ物なんか、しもしない。
宿題も勉強も完璧。

誰かに何か言われることなく黙々と努力し、それなりに勉強が出来、
超個性的な長男、次男と比べるとそれはそれは
手もお金もかからない。

家では傍若無人で言葉遣いと態度は悪いが、外での評判はすこぶるいい。

懇談会では褒められるばかり。

言うことないです。
頑張ってます。
"長女"がいるからクラスは安心です。
数少ない努力している生徒です。
真面目に取り組んでます。
しっかりしてます。
頼もしいです。
みんなをまとめてくれます。
安心感あります。
みんなを笑わせてくれます。
明るく元気です。

書くとキリがないほど褒められ続けた。
幼き頃に悩みに悩んだ時期。
悩んだ甲斐があったと思った。

いつも自信満々。

そんな長女が珍しく私の前でハラハラと涙を流し、泣いた。

高校3年生。
受験生。
かなり頑張っている勉強。

でも思うようにいかない事があった。
もしかしたら初めての挫折かもしれない。

【私の思い込み】

私はちゃんとわかっていなかった。

長女なら大丈夫。
私なんかがアドバイスするより自分で決める。
だから放っておく方がいい。
そう思っていた。

言いたい事を論理的にストレートに言う長男と
思う事を感情いっぱいに表現するトランスジェンダーの次男。

そして家では口数少なく自己表現せず、
落ち着いて行動し、何かあればリーダーシップをとるしっかりものの長女。

上下2人は日々弾丸トーク。
タイプは違うがよくしゃべる。

それに対して長女はクール。
勝手に長女は無口だと思っていた。
かなりしっかりしてるから放っておけばいいと思った。

思えば長女とはあまり話しをする時間がとれていなかった。
あんまり話しをしないと思い込んでいたんだと思う。

そんな長女が

「よそのお母さんは○○を言わずにもやってくれてる!」

と泣いて訴えた。

そうなんだ!
言われるまで気づきもしなかった。

本当はもっといっぱい喋りたかったかもしれない。
もっとかまって欲しかったかもしれない。
いっぱい色々一緒にしたかったかもしれない。

思えば真ん中で我慢させてしまったかもしれない。

後悔にも似ているが何とも言葉では表現しづらい感情に駆られた。

【兄妹のつながり】

受験生の長女。

元々怒りの感情は日々爆発させる、家では感情的な長女。でも口数は少なく

別に
普通
そんな感じ

しゃべるのは基本、その程度。

先日のテストの出来が悪かったと思う事で落ち込んだり、受験の課題の為、自分を見つめ直さなきゃいけなかったりで日々イライラしている。

そんな長女から受験について私はある事を相談された。

相談されたが私では相談された事に対して知識不足で対処出来ないなと思った。
だから内容に私より知識があると思われる長男にお願いしたらどうかと長女に提案したが

長女は

"長男に相談するのは嫌だ"
"長男に相談してもなにも解決しない"

といった。

でも情報を私以上に持っており、論理的に状況を分析することが得意な長男なら長女の混乱した頭を整理してくれるに違いないと私は思った。

私の説得も効いたのか

「じゃーきいてみる」

と言い、遠くに住む長男と電話で話をする事になった。
長男は自分の体験談を交えながら面白おかしく長女の話を整理してくれた。

長男と電話で話して30分。
不機嫌そうだった長女の顔に笑顔が出てきた。

頭の霧が晴れたようだ。
長男の話は長女にとって有益だったようだ。

違う日。

今度は受験のために、うまく情報を繋げて整理する必要があった。

長女は何とかしてほしいとまた私に泣いた。

「これが出来ないと明日はない。」
「今日中に整理したい。」

普段は泣くような人じゃない。
よっぽど追い詰められた感があったんだろう。

内容を見た。この内容は次男が得意とする所。

次男に相談してみたら?と提案してみた。

しかし"ヤツだけには聞きたくない!"と弟に相談するのを拒む長女。

本を読むと数日かかる、動画見ても数時間かかる。
これを得意とする次男なら十数分でまとめてくれるはずだから、一回話を聞いてみたら?と提案した。

しかし長女は頑なに拒んだ。

話を聞くと長女は次男と比べられ、次男の方ができると褒められているように感じていたようだ。

私は話をした。

みんなそれぞれ違う。
誰が一番優れているとかじゃなくてみんなそれぞれ得意不得意がある。
みんなすごいんだ!そして得意な所もあれば苦手な所もある。
だから皆で協力し合えばそれぞれの不得意を補えるんじゃないかなと言った。

ほどなくして

「(次男に)話を聞いてみる」

と言った。

様子を影で聞いてもいた次男はいつでも出動?出来るようにスタンバイしていた。

4枚のカードに書かれた言葉を見て、この関係性について説明して話をまとめて欲しいと私が次男に伝えると15分程度でまとめて話してくれた。

"次男からの話は聞きたくない。"
"聞いても無駄"

と言っていた長女が、聞き終わった後

"わかった。寝る"

と言ってそこからバタンと寝た。
夜中に説明してくれたがお礼も言わずバタンと寝た長女。

相変わらずの傍若無人ぶり。

外ではスーパー良い子だが、家では結構な怪獣だ。

夜中の2時だった…。

【私の役割】

次男には私からお礼を言った。

結局私はなにもしていない。
ただ兄弟に話を振っただけ。

親なんて役に立たない。
うちは皆しっかりしているし私の役割は終わった。
そう思っていた。

でも兄妹を繋げる役割にはなったんじゃないだろうか。
今回の事で、泣き顔を見せられたのは私だからじゃないかなと思った。

お父さんにも見せられない。
兄弟にも見せたくない。

そんな素の自分を見せてくれたのは私だからじゃないかなと勝手に思ってる。

私は基本役立たず。

でも私が"素の自分を見せられる存在"で有れば私がいる意味もあるかもしれない。

私だけでは何にも出来ないけど、みんなの力を引き出して共に助けあえる環境を作れるのなら私がいる意味あるかもしれない。

そう感じたわたし。

色々あり、自分なんていなくてもいいやと思っていた私。

でもコロナ禍で子供達と話をする時間が増えた。
増えた事で色んな話が聞けた。
聞けた事で一つ、自分の家での役割が見えてきた。

私、何にも出来ないけど、いるだけでいいかも。

ただいるだけ。
それが私の役割。

そういえば家族のみんなは言ってくれていた。

いてくれるだけでいいんだよって。
ちゃんと聞こえてなかったなぁ。
やっと聞こえて来たんだなぁ。

そんな事に改めて気づかせてくれた長女とのやりとりに感謝する。

みんないつもありがとう。







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