見出し画像

「放送中」はスタッフも緊張?! ニュース×デザインの舞台裏③

「報道カメラ」セットリニューアル コンセプト&苦労話

報道フロア全体のリニューアルに伴い、毎⽇放送に出る「報道カメラ」(スタッフの間では「報カメ」と呼ばれています)のセットも新しくすることになりました。

画像1

※通常はWEBやSNSのデータ、各局のオンエアがモニターに・・・


この報道カメラのセットというのは、通常の番組のようにスタジオに建てるものではなく、⽇々報道局の⼈々が働くエリア内に存在しているという点が⼤きな特徴です。つまり報道カメラでニュースを読むキャスターの背景は全てセットであると考えられ、しかしそれはそもそもオフィスインテリアです。視聴者の⽅々にとっては画⾯に映る背景全体がセット、働く⽅々にとってはインテリア、それら両⽅の機能を整理し魅⼒的になる⽅法を探りました。

元々フロア内には天井から数多くのモニターが吊るされており、各局全ての放送がリアルタイムで同時に⾒ることができます。今回のリニューアルではこれを⽣かし、報道カメラの放送時間以外は今まで同様各局のリアルタイムの放送を並べて映しているのですが、報道カメラの放送時は、ワンタッチでそれらのモニター(合計 16 台)全てを連動させた CG アニメーションが映し出せるシステムを構築しました。

画像2

※速報「ブレーキング・ニュース」の時は背景色が「赤」


また、キャスターと働く⽅のスペースとを⼤きなアクリル板で仕切っております。これは働いている⼈の声やその他の雑⾳が放送に影響しないよう遮る必要があるためです。働いている現在の状況が⾒えることでリアリティを感じてもらいながらも⾳は遮断する、そのためのアクリル板なのですが、それをそのままカメラに映しても透明なので存在が視認できません。いや、別にできなくても良いのですが、せっかくならこのアクリル板を⽣かしてよりよい効果が出せないか、頭を悩ませました。思いついたのは、先ほどのモニターに出る CG アニメーションと連動してアクリル板の⾊も変えるようなことができないか?という案でした。

思いついたもののどうすれば実現できるか、⾮常に困りました。⾊を変
えるということは電飾や照明を使うことになるのですが、せっかくの透明なアクリルに電飾のケーブルが⾒えてしまっては美しくありません。最終的にたどり着いたのが、透明なアクリルに傷(ドット)をつけて、その傷に対して間接的に LED 照明をあてることでその傷が発光しているかのように⾒える、という仕組みでした。そしてそれらの⾊が際⽴つよう、ワークスペースの壁⾯は全てブラックガラスで仕上げました。

画像3

「TBS NEWS」インスタグラムより(tbsnews_insta)小川キャスターが座っているところは通常は「フロアD」が座る席です。

これらにより放送時にパッと⾒て「 TBS NEWS」 と感じてもらえるような画⾯の⾊構成、速報時にはその緊急性を画⾯全体で感じてもらえるような画づくりができるようになったかと思います。モニターの CG アニメーションやアクリルの電飾を更新すれば新たな表現も可能になりますので、その辺りの柔軟性も今後活かしていきたいと考えております。

(ビジュアルデザインセンター デザイン部 太⽥卓志)