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台風19号【茨城】大子町は役場浸水で防災FMも停止 (10月22日 Nスタ)

台風19号による浸水被害で1人が死亡した茨城県・大子町では町が防災情報の発信を委託していたコミュニティラジオ局が浸水し放送を停止していたことが分かりました。

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これは大子町の町役場の防犯カメラの映像です。10月12日の午後9時半、画面左側の駐車場の冠水が徐々に始まります。

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1時間後には・・・

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あたり一面が水没してしまいました。

実は、役場の敷地内には防災情報の発信を担うラジオ局「FMだいご」がありました。

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防災無線がなかった町が、東日本大震災をきっかけに6年前に開設したラジオ局に、緊急時の避難指示などの放送を委託していたのです。

12日、放送局長の笠井英雄さんは、ぎりぎりまで放送を続けるため機材を高い位置に移す作業を始めました。

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しかし、午後10時半にはまだ見えていたラジオ局内の床は・・・

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5分後には、全く見えなくなるほどに水位が上昇。

午後10時45分には避難を呼びかける放送を続けることが出来なくなりました。

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町内に住む女性は、役場から配られた自動で緊急放送を受信するラジオから伝えられる情報を頼りにしていました。

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しかし、頼みの綱の放送は突然途絶えました。

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一夜明けた大子町。

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550世帯が浸水被害を受け、1人暮らしの91歳の女性が自宅1階で亡くなっているのが見つかりました。

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実は防災の拠点となる役場とラジオ局が置かれている場所は町のハザードマップで浸水想定区域に指定されています。

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久慈川と押川2つの川に挟まれたこの地域は水害にあいやすく役場は過去にも浸水被害を受けその立地がこれまでも問題となっていました。

町は来年、敷地内に新庁舎を建設する工事を始める予定でしたが、住民からは新庁舎やラジオ局の立地について疑問視する声が上がっています。

大子町の副町長はJNNの取材に対しラジオ局の立地場所について見直していく方針を明らかにしました。

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ラジオ:「お薬がなくなる方はお薬手帳を持参し・・・」

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現在、ラジオ局は復旧途中ですが浸水被害にあった同じ場所で放送を再開。被災者の生活にとって必要な情報を発信しています。

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取材後記
TBS政治部 長谷川亮 記者

“地域の防災情報を発信するコミュニティラジオ局が浸水被害に遭い、避難の呼びかけが十分にできなかったー”
町役場で聞いた、この話をきっかけに大子町での取材が始まりました。役場近く住民の方々に当時の状況を伺うと、「気付いたら、自宅の1階が浸水していた」「いつの間にか、川が氾濫していた」といった声を多く耳にしました。
災害時、「今、自分の住んでいる地域で一体何が起きているのか」という情報がなければ、適切な避難行動は取れません。
しかし、大子町では、台風による被害の推移を伝える役場・ラジオ局が浸水してしまったことで、住民の多くはテレビなどを通じて県内の大まかな被害状況を知ることはできても、ピンポイントで「大子町」に関する情報は把握しづらい状況にありました。
災害情報の伝達手段として、今後はスマートフォンの活用が主流になっていくのかもしれませんが、「自分たちが住んでいる地域の災害情報を一度に、老若男女問わず大勢の人たちに伝える手段」として、地域の防災FMが持つ役割は依然として大きいのではないかと感じました。

*追記*
この放送の後、大子町では当初計画していた新庁舎の移転先を高台に変更することが発表されました。

【放送されたVTRはこちら】